飽和点(後編)

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『高度成長期に学ぶ①』三橋貴明 AJER2015.3.10

https://youtu.be/cAze-cExL_s

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

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 本日は三橋経済塾第四期第三回の講義開講日です。ゲスト講師は青木泰樹先生です。
 インターネット受講の方は、一週間ほどお待ちくださいませ。


 さて、本日の経済塾の講義でも取り上げる予定なのですが、日銀のインフレ目標の指標たるコアCPIと、WTI原油価格先物指数をグラフ化してみました。


【日本のコアCPIとWTI価格指数の推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#WTI


 無論、エネルギー価格を含むコアCPIとはいえ、
「エネルギー価格に完全に依存している」
 などということはあり得ません。とはいえ、昨年夏以降のコアCPI上昇率とWTIの下落が「無関係」などと主張する人は、さすがに皆無でしょう


 相対価格は、一般物価に影響を与えているのです。岩田副総裁らがバカにしていた「足し算エコノミスト」が正しかったのです。


 と言いますか、今年の2月4日時点で、岩田副総裁は日銀インフレ目標達成の時期が遅れた(笑)理由として、
主として原油価格の下落
 が原因であると説明しています。原油価格の相対価格が下落した結果、一般物価であるコアCPIが影響を受けてしまったわけですわな、はい。何しろ、
「これほどの原油価格の急落は予想できなかった」
 と弁明されたわけですから、ご自身もまた足し算エコノミストに鞍替えされたようでございます。

 それはともかく、問題は日本のみならず、世界の主要国の多くが物価の低迷に悩まされているという現実です。無論、技術的ブレイクスルーにより供給能力が引き上げられた、という観点はあります。


 とはいえ、わたくしはそこに一つ、仮説を提示したいのでございます。

 そもそも、グローバリズムの肝は、
「これまでは高所得の労働者を国内で雇用し、グローバル市場に輸出していた」
 企業が、工場を外国に移すことで、
「外国で低所得の労働者を雇用し、グローバル市場に輸出する」
 ことで、資本収益率を最大化することにあります。別に、付加価値自体は増えていないのですが、資本移動により「国内の労働者の所得」が、「株主・企業経営者」や「外国の労働者」に移転されることになるわけです。


 ところが、企業が工場を移した「外国」の国民(もしくは人民)が豊かになると、人件費が上昇してきます。すると、企業は「より資本収益率を高める」ために、さらに別の外国に工場を移そうとします。


 分かりやすい例を挙げておくと、韓国に生産拠点を移した日本企業が、韓国人の人件費上昇を受け、中国に工場を移転しようとする、という話になりますね。中国の人件費が上がれば、次は東南アジアへ、南米へと、安い人件費を求めて工場を移動していくわけです。


 工場が移されてしまった国、上記の例でいえば、まずは日本、そして韓国の人々は、雇用が失われ、実質賃金が下落をしていくことになります(しています)。つまりは、貧困化です。


 企業が「国民の企業」という考え方を捨て、国家意識なきグローバル企業として次々に「安い人件費」を求めてイナゴのように各国の「所得」を食い散らかしていくことになるわけです。


 結果的に、主要国の国民の実質賃金が上昇しなくなると、当たり前ですが購買力が低下することになります。購買力が低下した国民は、消費を増やしません。住宅投資も、先送りしようとするでしょう。


 結果、需要不足が各国に蔓延。原油価格が下落したにも関わらず、需要が高まらないのは、単に「初めから十分な需要がないため」だとしたら・・・。


 世界経済は、グローバリズムがもたらす、ある種の「飽和点」に向かいつつあることになります。 

 FRBのイエレンFRB議長は、2月24日の米上院銀行委員会で、インフレ率が目標の2%を大幅に下回っていることについて、
「その大きな要因は、主にエネルギー価格の下落など、一時的なものであると考えている」
 と述べました。
 日銀の黒田総裁は、2月26日の参院財政金融委員会で、
「原油価格が現状から緩やかに上昇するなら、2015年度中心に2%の物価目標に達する可能性が高い」
 と語りました。


 エネルギー自給率6%の国が、インフレ目標達成のために「原油価格上昇」を期待するという発想が分かりませんが、それは置いておいたとしても、果たしてそうでしょうか?


 現在の主要各国のインフレ率の低迷が、グローバリズム進展による各国国民の実質賃金低下による「構造的な需要縮小」が原因だとしたら・・・・。原油価格は上昇することなく、世界の主要国が次々に「デフレ化」していくことになるでしょう。


「いや、株価が上昇している! 大丈夫!」
 などと言われてしまいそうですが、国民の実質賃金低下が続き、14年の経済成長率がマイナスになったにも関わらず、日経平均が15年ぶりの高値に上がっている時点で、異様なのです。外国人投資家の取引が65%を占める日本の証券市場において、株価は決して「先行指数」ではありません。


 いずれにせよ、
グローバリズムが、ある種の飽和点を迎えたのではないか
 という問いが、今後の日本はもちろんのこと、世界経済の行く末を決定づけるように思えてなりません。


 無論、「だから、終わりだ」という話ではなく、上記を踏まえて「ならば、どうするべきか」を考えなければならないという話でございます。


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