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チャンネルAJER更新しました!

『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17

https://youtu.be/54A1iQdY8Zs

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』

パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志

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 本日はチャンネル桜「報道ワイドウィークエンド日本」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1521


 次回(第四回)の三橋経済塾のゲスト講師は、藤井聡先生でございますが、先生がロイターでインタビューに答えていらっしゃいましたので、ご紹介。


インタビュー:積極財政が健全化の近道=藤井内閣官房参与
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0MM09U20150326
 (前略)
第1回は、安倍晋三首相のブレーンのひとりで、債務残高対国内総生産(GDP)比こそ健全化目標の最終ゴールだと首相に進言してきた内閣官房参与の藤井聡・京都大学大学院教授に聞いた。
 藤井氏は、財政出動による「積極的財政健全化策」を主張する。財政出動によって一時的に財政は悪化するが、タイムラグをもって成長が誘発され、安倍首相が掲げる「成長」と「財政健全化」の両立が図れると強調。歳出改革などを急げば二兎を追う首相の「大義」を逃すことになると批判的だ。
 藤井氏は、財政健全化で最も合理的なのは「アベノミクス投資プラン」を宣言することだと提言。実需だけでなく、日銀の異次元緩和(QQE)以上に期待に働きかける効果があるとした。
インタビューは20日に行った。概要は以下の通り。
──財政健全化計画の基本的な考え方は。
「成長なく、ただただ歳出をカットしていく手法は、その単年度において財政は健全化したかのように見えるが、成長率が低下してしまえば、中長期的に税収は減る。それは国民の幸福にはつながらない」
「一方、成長を前提とした財政健全化計画を立てれば、1年目において財政は拡大し、その年次においては財政は悪化したかのようにみえることもあり得るが、翌年には、適切な財政政策であれば、必ず成長を促す。その結果、税収が増え、2年目以降、PB(基礎的財政収支)が黒字化の方向に改善していく。このタイムラグがあることがポイントだ」
「『消極的財政健全化策』と『積極的財政健全化策』があるとすると、『消極的財政健全化策』では一兎(=PB)しか得られず、しかも、数年間の期間で考えると、その一兎すら逃してしまう。『積極的財政健全化策』をとれば、初年度においてはPBの一兎を失ったかのようにみえるが、2年目、3年目以降は成長と財政健全化のどちらの兎(うさぎ)も手に入れることができる。積極的な財政を基本として、成長率を確保し、その帰結としてPBも改善し財政も健全化していく道筋が国民の幸福につながる」
──歳出改革や将来の消費増税も含めた財務省的発想は、財政健全化には逆効果か。
「財務省的発想が何を意味するかは明確ではないが、少なくとも財政の考え方に緊縮財政と積極財政の2種類があるとすると、緊縮財政はデフレ時代には中長期的に財政を悪化させ、適切な支出に基づく積極財政は、財政を中長期的に健全化させると考える」
──政府は20年度PB黒字化を目標に置いている。目標設定も誤りか。
「積極的財政健全化策が正しく、消極的財政健全化策が誤りであると考えているわけで、2020年度PB黒字化については誤りうんぬんではない。政府の目標として『目指す』ことに反対するものではない」
「アプローチの問題だ。ただし、PBよりも日本の財政健全化において重要なのは、債務残高対GDP比である。国際公約上もそれが最終目的と明言している。PBだけに固執するのは『木を見て森を見ず』、大きな誤りをもたらすことになる。債務残高対GDP比のほうが、デフレ下において、安倍内閣が目指している『二兎』を追う作戦では、より優れた尺度であることは自明だ」(後略)』


 改めて整理します。

 国民は「所得」から税金を支払います。そして、所得の合計が、もちろんGDPです(分配面のGDP)。というわけで、当たり前の話として、名目GDPが増えれば、政府の税収は増えます


 名目GDPとは支出面で見ると、「民間最終消費支出」「政府最終消費支出」「民間住宅」「民間企業設備」「公的固定資本形成」「在庫変動」「純輸出」の合計金額になります。小学生でも分かると思いますが、政府が緊縮財政で「政府最終消費支出」「公的固定資本形成」、つまりは政府の消費と投資を減らしてしまうと、少なくともその金額分、GDPは減ります。


 無論、GDPが減ったとしても、それ以上のペースで民間が支出(消費、投資)を増やせば、経済は成長します。経済成長、すなわち名目GDPが拡大すれば、税収は放っておいても増えます。


 とはいえ、デフレ下の政府が緊縮財政を実施すると、単に「GDPが減る」というだけの結果をもたらすことになります。すると、税収が減り、財政は却って悪化することになるわけです。プライマリーバランス(以下、PB)黒字化の時期が、遠のきます


 逆に、現在の日本政府が財政出動拡大で、消費や投資を増やせば、絶対にそれ以上の金額分、GDPが増えます。GDPが増えれば、税収も増加し、プライマリーバランス黒字化という目標は近々、達成されることになるでしょう。


 デフレの現在、政府が財政を健全化したいと考えるならば、取るべき道は藤井先生のいう「積極的財政健全化策」以外にはありえないのです。と言いますか、他の手法では必ず財政が悪化し、更なる緊縮財政という最悪のプロセスを進むことになります。


「景気が良くなる(=GDPが増える)と、政府の財政が黒字化するなど、信じられない」
 と、思われた方は、以下のグラフをご覧くださいませ。


【日本の企業、政府、家計、海外の資金過不足(単位:億円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_48.html#Sikinkabusoku


 誰かが資産(債権)を増やしたとき、必ず誰かの負債(債務)が増えています。政府の財政が黒字化するとは、「政府が債権を増やした」という話になりますが、その状況は日本銀行の資金過不足のデータを見れば一発で分かるのです。


 上図で、日本政府が「ある時期」に資金過剰(債権が増えた)になっていることが分かるでしょう。
 そう、バブル期です


 バブル期は実体経済も好調で、名目GDPがかつてない勢いで拡大していました。当然、政府は税収ガポガポなので、財政が黒字化したわけです。


「三橋は政府の財政を黒字化したいならば、バブルにしろと言っている」
 というわけではありません。単に、バブル期に名目GDPの成長率が高まり、政府の財政が黒字化したという事実を申し上げているだけです。

 バブル(資産価格の高騰)は本質ではなく、重要なのはあくまで所得(名目GDP)の成長速度ということです


 そもそも、「財政健全化」の定義は、PBの黒字化ではありません。政府の負債対GDP比率の引き下げです(藤井先生は「債務残高対GDP比の引き下げ」と呼んでいますが、同じ意味です)。

 政府の負債対GDP比率は、PBのみではなく、国債金利と名目GDP成長率という三つの要素の関係により決まります。現在、日銀の金融政策で国債金利が異常な水準に低下しています。ほぼ「ゼロ」と考えても差支えがないでしょう。 


 というわけで、大雑把なことを書くと、
政府のPBの【赤字】による悪影響を上回るペースで名目GDPが成長すれば、政府の負債対GDP比率は下がる」
 わけでございます。

 何億回と繰り返したいわけですが、財政健全化のためにも、現在は政府の財政政策拡大が必要なのです。


「政府は財政健全化のためにも財政政策を拡大せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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