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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)

http://youtu.be/AjgzRylJOYk

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 三橋経済塾第四期「経済時事」、開講しました。



 本日から正月休みが明け、本ブログに今年初めてアクセスされた読者様も少なくないと思います。改めまして、明けましておめでとうございます


 三橋経済塾第四期「経済時事」 は、1月1日から入塾の申込受付を開始しております。IDとPDは、本日から送付となります。


 すでに、事前講習用音声コンテンツと、今年一年間のスケジュールは掲示されています。すでに、ゲスト講師が決定している月(二月、中野剛志先生。四月、藤井聡先生)もあります。ゲスト講師は、決定次第、順次アップデートしていきます。
 
 さて、いきなりドイツから「爆弾」(本ブログ的に)が飛んできましたが、その前に、わたくし以外、誰も取り上げないであろう「ユーロ国債金利」の状況について確認しておきましょう。


 ユーロ主要国の長期金利は、以下の通りとなっています。


ドイツ:0.5%(!)
フランス:0.78%(!)
イタリア:1.74%
スペイン:1.5%(!)
アイルランド:1.1%(!)
ポルトガル:2.42%
ギリシャ:9.25%(!)


 いつの間にか、アイルランドまでもが長期金利1%割れ目前になっています。

 逆に、ギリシャの長期金利は、昨年9月には6%を「下回っていた」のですが、最近は急上昇中です。と言いますか、ユーロ圏ではギリシャのみが長期金利上昇の局面にあります。


 理由は、言うまでもないですが、緊縮財政を推進するサマラス政権が行き詰まり、大統領選挙に賭けたものの、ついに三度の投票でも大統領を選出できず、今月、総選挙に突入することが決定したためです。総選挙になれば、反・緊縮財政路線のSYRIZA(急進左派連合)が勝利することになるでしょう。


 民主主義により、ギリシャは緊縮財政を否定することになるのです。そうなれば、EU、IMF、ECBという、いわゆる「トロイカ」はギリシャへの融資を打ち切りに動くことになります。結果的に、「中途半端な反緊縮路線」を進むSYRIZAと、「中途半端なギリシャ支援」を進めるトロイカとの間で駆け引きが続く「グダグダ」の状況になると予想していたのですが、そうはならないかも知れません


『「独、ギリシャのユーロ離脱容認も」 独誌報道
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H0O_U5A100C1000000/
 ドイツ有力誌シュピーゲル(電子版)は3日、債務危機に陥り政治的混乱が続くギリシャについて、必要な場合はユーロ圏からの離脱をドイツ政府が容認する方針だと報じた。ドイツ政府筋の話として伝えた。
 ギリシャは欧州連合(EU)主導の緊縮策継続の可否を争点にした総選挙を25日に行う。世論調査では、緊縮路線の見直しを唱える最大野党の急進左派連合(SYRIZA)が首位に立ち、欧州市場への影響が懸念されている。ドイツはギリシャの有力支援国。
 報道によると、同党が勝利して緊縮路線を見直した場合、ドイツ政府はギリシャのユーロ圏からの離脱は避けられないとの立場。ギリシャの離脱によるユーロ圏への影響については、メルケル首相とショイブレ財務相が限定的との見方で一致しているという。
 ギリシャに端を発した欧州債務危機に揺れたポルトガル、アイルランドに対する懸念が和らいだことや金融安全網「欧州安定メカニズム(ESM)」が発足し、財政危機に陥った国への緊急融資などを実施する態勢が整ったことが背景にある。
 一方、ギリシャがユーロ圏を離脱した場合、どのような形でEUにとどまるかについては答えが出ていないという。』


 三橋経済塾第三期の最終回講義は「経済学と民主主義」というテーマでした。構造改革主義者、グローバリスト、そして経済学者は、民主主義がお嫌いです。


 だからこそ、日本の場合は、
産業競争力会議の民間議員
 などと称した政商が政府の中枢にもぐりこみ、民主主義や政党政治をバイパスして「自社のための政策」「私益のための政策」を実現しようとするわけです。


 あるいは、アメリカの場合は「ロビイスト」を使い、企業や投資家が政治家に影響力を行使しようとします。


 なぜ、彼らが民主主義をバイパスしようとするかといえば、もちろん、
「民主主義が正常に機能したならば、一部の企業や投資家のみを利するのみならず、国民を貧困化させるような政策は推進が困難
 になるためです。要するに、自分たちが儲けるための社会「改革」をする上で、有象無象の有権者が投票する民主主義が邪魔という話でございます。


 というわけで、一部の勢力は構造的に「民主主義が機能しにくい」体制を構築し、国際協定により実現してしまいました。もちろん、共通通貨ユーロのことです。


 現在のユーロで発生していることは、主流派経済学をベースにした「共通通貨のシステム」を維持するための緊縮財政、デフレ化路線と、民主主義に基づく反緊縮財政、反デフレ化路線の対立なのです。ギリシャの民主主義が正常に機能しているならば、むしろSYRIZAが勝たなくてはならない局面です。何しろ、現在のギリシャは失業率が未だに25%を上回っているにも関わらず、政府がトロイカからの融資を受けるために緊縮財政を継続し、国民を貧困に追いやっているわけです。


 SYRIZAの勝利が確実視されていくと、ギリシャの長期金利は上昇していくでしょう。とはいえ、何しろデフレ化路線をひた走っている以上、他のユーロ加盟国の金利はむしろ下がっていくでしょう。と言いますか、現時点で「異様な水準」にまで金利が落ち込んでいるわけです。


 ある意味で、長期金利という市場は、ギリシャを「ユーロから切り離す」ことを織り込み始めていると言えるのかも知れません。


 ウクライナでは、同国の国営原子力発電所にき「アメリカ企業」から供給される核燃料の量が増やされることとなり、ロシアが反発しています。ウクライナのNATO加盟問題といい、いわゆる「ハートランド」では現在も米ロ両国による新冷戦が継続しているのです。


 さらに、中国ではバブル崩壊と経済低迷が明らかになる中、習近平主導の権力闘争が終わりません。昨日、中国共産党の中央規律検査委員会はが、南京市のトップである楊衛沢・同市党委員会書記が、「重大な規律違反」の疑いで当局の取り調べを受けていることを明らかにしました。


 3月には、昨日のエントリーにもある通り、スウェーデンで「移民問題」をテーマに総選挙が行われます。


 2015年が始まりました。


 今年がユーロにとって「運命の年」になるのは確実だと思いますが、我が国にとっては、
デフレ化路線からのようやくの決別
 という意味における「運命の年」となるよう、精一杯頑張りたいと思います。


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