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『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17
https://youtu.be/54A1iQdY8Zs
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一般参加可能な講演会
5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』
パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志
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  昨日、取り上げました日本経済新聞の記事につきまして、色々と興味深い情報を入手いたしましたので、ご報告申し上げます。


 昨日、取り上げた記事とは、


財政再建、深まる対立  東大教授・吉川洋氏/京大教授・藤井聡氏
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO85253340T00C15A4TY6000/
 政府は今年夏、2020年までの財政健全化計画をつくる。主要国でも突出した債務を抱える日本の財政をどう立て直すか。増税や歳出削減による財政再建を重視する吉川洋・東大教授と、経済成長と脱デフレに向けた財政出動を説く藤井聡・京大教授(内閣官房参与)が改革の進め方や健全化目標の在り方について議論を戦わせた。 
 借金膨張、デフレ病が原因 藤井氏
 成長だけでは解決できず 吉川氏(後略) 』


 でございます。

 実は、上記の記事は相当に「財務省御用学者寄り」で書かれたものでございまして、藤井先生はもっと「決定的なこと」を語っていたのです。


 後略部において、吉川教授が、


「日本の国債は日本人が持っているから大丈夫という議論もある。しかし、株式考えれば分かりやすいが、株主が日本人ならば大丈夫なのか。大切なのはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)で、国債でいえば財政の健全性だ。」


 と、ファンタジック(元本保証がない株式と元本保証がある融資を一緒にしてる・・・)なことを主張したのに対し、藤井先生が、


「借金が深刻かどうかは、借金がどのくらいあるかと一切関係ない。1万円借りるだけで破綻するケースもあれば1兆円でも破綻しないケースもある。重要なのは、きちんと返せるかだ。確かに長期的に財政破綻が起こる懸念はゼロではないが、そのことに過度に引きずられて当面の財政政策を決めるのはいかがなものか。中長期的な議論と向こう3~5年の議論は分けて考える必要がある。」


 と、反論しているシーンがありますが、実は上記の個所で、藤井先生は実際には以下の通り語ったのでございます


「借金が深刻かどうかは、借金がどのくらいあるかと一切関係ない。1万円借りるだけで破綻するケースもあれば1兆円でも破綻しないケースもある。重要なのは、きちんと返せるかだ。実際、実質破たんしつつあるギリシャと全然違うのは、通貨発行権のある自国通貨での債務かどうかという点だ。所有者が日本人かどうかという以前に、そ国債が円建てかどうかということが破綻リスクを考えるにあたって決定的な意味を持つ。実際、自国通貨建て債券で完全破綻した国家は筆者の知る限り存在しない。破綻論者はいつもそれを無視するし、実際、今、吉川先生もその一点を外して、破綻リスクを論じている。もちろん、日銀がこれ以上、貸せなくなる可能性もゼロではないから、確かに長期的に財政破綻が起こる懸念はゼロではないが、そのことに過度に引きずられて当面の財政政策を決めるのはいかがなものか。まさに、財政ヒポコンデリーだ。中長期的な議論と向こう3~5年の議論は分けて考える必要がある。」


 日本経済新聞の記者は、いわゆる財政破綻論にとって「決定的に致命的」な上記太字の部分を、故意に「落とした」わけでございます。


 ちなみに、わたくしも以前、テレビ朝日の「みのもんたの朝ズバッ!」にVTR出演した際に(小幡氏と対決した番組)、「日本国債は100%自国通貨建てであり、子会社の日本銀行が買い取れば政府の実質的な負債は消滅するため、財政破綻などあり得ない」と語ったのですが、その部分が見事にカットされたという経験を持ちます。


 恐らく、というか間違いなく、財務省及び御用学者たちにとって最も都合が悪いのは、
日本国債は100%自国通貨建てであり、子会社の日本銀行が買い取れば政府の実質的な負債は消滅するため、財政破綻などあり得ない
 という事実が広まることなのでございます。


 というわけで、例により「日銀保有の国債・財融債・国庫短期証券」と「日銀以外保有の国債・財融債・国庫短期証券」のグラフを作成し、政府の借金が実質的にどれだけ減ったか見てみましょう。


【日銀保有の国債・財融債・国庫短期証券と、日銀以外保有の国債・財融債・国庫短期証券(単位:億円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Hoyu


 数字を書いておきますと、一応、政府に返済義務がある「日銀以外保有の国債・財融債・国庫短期証券」の金額は、ピークの12年9月から14年末までに、何と69兆円減りました。日本政府は子会社の日銀に国債を買い取らせることで、二年強で「くにのしゃっきーん」を70兆円近くも(現時点ではもっと)減らしたわけです。


 くにのしゃっきーん、が減っていますよ、吉川教授


 ところで、菊池英博先生が、上記、吉川教授のファンタジーについて、痛烈に批判していらっしゃいました。


https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/641763195924627?pnref=story
「同氏はケインジアンであると称して”転換期の日本経済(岩波書店、1999年)”で「日本経済低迷の原因は需要不足にある」と明言していたのに、小泉内閣の経済財政諮問会議の委員になると内需抑制の構造改革に賛成して緊縮財政を進め、日本のデフレを深刻にさせた人物です。さらに、財務省が進言した「財政健全化法」の基本になる財政判断の誤り(「純債務」では健全財政であった日本の財政を「粗債務」だけでを見て判断したこと)を無視して、「デフレの原因は海外要因である」と発言するなど、事実認識の誤りが目立ちます。」


 吉川洋教授は、かつては需要拡大という「まともなこと」を主張したにも関わらず、内閣の経済財政諮問会議に入った途端に、「需要削減」を主張し始めた、典型的な財務省の御用学者であり、「変節の教授」なのでございます。


 藤井先生は、上記「吉川問題」について、「日本の国益に直結する深刻な問題」(確かにそうです)であるため、専用のWEBサイトを京都大学のホームページ等に開設する予定とのことでございます。


 それにしても、吉川教授は「自ら好んで」ファンタジック・ワールドに飛び込んだわけです。日本の「財政問題」を巡る闇は、深いです。


 とりあえず、上記のグラフを大いに活用し(わたくしは自分が作成したグラフについて著作権を主張しておりません)、
政府の借金が実質的に減っていっている
 という現実を、是非とも広めて下さいませ。


吉川洋教授の「変節」に唖然としてしまわれた方は、

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