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『混迷するヨーロッパ①』三橋貴明

http://youtu.be/FqrH-77ekms

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 三橋経済塾第四期「経済時事」、開講しました。


 日曜日は三橋経済塾第四期「経済時事」第一回講義でございました。「経済時事」なので、基本的には時事ネタを絡めます。
 昨日はスイス、日本、ギリシャを主に取り上げました。次回のテーマは、一週間ほど前に決まります。
 インターネット受講の方は、「塾生コンテンツ」に一週間ほどでアップされますので、しばらくお待ちくださいませ。
 第一回はケーススタディでしたが、二回目以降はゲスト講師にお話しいただきます。第二回のゲスト講師は「評論家」の中野剛志先生です。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/


 スイスの長期金利(十年物国債金利)が、ついに「ゼロの壁」を突破し、マイナスに突入してしまった今日この頃でございますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。三橋貴明です。


 明日は、文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、長期金利といえば、我が国も相変わらず下がり続けています。


長期金利一時0.205% 過去最低水準を更新
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150119/t10014790061000.html
 19日の東京債券市場は、日銀が大量に国債を買い入れる大規模な金融緩和を続けていることなどを背景に国債を買う動きが一段と強まって、長期金利は0.205%まで低下し過去最低の水準を更新しました。
 19日の東京債券市場は、午後に入って日本国債を買う動きが一段と強まり、長期金利の指標となる償還までの期間が10年の国債の利回りは、0.205%まで低下して過去最低の水準を更新しました。
 長期金利が過去最低を更新するのは、これで今月13日から5営業日連続となっています。
 長期金利が低下しているのは、日銀が大量に国債を買い入れる大規模な金融緩和を続けていることに加えて、19日の中国・上海市場での大幅な株価下落で、投資家がリスクを避けようと比較的安全な資産とされる日本国債を買う動きを強めたためです。

 市場関係者は、「世界経済の先行きに対する不透明感があるなか、アメリカやヨーロッパ各国でも長期金利は低下傾向で、日本でもこうした傾向が続くとみている投資家が多い」と話しています。』


 日本の長期金利が超低迷しているのは、
「世界経済の先行きに対する不透明感がある」
 といった定性的な話ではなく、単に、
デフレで民間の資金需要が乏しい
「日本銀行の国債買取により、金融市場が国債不足になっている
 ためです。


 何というか、ここまで金利が下がる異常事態について「不透明感がある」などと、意味不明な用語で説明しようとする人がいるわけですから、日本の問題が解決できるはずがありません。


 現在の日本は、政府が国債を「増発しなければならない」局面です。何しろ、金融市場が国債不足でアップアップになりつつあるのです。


 政府の国債増発と財政出動により、国内の「仕事」あるいは「投資を伴う仕事」が増えていけば、民間の資金需要もようやく回復し、生産者の実質賃金も上昇に転じるでしょう。「国債増発」と「財政出動」の二つが実施されない限り、日本は再デフレ化への道をひた走ることになります。

 もう一点、気になることがあります。


【2014年9月末時点(速報値) 日本国債所有者別内訳(総額は860.6兆円) 】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#Kokusai


 14年9月末速報値データによると、日本銀行が保有する国債のシェアは20%を突破してしまいました。わたくしが上記のグラフを造り始めた頃は、日銀保有国債の割合は5%程度だったと記憶しております。


 日本銀行の量的緩和は、「民間銀行」が保有する国債を買い取り、新たな日本円を発行するというプロセスです。日本銀行の怒涛の国債買いにより、民間銀行が保有する国債は、すでに280兆円にまで「減ってしまっている」のです。

 黒田日銀総裁は、昨年十月末に、金融政策の拡大ということで、通貨発行枠を年90兆円に拡大すると宣言しました。という事は、今後、三年間、量的緩和が続けば、民間銀行が保有する国債の枯渇が視野に入って来るという話になってしまいます。その時点で、日本経済が完全にデフレから脱却し、量的緩和が不要になっていればともかく、そうではない場合、日銀は先日のスイス国立銀行と似た立場に追い込まれることになると思います。


 それ以前に、民間銀行が保有する国債がさらに縮小し、各銀行が存続できるのかどうかすら、分かりません。無論、国債がないならば、民間企業に貸し出すのが本質ですが、そもそもの問題は「民間の資金需要が乏しい」ことなのでございます。政府がプライマリーバランスに囚われ、国債増発と財政出動に乗り出さない限り、民間の資金需要は戻らないでしょう。


 要するに、我が国の金融政策は、「未知の世界」に突入しつつあるのです。二年後、三年後に、民間銀行の国債が無くなりつつある中(それ以前に、小さい金融機関から倒産が始まっているように思えますが)、日本銀行が、
このまま民間銀行の国債が尽きるまで量的緩和を続けるか、スイス国立銀行の二の舞をやり、超円高とデフレ化を招くか
 の選択を迫られる可能性を、わたくしは恐れているわけでございます。スイスはともかく、日本のような大国が先日のスイスフランショックのような金融混乱を引き起こしてしまうと、「世界経済」がただでは済まないでしょう。


 ちなみに、タイトルの「パックマンの口が開いていく」ですが、上図「日本国債所有者別内訳」で日本銀行(白色部分)が次第に大きくなっている光景を、三橋経済塾四期生のS君が、
「パックマンの口が開いていっているようですね」
 と、見事に表現されたので、採用させて頂きました(笑)。




 いや、笑っている場合ではないのですが。


「確かに笑っている場合ではない」と、思われた方は、

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