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『日銀当座預金の正体①』三橋貴明 AJER2015.5.19(7)

https://youtu.be/I8KgC0MxR_w

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  わたくし達がこの国で安全に、豊かに、快適に暮らしていくためには、様々なインフラストラクチャーが必要です。ここでいうインフラストラクチャーとは、道路、港湾、橋梁、トンネルといったハードウェアのみならず、司法制度、防衛、治安維持、消防、教育、ライフラインサービスといったソフトウェア・インフラストラクチャーをも意味しています。


 と言いますか、インフラとはほとんどのケースでハードとソフトが一体化しています。単に、
「道路を作りました。はい、おしまい」
 という話にはならないことは、子供でも理解できるでしょう。一度作れば、永遠に利用可能な道路など存在しないのです。


 道路を作り、それを管理し、必要があればメンテナンスする。このハードウェア建設と管理としてのソフトウェアは一体であり、どちらかが欠けるとインフラはインフラの用をなさなくなります。すなわち、国民の生活が揺らぎます。


 ライフラインサービス(電気、水道、ガスなど)の場合は、道路に比べれば、よりソフトウェア的な色が強い(サービス費で運用されるため)ですが、ハード・ソフトが一体であることに変わりはありません。わたくし達日本国民が日常生活を送れるのは、ライフラインサービスで働く国民が、建設、整備、運用、管理、点検、補修等を適切に実施してくれているおかげなのです。 

 逆に言えば、ソフトウェア的な管理、点検等が適切に行われなければ、ハードとしてインフラが存在していたとしても、全く意味をなさなくなります。


下水道管:老朽化で陥没事故多発 10年で4万8000件
http://mainichi.jp/select/news/20150606k0000e040231000c.html
◇市町村に点検義務付け、国交省が方針
 下水道管の老朽化や腐食が原因で道路が陥没する事故が全国で多発している。2004~13年の10年間で約4万8000件発生し、負傷者も出ている。このため国土交通省は下水道を管理する市町村などに対し、下水道の点検や清掃を義務付ける方針を決めた。下水道は道路や橋など他の社会基盤同様、高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化対策や事故防止が急務になっている。
 下水道は1960年代から整備が拡大し、国内下水道管の総延長は地球の11・5周分に相当する約46万キロに達する。今後、敷設から50年を経過した古い管が急増する見通しだが、点検義務は自治体になく、国交省によると全国
の自治体で計画的な下水道の点検を実施しているのは約2割に過ぎない。(後略)』


 知らぬ間に、わたくし達日本国民の生活の基盤である「下水道」というインフラストラクチャーが、崩壊のとば口に差し掛かっています。もっとも、1960年代に整備された下水道は、現在は建設後半世紀を経過しているわけで、当然の時期に当然の事態が発生しているに過ぎないのですが。


 国交省によると、汚泥が堆積し硫化水素が発生、水道管が腐食したところが10万カ所もあるとのことです。当然、その上を走る道路は「突如、陥没」というリスクにさらされ続けます。


 というわけで、国交省は新たに下水道維持修繕基準を設け、地方自治体に対し点検や清掃を義務付けることになりました。


 問題なのは、地方自治体の「経済力」です。


 しつこくて申し訳ないですが、
「経済力は、法律でもおカネでもなく、モノやサービスの供給能力」
 を意味しております。

 法律が整備され、予算がついたとしても、下水道を点検、整備する技術者がいなければどうにもなりません。技術者がいたとしても、下水道を点検、整備する「ノウハウ」が蓄積されていなければ、やはりどうにもなりません


 以前は、各地方自体にも(民間事業者含め)下水道の点検、整備の技術者やノウハウがありました。何しろ、実際に建設したわけでございます。


 ところが、97年以降の日本は公共投資の容赦なき削減と、一般競争入札化という異様な規制緩和により、各地域の土木・建設関連の供給能力を削減することを続けてきました。さらに、市町村合併により行政の供給能力をも縮小させてきました


 果たして、法律を制定し、予算を付けたとして、下水道ネットワークを維持していくことが可能なのか。技術の蓄積は間に合うのか。


 分かりません。分かりませんが、やるしかありません。やらなければ、我が国は下水道すら満足に使えない発展途上国と化すだけです。


 それにしても、橋本政権から小泉政権期を経て現代にいたる「構造改革」「緊縮財政」が、いかに日本国を破壊していったか。下水道の現状を認識するだけで、如実に理解できるわけでございます。


 インフラストラクチャーの重要性を日本国民が再認識しない限り、我が国の未来は暗澹たるものになるでしょう。


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