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『ギリシャと地方創生①』三橋貴明 AJER2015.6.16

https://youtu.be/kDM_C2YUqHU

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 5月20日、イギリスのロンドン、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)の前に数千人が集まり、反緊縮のデモ・抗議活動が行われました


 同国の経済専門家によると、イギリス政府の緊縮財政により、イギリスの家庭、特に子供たちの間で貧困が拡大しているとしています。明日は我が身でございますね、稲田政調会長
 
 二日前の5月18日、デンマークで総選挙が行われ、移民制限を訴える「デンマーク国民党」が躍進。与党勢力が敗北し、政権が交代しそうです。


デンマーク総選挙 野党陣営勝利し政権交代へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150619/k10010120191000.html
 北欧のデンマークで18日、総選挙が行われ、移民や難民の受け入れ制限の強化などを訴えた野党陣営が勝利し、4年ぶりに政権が交代することになりました。
 デンマークの総選挙は、179の議席を巡って18日、投票が行われ、開票の結果、ラスムセン前首相率いる自由党主導の野党陣営が過半数の90議席を獲得し、僅かな差で勝利しました。
 4年前の総選挙でデンマーク初の女性首相に就任したトーニングシュミット氏率いる与党、社会民主党は、景気回復の実績を強調しましたが、与党陣営としては過半数に届かず、トーニングシュミット首相は敗北を認めました。(後略)』


 珍しく、NHKは国民党について「右派」と表現しているのですが、他のメディアは相変わらず印象操作丸出しの「極右」という表現を使っています。


 スウェーデン民主党と同じく、デンマーク国民党にしても、別に「移民を排斥せよ」などとは(少なくとも選挙では)主張していません。単に、移民を制限し、
デンマークの法律を犯した移民や難民は、本国に送還するべ
 と、訴えていたに過ぎないのです。これって、「極右」なんですかね?


 ちなみに、スウェーデン人に言わせると、デンマークはスウェーデンと比べると、「移民制限が厳しい」そうでございます。というわけで、スウェーデンのマルメには、エーレスンド海峡の向こう側であるデンマークのコペンハーゲンで働きながら、マルメ在住という移民が大勢住んでいました。


 マルメからコペンハーゲンまでは、オーレスン・リンク(エーレスンド海峡を抜けるトンネル)でわずか30分なのです。


 スウェーデンに比べれば、移民制限が厳しいデンマークにしてすら、2月にコペンハーゲンで移民の家庭に生まれた若者のテロ事件(しかも「言論の自由」に関する討論会でのテロ)が発生し、さらにシリア難民が急増している(これはスウェーデンも同じ)こともあり、反移民感情が高まっていきました。90年代に「反移民」的な発言をした日には、途端に「人種差別主義者」とレッテルを貼られたそうなので、まさに様変わりです。


 ちなみに、国民党は反移民のみならず、「歳出拡大」「EU離脱」という、本ブログ読者であれば「う~む・・・」となってしまうような政策を掲げています。そもそも、デンマークはEU加盟国であり、シェンゲン協定批准国です。イギリス同様に、EUから離脱しない限り、本格的な移民制限はできません。


 と言いますか、イギリスはシェンゲン協定は批准していないため、EUから離脱すれば独自の移民政策が可能です。というわけで、現時点では2017年にEUからの離脱の是非を問う国民投票が実施される予定になっています。デンマークの場合は、EUとシェンゲン協定と二重に縛られているわけでございます。


 それはともかく、デンマークは与党の社会民主党が破れました。結果、ラスムセン前首相が率いる野党デンマーク自由党と、国民党が連立政権を組む可能性が浮上しているのですが、自由党は「福祉抑制」を主張しています。財出拡大派と、緊縮財政派というわけで、なかなか連立も困難でしょう。(国民党が閣外協力という路線もありますが)


 ちなみに、反移民・反緊縮・反EU、すなわち「反グローバリズム」の動きは、欧州各地に広がっています。フランスの国民戦線は言うに及ばず、実はハンガリーがお隣のセルビア国境に高さ4メートルのフェンスを建設する計画を明らかにし、EU内外で批判の声が上がり始めました。


 ハンガリーは、バルカン諸国経由でEU圏を目指すシリア遺民などの「通路」と化しており、今年1月から5月まで、難民申請のために入国した人は5万3千人を突破。何と、2012年の25倍にまで急増しているのです


 欧州委員会の報道官は、EU域外と接する国境の管理は加盟各国の裁量とした上で、ハンガリーの計画については
「欧州内の壁を取り払ったばかりだ。再び建設すべきではない」
 と指摘しました。


 一応、シェンゲン協定は「協定批准国内の国境検査を実施しない」というものであり、協定批准国ではないセルビアとの国境をどうしようと、ハンガリーの自由ではあります。


 ハンガリーにしても、実はオルバン政権が、反移民の政党「ヨッビク」に支持率で追い上げられているという事情があるのでございます。


 結局のところ、マーストリヒト条約(ユーロ)、リスボン条約(欧州連合)、シェンゲン協定といった国際協定で各国国民の主権を制限し、モノ、サービス、ヒト、カネの移動を自由化するという欧州グローバリズムが限界を迎えたという話です。今後は紆余曲折を経ながら、欧州グローバリズムが解体の方向に向かっていくという歴史的流れになるのではないかと予想しています。


 結局、国民は「国民」でなければならないという話です。


 欧州の現実を理解したとき、今更、我が国をグローバリズムの方に追い立てている安倍政権が、いかに周回遅れであるかが分かるのです。


「国民は『国民』でなければならない」に、ご賛同頂ける方は、↓このリンクをクリックを!

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