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『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17

https://youtu.be/54A1iQdY8Zs

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一般参加可能な講演会

5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』

パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志

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 本日は、FMフジ「なんでもカウンセリング~You&Me~」に出演します。
http://fmftp.lekumo.biz/nandemo/


 さて、一昨日、総務省から家計調査(二人以上の世帯)が発表されました。


 実質消費は、対前年比で▲2.9%。現時点では、常に実質消費が一年前と比べてマイナスの状況が続いています。まあ、実質賃金が下がっている以上、当たり前なのですが、とりあえずグラフ化してみますか。


【日本の実質家計消費支出の推移(対前年比%) 】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Jsyohi


 上記の通り、日本の実質消費は2014年4月以降、「L字型」に落ち込んでいます。すなわち、14年4月に大きく落ち込み、そのまま横ばいでプラス化しない状況が続いているわけでございます。


 実質消費が3%前後で対前年比で下がり続けるとは、これは一年にならすと巨大な話になってしまいます。何しろ、日本の民間最終消費支出は300兆円規模です。年間に10兆円規模の消費という需要が減ることになります。


 内閣府は、直近のデフレギャップ(需給ギャップのマイナス)を12兆円と試算しています(平均概念の潜在GDPであっても)。日本の需要不足のほとんどは消費の不足であり、これは消費税増税という安倍政権の失政が引き起こしたものなのです。


 消費税は「財政」の問題です。すなわち、増税という緊縮財政により「需要を削減」した結果、消費が低迷しているわけでございます。だからこそ、解決策は「財政」の拡大になります。すなわち、政府が減税や財政支出削減の拡大で、「財政的な需要縮小」を「財政的な需要拡大」でカバーする必要があるわけでございます。


 消費税増税という「財政の問題」に対し、金融政策で対処することは、少なくとも「充分」にはできません。なぜなら、日本銀行が金利の引き下げや量的緩和により、民間企業・家計の「借入拡大と投資」が拡大することは、其れこそ誰も「コミットメント」することはできないためです。


 コミットメント。某中央銀行が原因で、随分と軽い言葉になってしまったように思えますが、コミットメントとは本来は「責任を伴う約束」という意味です。誰も責任を取らないのでは、コミットメントは成立しないのです。


 それはともかく、消費税増税という「財政の失敗」により需要が不足しており、「財政(消費減税・政府支出拡大)」でカバーしようとしたとき、政府は「コミットメント」できます。12兆円の需要が不足しているならば、政府が、
「補正予算を12兆円追加し、需要を増やす」
 とやれば、コミットメントは100%守られます。金融政策とは異なり、財政政策は少なくとも政府が消費、投資として支出した金額分、需要が拡大するわけです。


 財務省は消費税率を増やせば税収が増えると計算しているのでしょうが、それはあくまで、

「消費税率を増やしても、消費が減らない」

 という前提になっているわけです。

 現実は、どうですか?


 そんなことは、足し算ができる人であれば誰でも分かると思いますが、未だに政治家の多くは、
「消費税増税で景気が失速したなら、金融政策を拡大すればいい」
 と、「財政の失敗」を「金融政策」でカバーしようとします。そもそも、金融政策の効果は「測定不可能」なのです。


 財政という「数値化」できる世界の失敗を、測定不可能な金融政策で何とかしようとする。率直に書くと、「バカ」でございますね。何故に、普通に、
「財政の失敗は、財政で回復する」
 という普通の発想にならないのか。謎でございます。政治家や学者、評論家、学者たちは、そこまで「バカ」なのでしょうか。それとも、他に別の目的があるのでしょうか。分かりません。


 一部の新聞は、ついに「現実」から目を逸らし始めました


『なぜ物価だけ横ばい? 雇用や消費持ち直したが
http://www.nikkei.com/markets/features/13.aspx?g=DGXLASFS27H2G_27032015I00000
 2年近く続いてきた消費者物価の伸びが止まった。総務省が27日公表した2月の消費者物価指数(CPI、2010年=100)の前年同月比伸び率は14年4月の消費増税の影響を除いてゼロ%。伸び率は14年4月をピークに縮小傾向が続いており、ついに13年5月以来の横ばいになった。
 デフレ脱却をうかがう日本経済は再びデフレに戻ってしまうのだろうか。だが経済環境を見渡すと、雇用が約23年ぶりの高い水準にあったり、消費が持ち直しつつあったりと決して悪くはない。物価の動きを鈍らせる「犯人」を追ってみた。(後略)』


 え・・・?
 消費が持ち直した・・・・?
 一体、何を根拠にしているのでしょうか。


 日経新聞は、
「消費支出は物価の動きを除いた実質で前年同月比2.9%減。ただ1月の5.1%減と比べると減少幅は大幅に縮み、持ち直しに向かいつつあるといえる」
 と説明していますが、恐るべき認識です。実質消費がマイナスということは、
一年前と比べて、消費が減少している(した)
 という話であり、それ以外の事実はありません。消費が「持ち直した」などという事実はありません。


 そもそも、グラフを見れば分かりますが、2014年11月の実質消費は対前年比▲2.5%まで減少幅が「大幅に縮み」ましたが、その後、再び減少幅が拡大しました


 いずれにせよ、実質消費がマイナスで推移している以上、消費者物価が安定的なプラスで推移するはずがないでしょうに・・・・。


 何でしょう・・・。



 消費者物価指数が(コアCPIで)上昇率ゼロに落ち込み、間もなくマイナスに突っ込むでしょう。実質消費の低迷は、年間に10兆円以上の需要不足を我が国にもたらしています。


 それにも関わらず、日本「経済」新聞と名乗る大手紙が、実逃避の記事を書き、政権用語、政策(消費増税でしょう)擁護に専念する。これでは、問題が解決するはずがありません。


 現在の日本経済の一番の問題は、
「問題があること」
 ではなく(問題はいつでもあります)、
問題を問題として認識しないように、目を逸らし続ける人々
 が多いことだと痛切に感じた次第でございます。


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