切磋琢磨と競争

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『日銀当座預金の正体①』三橋貴明 AJER2015.5.19(7)

https://youtu.be/I8KgC0MxR_w

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 日本には「切磋琢磨」という言葉がありますが、これは欧米由来の「競争」という言葉とは、ニュアンスが違うと思います。切磋琢磨とは、
「友人同士が互いに励まし合い競争し合って、共に向上すること」
 といった意味になり、つまりは競争相手が「仲間」であり、相手を潰しても自分が勝つ、あるいは「勝ち負けをはっきりつける」といった意味は含有していません


 経済学に基づく「市場競争」「自由競争」は、果たして切磋琢磨なのでしょうか。それとも勝ち負けを明確にする「競争」なのでしょうか。間違いなく、後者でしょう。

 同じ土俵(市場)で、同じルールで「競争」し、勝ち負けをはっきりつける。負けた者は、自己責任。


「だって、同じルールで、同じ土俵で『競争』したんだよ。負けた者は、それは自己責任でしょ。本人の努力が足りなかったんだから
 といったレトリックには、なかなか抗いがたいものがあります。


 とはいえ、戦争や大規模自然災害などの非常事態の際には、人間は他の人間の助けを借りなければ、生き延びることができません。「勝ち組」となったにも関わらず、大震災の被災者となってしまった「人間」を助けるのは、負け組となった「人間」かも知れないのです。


 結局、非常事態に互いに助け合わなければ人間は生き延びられない以上、人間は「助け合いの共同体」を構築しなければならないのです。すなわち、国家です。人間は「国民」にならなければ、安定的に、豊かに生きていくことはできません。特に、世界屈指の自然災害大国である「日本国」では。


 無論、共同体が異なるのであれば、国家国民同士が「同じ市場」で競争するという発想は分からないでもありません。もちろん、ユーロのことになりますが、「共通通貨ユーロ」という統一市場で国同士、企業同士、国民同士が競争し、ユーロ圏が綺麗に勝ち組(ドイツなど)と負け組(ギリシャなど)に分かれていったのはご存知の通り。


 そもそも、生産性が大きく異なるドイツとギリシャが「同じルール」で競争し、ギリシャ側に勝ち目はないのです。誰が何と言おうと、この世に「フェアな競争」「公正な競争」「平等な競争」はありません。何しろ、各人、組織の属性や蓄積が異なる以上、勝ち組ははじめから有利な競争となるわけです。


 ついでに書いておきますが、同一条件の競争が成立したとしても、「勝ち組」を「勝ち組」にならしめる最大の要因は、本人の努力よりも「運」であると考えています。まあ、個人的な意見ですが。


 さて、国同士の「競争」ならともかく、世界には「同じ国」の中において、地方・地域同士に「競争」を強い、それが「地方創生」であるなどと寝言を言っている国があります。


 残念なことに、我が国です。


石破地方創生相:格差「当たり前だ」、地方自治体は競争を
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIKJY96JTSEB01.html
 石破茂地方創生相はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、各自治体に競争原理を導入することが地方活性化に不可欠だとして、結果として格差が生じることも止むを得ないとの認識を示した。
 地方自治体について石破創生相は22日、「競争しろというのか、その通り。そうすると格差がつくではないか、当たり前だ」と述べた。努力した自治体としないところを一緒にすれば「国全体が潰れる」と語った。国の関与は教育や社会福祉などの最低限度の生活水準を維持するナショナルミニマムの保障にとどめるべきだとしている。 (後略)』
 

 地方自治体同士に競争を強いるなら、せめて「インフラストラクチャー」の面で公正な競争条件を整備するべきです。インフラが整っていない地域が、インフラが充実した地域に勝てるはずはありません。インフラの充実度とは、まさに「生産性」そのものです。


 それにしても、地方創生大臣が「同じ国」の地域について「格差がつくではないか、当たり前だ」と言ってのけるわけですから、凄いです。もはや、国家も何もあったものではありません。


 結局のところ、大東亜戦争敗北後の我が国では国民はもちろんのこと、政治家までもが「国家」の意味を失念していき、それが行き着くところまで行き着いたというのが現実なのだと思います。

 現在の日本国において必要な地方経済再生策は、具体的には、
「インフラの整備と、地方への移転を促進する税制」
 であり、理念的には、
切磋琢磨
 であると確信します。


 この当たり前の事実を理解しない限り、安倍政権の地方創生など巧くいくはずがなく、地域間格差を拡大し(そうする、と石破大臣自身が言っているわです)、人口の東京一極集中を加速し、我が国の存続を脅かす結果を招くでしょう。 


「競争」ではなく「切磋琢磨」の地方創生策を!に、ご賛同下さる方は、

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