緊縮財政の犠牲者

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『ギリシャと地方創生①』三橋貴明 AJER2015.6.16

https://youtu.be/kDM_C2YUqHU

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 ギリシャがIMF融資の返済不可能になり、デフォルトしました。すなわち、財政破綻です。

 そして、信じがたい話かも知れませんが、昨年のギリシャはプライマリーバランス(以下、PB)が「黒字」でした


昨年のギリシャのプライマリーバランス、GDP比0.4%の黒
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0N613520150415
 ギリシャ統計局(ELSTAT)は15日、地方政府分を合わせた2014年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字が国内総生産(GDP)比0.4%になったと発表した。(後略)』


 日本の安倍政権は、2020年までのPB黒字化、2018年までのPB対GDP比半減という「緊縮財政の目標」を閣議決定致しました。


骨太・成長戦略を閣議決定、財政一体改革へ「不退転」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PA0U620150630
(前略)安倍政権が同日閣議決定した財政健全化計画は「経済再生なくして財政健全化なし」との指針を掲げ、実質2%、名目3%の経済成長を目指すのと同時に、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字9.4兆円を解消するものだ。(後略)』


 しつこいほど繰り返しますが、財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率の低下」です。これは、グローバルにそうなっているという話で、別に三橋定義ではありません。


 財政健全化の目標を立てたいならば、当然ながら政府の負債対GDP比率の引き下げ目標を経てるべきなのです。それにも関わらず、安倍政権は財政健全化の手段の一つに過ぎないPBを殊更にクローズアップし、黒字化目標を立ててしまいました。


 政府の負債対GDP比率の引き下げならば、
「名目GDPの成長率を高める」
 ことで達成できます。特に、日銀が国債を買い取り、国債金利が超低迷している現在ならば尚更です。


 それに対し、PB黒字化を短期で「主体的に」達成しようとした場合、税収が増えない場合(2015年度は対前年比で減るでしょう、政府の歳出削減以外にやれることがありません(あるいは増税)。というわけで、政府が支出を削り、日本を再デフレ化させ、GDPを減らし、税収が減り、更なる歳出削減という悪循環に突っ込んでいくことになるでしょう。


 ところで、ギリシャはなぜPBが黒字であるにも関わらず、財政破綻したのでしょうか。話はまるで「逆」で、ギリシャはPBを黒字化するほど緊縮財政(主に支出削減)を実施したからこそ、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻に追い込まれたのです。

 日本のエコノミストと自称する連中や、
「PBを黒字化しないと破産する」
 などと発言した自民党の政調会長をはじめとする無知な政治家の皆さん、心して聞いてください


 ギリシャはPBが赤字だから財政破綻したのではありません。PBが黒字化するほど緊縮財政を実施し、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻したのです。


 ギリシャは「緊縮財政の犠牲者」なのです。


『“ギリシャは犠牲者”英紙、クルーグマンから擁護の声 ユーロの構造的問題を指摘
http://newsphere.jp/world-report/20150629-2/
 深刻な財政危機に直面しているギリシャは、EUが求めている財政緊縮案を受け入れるかどうかを問う国民投票を7月5日に実施することを決定し、ユーロ圏離脱の可能性も出て来た。ギリシャを非難する意見は多いが、責任はギリシャだけにあるのではないという見方もある。(中略)
◆押し付けの緊縮策こそ問題
 このような状況のもと、ビジネス・インサイダー誌のヘンリー・ブロジェット編集長は、皆が悪者探しをしていると指摘。多くがギリシャのチプラス首相を無責任だと責めているが、経済学者のポール・クルーグマン氏は、これに異議を唱えていると述べている。

 クルーグマン氏は、過去7年間、欧州はギリシャ経済の首を絞めてきたと主張。欧州が金を貸すたびに、ギリシャは歳出カットで応えており、緊縮財政こそが、ギリシャ経済にダメージを与えてきたと説明する。同氏は、危機に陥るたびに譲歩したことで、ギリシャは不況に苦しむ経済上の奴隷国になり果てたとし、ギリシャが持続可能な方法で負債を減らして現状から脱却することを欧州が認めないならば、ギリシャに残された道は債務不履行とEU離脱しかないと述べる(ビジネス・インサイダー誌)。
(後略)』


 ギリシャはクルーグマン教授の言う通り、カネをEUなどから借りるたびに、きちんと「緊縮財政」を実施してきました。だからこそ、こんなことになってしまったのです


【ギリシャの名目GDP(十億ユーロ)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#GGDP


 デフレ期の緊縮財政を続けた結果、ギリシャはGDPがピークから26%も減ってしまいました。戦争でもなければ、普通はこれほどまでのGDP減少は起きません。デフレとは、戦争並に(あるいは戦争以上に)経済にダメージを与えるのです。


 GDPが減れば、税収も減ります。通貨発行権がないギリシャ政府は、緊縮財政で税収が減り続ける中、結局は対外負債の返済不能となりデフォルト(財政破綻)に至ったのです。


 もう一度書いておきます(しつこいほど繰り返したいのです)。


 ギリシャはPBが赤字だから財政破綻したのではありません。PBが黒字化するほど緊縮財政を実施し、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻したのです。


 ギリシャは「緊縮財政の犠牲者」なのです。



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