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『ギリシャは何故破綻したのか①』三橋貴明 AJER2015.7.14(7)

https://youtu.be/BWbxtFwp-Cs

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※三橋が決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 ギリシャ議会が、増税や年金抑制などの緊縮財政法案(メディアでは財政改革法案と呼ばれていますが)を賛成多数で可決しました。チプラス首相は完全に国民投票の結果や公約を裏切ったわけで、主権を奪われたギリシャ国民が反発し、ギリシャは政治的な混乱に陥らざるを得ないでしょう。


 同時に、本当に緊縮財政が実施された場合、もちろんギリシャ国民の貧困化は継続し、失業率は30%に近づくことになります


 もう一つ、現在のギリシャは中東・北アフリカからの難民の「玄関」として、今年はイタリアを上回る役割を担ってしまっています。今年前半だけで、ギリシャにたどり着いた難民は4万3千人。とはいえ、ギリシャの難民管理能力は極度に落ち込んでしまっており、難民たちはそのままEUのシュンゲン協定加盟国へと流れていっています。


 イタリアはまだしも「管理」をしているのですが、ギリシャの場合はスルー状態になってしまっているのです。(EUのルールでは、難民は最初に受け入れた国が管理しなければなりません) 


 ユーロ圏がギリシャをユーロにとどめ置きたいならば、もちろん緊縮財政の強要はせずに、
「利払いをデフォルトとする」
「元本はロールオーバーを続ける」
「ECBがギリシャ国債の【買い切り】を実施する」
 と、まずは「おカネの問題」を凍結(先送り)させ、経済成長と失業率低下を後押しする必要がありました。ところが、現実には緊縮財政


 ギリシャの失業率が30%に近づく事態になっても(なるでしょう)、ドイツは「おカネの問題」に拘り続け、帝国を維持しようとするのでしょうか。


 さて、最近はギリシャ問題ばかり取り上げていましたが、日本経済の4-6月期がまずいことになっています。


 5月の実質賃金は、25か月連続でマイナス。
 5月の鉱工業生産が、前月比2.2%と大幅低下。
 軽自動車を含む新車販売台数が、6月は2.2%減少で、六か月連続減。
 等々、酷い経済指標が次々に出てきているのです


4~6月成長率の鈍化見込む=黒田日銀総裁が記者会見
http://jp.wsj.com/articles/JJ11735621184037644906818783395460882061458
 日銀の黒田東彦総裁は15日、金融政策決定会合終了後の記者会見で「4~6月期の成長率は、1~3月期に比べかなり低下する可能性がある」と述べた。
 内閣府は8月17日に4~6月期の国内総生産(GDP)速報値を公表する。1~3月期の実質GDP(季節調整済み)改定値は前期比1.0%増、年率換算で3.9%増だった。』


 昨日の「寺ちゃん」でも話しましたが、4-6月期のGDPは「鈍化」ではなく、マイナス成長になるでしょう


 黒田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、
「「4─6月は輸出が弱めであったのを反映し、生産もやや弱め。軽自動車中心に在庫調整が行われている」
「1─3月の米国経済(の低成長)がラグを持って影響している面や、中国・アジア経済のもたつきがある」
 と、語りました。


 とりあえず、突っ込みたいのですが、日本の経済ってそれほどまでに「外需次第」なんですか? アメリカや中国経済が伸びれば、日本経済は成長し、米中が失速すれば、日本経済の成長率は落ち込む、と。


 もちろん、外需が日本経済の成長率に影響を与えないなどと、極論を言いたいわけでは全くありません。とはいえ、現実に日本の輸出依存度は、製品輸出にサービスの輸出を加えても18%(2014年)に過ぎないんですよ。


 何を言いたいのかと言えば、
「国内で政府が需要を創出し、民間の投資を誘引する」
 という、デフレ対策(=需要創出)を怠っておきながら、「日本経済が不調なのは、外需のせいだ」とやることは、政治としての責任放棄という話です。別に、黒田総裁は財政政策に責任を持っているわけではありませんが、日銀総裁という立場の人が、
「外需のせいで~」
 と発言すると、結局、日本国民や政治家の頭の中に「日本経済は外需次第」という間違った思い込みがインプットされ、正しい政策、すなわち内需を「創出する」政策が打てなくなってしまうという話です。


 それにしても、「外需が」「米中が」とやっている政治家や官僚たちは、本気でそう思っているのでしょうか。もし、そうだとしたら、それは単なる自虐主義だと思います。日本経済は国内需要で十分に成長できる「経済規模」を持っているにも関わらず、あえてそこから目を逸らし、
「アメリカが~」
「中国が~」
 とやるわけですから、結局のところ祖国日本に対する自信を持っていないのでしょう


 結局、我が国は政治家や官僚、あるいは国民に蔓延る「経済自虐主義」から脱却しない限り、デフレからの脱却も果たせないのかも知れません。デフレから脱却できないと、日本経済の成長率が高まることもなく(むしろ、マイナス成長か停滞)、自虐主義がさらに深まるという悪循環にはまり込んでいるように思えてならないのです。


「経済自虐主義からの脱却を!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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