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『経済力の正体①』三橋貴明 AJER2015.4.21(7)

https://youtu.be/gWHDwLEE4fs
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一般参加可能な講演会

5月9日(土) 熊本市国際交流会館 18時00分より三橋貴明講演「日本と台湾の明るい未来を築くためには
5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』
パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志
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  安倍政権では「地方創生」が目玉になっていますが、例により、
地方自治体に事業計画を作らせ、交付金の規模に【差】をつけ、競争を促す
 と、まるで大企業が各事業部にビジネスモデルを作成させるような、的外れ(政府としては、という意味)な政策が進んでいます。


地方創生の新型交付金、市町村の戦略で格差 政府が概要
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE04H05_V00C15A5PE8000/
 政府は地方創生の目玉として2016年度に創設する新型交付金制度の概要をまとめた。市町村ごとにつくる活性化策の総合戦略によって交付規模や対象範囲に差をつけ、複数年度で配る。交付後は戦略に盛った数値目標をもとに効果を検証し、事業見直しを求めたり交付を変更したりする。財源は既存の補助金削減などを想定。関係省庁や与党の関係議員が反発する可能性がある。(後略)』


 安倍政権のみならず、昨今の日本政府の地方行政の根本的な間違いは、二つあります。一つ目は、
「地方自治体が【事業に失敗した。では、撤退】と、民間企業と同じスタイルを採ると、住民が迷惑する
 という点です。


 民間企業の場合は、主に自社で務める「従業員」に責任を負っています。ある事業が失敗した場合、事業部を閉じ、別の部署に回すなり、対処することが可能です。理由は、関係者が「少ない」ためです。


 わたくしが某IT企業に勤めていた際、ある日、突然、DSL事業が全面閉鎖されました。結果的に、DSL関連で雇用されていた人員700人が一斉に解雇されたのですが(マジです)、それでも「700人に過ぎない」と表現できないこともありません(社内はパニックになっていましたが)。

 それに対し、地方自治体の「事業の失敗」の影響を受けるのは、地域住民です。その数は数万、数十万人に達します

 そして、地方自治体は一部の住民について、わたくしが勤めていた企業のように「取りこぼし(解雇)」することは許されません


 この辺りの話は、「新」日本経済新聞の佐藤健志氏の寄稿に詳しいです。


【【佐藤健志】<繁栄の絶対法則>経済に撤退は許されない】
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/08/sato-35/


 まさに、達増拓也・岩手県知事の言葉の通り、
地方自治というのは取りこぼしが許されない
 のです。「経営」では取りこぼしが認められるケースもありますが、政府(地方自治体含む)の「経済」では許されないのです。


 そして、二つ目。
「あらゆる事業は、失敗の可能性があり、事前にどの事業が成功するかは、政府も、自治体も、企業も分からない
 という点になります。事前に「どの事業が成功するか」が分かるならば、この世から倒産する企業は消え失せることになります。


 現実には、様々な分野に民間企業が好き勝手に投資し、その多くが失敗し、「後になって」どの分野が成長分野だったかが分かるに過ぎないのです。


 ならば、政府が地方創生政策を進めるのは無駄というのか。という話ではありません。やり方が間違っているだけの話です。


 正しい「地方創生」は、まずは地方にインフラを整備し、その上で税制で優遇し、民間企業がその地域に「好き勝手に投資したくなる」環境を構築すること、他にはありません。より具体的に書いておくと、高速道路、港湾、新幹線といった交通インフラの整備と、法人税の減免措置です。


 今年3月、ジャパンディスプレイが石川県白山市にスマートフォン(スマホ)用の高精細液晶パネルの新工場を建設すると発表しました。


 また、YKKは富山県の黒部市に、本社機能の一部を東京から移転しました。


 なぜでしょうか。


 もちろん、北陸新幹線というインフラ整備と法人税減税(地方拠点強化税制)の効果です。YKKは、安倍政権による
「大都市圏に立地する企業が、地方に本社機能を移転する場合の法人税を優遇制度」
 すなわち「地方拠点強化税制」の適用第一号になりました。(わたくしは平成27年度税制改正における法人税(無条件)実効税率引き下げは批判していますが、地方拠点強化税制の導入については評価しています)


 インフラ整備と税制優遇は、始まった途端に成果が出始めているのです。しかも、どの分野の企業が地方に移転するかは、それこそ民間企業側の勝手なので、自治体職員が下手に頭を悩ませる必要もありません。


 安倍政権は「地方自治体に競争させる」などといった「間違った地方創生策」を捨て去り、インフラ整備と税制優遇の強化という「正しい地方創生策」の拡大に舵を切り直すべきなのです。


「インフラ整備と税制優遇による地方創生を!」に、ご賛同下さる方は、

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