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『国の借金シンドロームの治療(後編)①』三橋貴明 AJER2015.2.24(3)
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3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。
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昨日、ご紹介した首都高速道路、中央環状線「大橋-大井」区間を走ってみました。
凄く、快適です。快適過ぎて、スピード出し過ぎの事故が起きるのではないかと、心配するほどでございます。
それにしても、学生時代(免許取りたての時代)から延々と工事を継続し、渋滞するのが当たり前だった山手通りの地下を、途轍もなく近代的な高速道路で一気に走り抜けるのは、正直、感動ものでございます。首都高速道路や工事関係者の皆様、素敵な道路をありがとうございました。
わたくしが走った時間帯は、交通量が最も少ない頃でしたので、ピーク時の大橋JCTの状況は確認できておりません。大渋滞が頻発するようなことにならなければいいのですが、それだけが懸念点です。
さて、朝日新聞に吃驚するような記事が掲載されていましたので、ご紹介。
『(@ワシントン)「インフラ貧困国」
http://digital.asahi.com/articles/ASH343JCJH34UHBI00T.htmliref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH343JCJH34UHBI00T
インフラ投資、公共事業というと、日本では「無駄遣い」「作り過ぎ」などの批判が長年続いてきた。以前の赴任先だった長野では、長野市中心部に近いダム建設の是非をめぐる「脱ダム」運動が吹き荒れていた。
だが、米国で議論になっているのは、その逆。インフラ投資が足りていないという議論だ。
インフラが全国津々浦々に行き届いた日本で、私が育ったということもあるかもしれないが、米国で暮らしていると、確かにいたる所でインフラの貧弱さを感じることが多い。(後略)』
後略部で、朝日新聞は「これでもか!」とばかりに、アメリカのインフラ貧困国ぶりを伝えています(インフラ貧困国とは、日本ではなくアメリカを指すのです)。
メンテナンスが全くなされておらず、むき出しの鉄骨が露出し、雨漏りが絶えない「地下鉄の駅」(タイムズスクエア駅)。
世界経済フォーラム2014年発表の「交通・通信など全体のインフラ質ランキング」で、日本はもちろん、スペインやポルトガルよりも低い16位に終わったアメリカ。
毎年のように「橋の崩落事故」が発生しているにも関わらず、「小さな政府」志向によりインフラを増やせないアメリカ。
高速ブロードバンド網の整備が、何と世界15位に低迷しているアメリカ。
ちなみに、朝日新聞でございますから、
「だから、アメリカのようなインフラ貧困国に陥らないよう、日本もきちんと公共投資に支出をしよう」
などという結論にはもちろんなりません。
国土交通省によると、日本の交通インフラのうち築50年以上たっているものの割合は、現在は2割程度ですが、2040年には8割近くに達することになります。
記事は、
「高度成長期に先人が借金で造った膨大なインフラを、低成長時代の将来世代がその改修の費用を負う社会になる。先進国でも群を抜く借金大国で、それが可能なのか。ことは米国以上に深刻な気がする。」
と、いかにも朝日新聞らしい結末となっています。
興味深いのは、朝日の記者すらも、
「インフラが貧弱だと生産性も低下する。」
と、書いているにも関わらず、
「日本国の『将来のインフレギャップ(供給能力の不足)』をカバーし、生産性向上を達成するために、今、公共投資を拡大することで『現在のデフレギャップ』を埋める」
という、ごくごく当たり前の解決策に行き着けないことです。
生産年齢人口比率が低下している以上、将来の日本が「超人手不足」の状況に陥ることは、火を見るよりも明らかなのでございます。超人手不足、インフレギャップの状況になったとき、生産性の向上によりギャップを埋めようとしたとき、我が国は再び経済成長率が高まることになります。
落ち着いて、先入観なしで、
「生産年齢人口比率が低下する意味」
「インフレギャップをどのように解決するのが適切か」
「生産性向上が所得を拡大する現実」
を理解すれば、誰でも「同じ結論」にたどり着けるはずなのです。
ところが、朝日新聞の記者にしても(というか、朝日新聞の記者だからなのでしょうが)、「国の借金!」「人口減少で衰退する日本」といった先入観に囚われ、それぞれの事象が何を意味するか、考えようとしません。
このまま我が国が「朝日新聞的思考」でインフラ投資を怠っていくと、将来的に我が国こそが「インフラ貧困国 日本」と呼ばれることになるでしょう。
昨日、全面開通となった首都高速中央環状線を走れば分かりますが、我が国のインフラ建設の「供給能力」は、まだ健在です。供給能力が残されているうちに、国民や政治家のマインドを切り替えなければ、我が国はインフラ貧困国目がけて全速力で突き進むことになります。
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