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『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17

https://youtu.be/54A1iQdY8Zs

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一般参加可能な講演会

5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』

パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志

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  わたくしが最も嫌いな政治家は、賄賂を受け取った政治家でも、外国に媚びる政治家でも、責任を取らない政治家でもありません。


 成長を否定する政治家です。


 今年の2月12日。内閣府が中長期の経済財政に関する試算を経済財政諮問会議に提出しました。


【中長期の経済財政に関する試算】
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h27chuuchouki2.pdf


 上記、内閣府の試算では、


● 経済成長率(実質GDPの成長率) 2%前後
● 名目GDPの成長率 3.5%前後
● インフレ率(消費者物価指数) 2%
 
 と、思わず、
「なめとんのかっ!」
 と突っ込みを入れたくなるほど、「低い」成長率が前提になっているのですが、それでも経済再生に成功すると、「政府の負債対GDP比率」が、2023年までに183.7%に低下することが示されています。


 要は、「成長こそが全ての解」であることを、財務省の配下と化している内閣府すら、認めざるを得ないわけです。


 ところが、上記の「しょぼい試算」に対してまで文句をつけ、財政健全化(「政府の負債対GDP比率」の低下という定義)が不可能であると大々的に発言し、事態を混乱させようとする愚かな政治家たちがいるのです。


債務GDP比は23年度で底打ち、30年度まで悪化も=自民部会
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0WZ2KU20150402
 自民党の財政再建に関する特命委員会は2日、内閣府の中長期試算を検証した。内閣府試算は、2023年度までは高成長を続け、債務残高対GDP比も改善するが、委員会では、その後30年度までを見通した場合、将来的な金利上昇で債務GDP比は23年度で底を打ち、反転上昇を続けると結論付けた。
 河野太郎・行政改革推進本部長が会合後、記者団に明らかにした。
 試算は、日銀の量的・質的金融緩和からの出口戦略などで、既発債も含めた加重平均金利の上昇は避けられず、将来的な金利上昇により債務GDP比は23年度以降、30年度にかけ悪化を続けるというものだ。

 こうした独自試算を参考に河野氏は、巨額債務を健全化させるには、まずは基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化が必須と強調。「(財政収支など)利払い費まで含めてコントロールする必要がある」との考えを示した。今後、医療や介護分野での具体的な歳出削減案を特命委で検討する。』


 内閣府の試算では、長期金利が2023年に2.3%と、意外と「高く」設定されています。とはいえ、金利が2.3%であっても、名目GDPの成長率が3.5%であれば、ドーマー定理により財政は健全化せざるを得ない(PBは一定と仮定)のです。ちなみに、内閣府の試算では、成長によりPBも黒字に近づきます。


 これまで、財務省は、
「経済成長率が高まっても、金利がそれ以上に上がるので財政は健全化しない」
 と、頭の悪いことを言っていました。何しろ、長期金利はインフレ率に影響を受けますが、経済成長率(この場合は名目GDPの成長率を意味します)は「実質GDPの成長率+インフレ率(ここではGDPデフレータ)」なのです。普通に実質GDPが成長すれば、金利が名目GDPの成長率を上回るなどということはあり得ません


 というわけで、内閣府は「経済成長すれば、財政健全化する」と認めているわけですが、河野太郎ら緊縮財政派が、

「日銀の出口戦略で金利が上昇し、政府の負債対GDP比率が上昇する」
 と、根拠なき「独自試算」を主張し、PB黒字化や歳出削減策を推進しようとしているわけです。

 上記の「独自試算」がバカげているのは、インフレ率、金利、経済成長率等の関係を無視しているためです。


 日銀の量的緩和が終了し、例えば長期金利が3%に上がったとすると、その時は当然、インフレ率も上がっているはずなのです。といいますか、そもそも金利はインフレ率をベースに決まります。現在の日本の長期金利が超低迷しているのは、デフレでインフレ率が低いためなのです。


 今後、インフレ率が3%に上昇したとき、当然ながら長期金利も同水準に上昇しているでしょう。とはいえ、繰り返しになりますが、名目GDPの成長率は「実質GDP成長率+インフレ率」なのです。


 実質GDPが2%(しょぼいですが)、インフレ率が3%になれば、単に名目GDPが5%成長になるだけです。金利が上昇したところで、ドーマ―条件は成立するため、政府の負債対GDP比率は低下していきます。


 つまり、河野太郎らは、
「インフレ率は上昇しないが、金利だけが上昇する」
 と、ファンタジーの世界の想定に基づき、
「日本の財政は成長では改善しない。PB黒字化や歳出削減が必要だ」
 と、主張しているわけです。


 この手の「成長を否定する政治家」は、日本には不要だと確信します。


「成長を否定する政治家は、いらない!」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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