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『経済力の正体①』三橋貴明 AJER2015.4.21(7)

https://youtu.be/gWHDwLEE4fs
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一般参加可能な講演会

5月9日(土) 熊本市国際交流会館 18時00分より三橋貴明講演「日本と台湾の明るい未来を築くためには
5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』
パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志
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 本日は23時からFMフジ「なんでもカウンセリング~You&Me~ 」に出演します。
http://jupiter.jp.net/news/2014/03/18/483/


 明日は7時からTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 さて、昨日は実質消費が3月に急激に落ち込んだ件を取り上げましたが、本日は実質賃金。


【実質賃金(きまって支給する給与)の推移(対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Jchingin


 先日、消費者物価指数の上昇率が鈍ってきているため(というか、ゼロに落ち込み)、4月の実質賃金がプラス化するのではないか、という予想を書きましたが、困難かも知れません。予想以上に名目賃金の伸びが少なく、3月の実質賃金は現金給与総額、きまって支給する給与が共に▲2.6%と、2月と比べてマイナス幅を拡大してしまいました。

 名目賃金の方は、現金給与総額、きまって支給する給与が+0.1%、所定内給与が+0.3%。いずれにせよ、消費税増税分をカバーするには力不足です。


 本日と昨日のタイトルを「消費者利益と生産者利益」としたのは、結局のところ、
デフレ期に生産者利益をないがしろにすると、結局は消費者も実質の消費を減らさざるを得ず、物価が下がったとしても消費者利益にはならない
 という現実を理解して欲しかったためです。


 確かに、物価が下がると、消費者利益が上昇したように「見えます」。とはいえ、それはあくまで、
「所得が減少していない」
 という前提なのです。給料が一定、もしくはわずかでも上昇している状況で消費者物価が下落するならば、「実質賃金の上昇」ということで、消費者は利益を得ている、すなわち「豊かになっている」と判断して構いません。


 とはいえ、消費者物価が下落したとしても、それ以上に所得が下がってしまう、あるいは消費者物価の上昇に所得の伸びが追い付かない場合も、共に実質賃金がマイナスということで、国民が「貧困化」したことになってしまうのです。国民が貧困化している状況で、
「消費者物価が下落した。だから、消費者利益が高まっている」
 と、考えるのは、あまりにも愚かです。


 所得とは、
国民が生産者としてモノやサービスを生産し、顧客(※多くは消費者)が消費、投資として購入し、所得が創出される
 というプロセスをたどります。


 そして、上記の「顧客」のほとんどは生産者なのです。


 コメント欄を読んでいると、勘違いしている人が多いように思えたのですが、年金受給者にしても、生産者が生産することで獲得した所得から税金や年金保険料として政府に分配された「所得の一部」」を、再分配されているわけでございます。(だから、年金等を「所得の再分配」と呼ぶ)結局、年金受給者が消費のために使う収入の多くも、元をたどると、別の国民が稼いだ所得なのです


 といいますか、これもコメントに書いて下さった方がいましたが、GDP三面等価の原則により、「支出(消費・投資)の合計」と「所得の合計」は必ず一致します。これは、例外が出ない「原則」です。


 デフレ期には、国民の所得が名目的にも実質的にも縮小していくからこそ問題なのです。デフレ期に「消費者目線」のみを重視するのは、ナンセンス極まりありません。

 なぜならば、物価が下がったことを受け、
「消費者利益が高まった」
 などといっている人も、間違いなく本人か関係者が「生産者」なのです。そして、物価の下落は生産者にダメージを与えます。


 生産者と消費者は、結局は同一人物です。消費者としての立場で物価下落を喜び、反対側で生産者としての所得縮小に気が付かないのでは、言葉を選ばずに書かせてもらうと「バカ極まれり」なのでございます。


 無論、消費者物価の下落が生産者の所得にそれほど悪影響を与えないケースもあります。すなわち、総需要が供給能力を上回るインフレギャップ期です。


 より分かりやすい書き方をすると、
「生産者の仕事の量が増えている」
 状況であれば、物価の下落は消費者に利益を与え、生産者に対しても「所得縮小」までのダメージは与えません。すなわち、インフレギャップ期に、
「消費者利益を!」
 と叫ぶことは、これは国民経済全体にとっても合理的なのです。


 とはいえ、現実の日本はマクロ的にはデフレギャップが(小さめの)内閣府の試算ですら12兆円を超え、さらにミクロ的には実質賃金が延々と対前年比でマイナスの状況を続けています。


 そもそも、国民を「消費者」と「生産者」に分断し、まるで対立構造があるかのごとく論じること自体が問題なのです。何しろ、消費者と生産者は同一人物なのですから。


 ところが、上記の分断に成功すると、「消費者利益」の追求がグローバリズムを推進し、国内の「生産者利益」を阻害するということが起きえますし、実際に起きてきました。
 というわけで、明日は「消費者利益とグローバリズム」のお話です。


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