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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)

http://youtu.be/AjgzRylJOYk

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 明日はTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 本題に入る前に、気になるニュースを二つ。


ウクライナが中立原則を放棄 NATO加盟方針を法制化
http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014122301001918.html
 ウクライナ最高会議(議会)は23日、安全保障政策をめぐり従来の中立原則を放棄し、NATO加盟を目指す関連法の改正案を圧倒的多数の賛成で採択した。
 隣国にNATOが拡大する事態を警戒するロシアの強い反発を招くのは必至で、ウクライナ東部の紛争収拾にも悪影響を及ぼす恐れがある。(後略)』


 以前から、ウクライナで米ロによる「新冷戦」が始まった件について触れてきましたが、ウクライナ側がいよいよ「最終的な一歩」を踏み出そうとしています。プーチン大統領は、エカテリーナ二世以来「ロシア領」だったウクライナのNATO加盟は、絶対に認めないでしょう。


『[ギリシャ議会の第2回大統領選挙、またもや選出されず
http://www.excite.co.jp/News/market/20141223/Fisco_00093400_20141223_018.html  』


 ギリシャ大統領選挙は(国会議員による選出)、二回目の投票でも大統領が選出されず、三回目にもつれ込みました。三回目(29日)はハードルが下がり、300議員中、180議員の賛成票が必要となります。(二回目までは200議員) 三回目でも大統領が選出されなかった場合、ギリシャは総選挙に突入し、恐らく「反・緊縮財政派」のSYRIZAが勝利することになるでしょう


 さて、藤井聡先生が、「三橋貴明の「新」日本経済新聞」に極めて興味深いコラムを軽視されました。


『【藤井聡】「PB目標」は「財政悪化」を導いている。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/12/23/fujii-122/
 2017年に10%に増税をするなら、中長期の公共投資プラン、すなわち、例えば、5年で50~70、80兆円程度(年間10~14、15兆円程度)の、
「アベノミクス投資プラン」
 とでも言うべきものを断行することが必要不可欠である、という事は、前回も申し上げた通りです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/12/16/fujii-121/
 こうした投資プランがあれば、その直接効果のみならず、民間の需要、投資が誘発されるという間接効果が大きく生じ、デフレと増税ショックを乗り越える力が我が国にもたらされる、一方でそれがなければ、我が国は将来的に「恐慌」とも言いうる状況に陥ることすら危惧される、という次第です。
 ただし現状は、こうした「アベノミクス投資プラン」が実際に断行されていく見通しは、極めて立てにくい状況にあります。
 なぜなら我が国は、基礎的財政収支(政府の収入と支出の差分)、すなわち、プライマリーバランス(PB)について、次のような強烈な「目標」を掲げているからです。(後略)』


 注意しなければならないのは、藤井先生が書かれている「財政悪化」とは、プライマリーバランスの赤字拡大ではなく、「政府負債対GDP比率の上昇」であるという点です。すなわち、政府の負債(財務省のいう国の借金)と名目GDPを比較し、政府の負債の比率が高まったら「財政悪化」、比率が下がれば「財政改善」という意味になるのです。国際的に見ても、この定義が正しいのでございます。


 コラムにおいて、藤井先生は、98年のデフレ深刻化以降の我が国では、

プライマリーバランスを改善すると、政府の負債対GDP比率が上昇(財政悪化)している
 現実を数値データをもって証明されています。


 デフレ期には、物価が継続的に下落し、国民の所得を引き下げます。そして、国民の所得の合計(金額)こそが「名目GDP」なのです。


 政府が主体的に「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化」を目指す場合、増税と政府支出削減という緊縮財政を実施するしかありません。実際に、
「2002年に小泉首相、竹中担当大臣により、プライマリーバランス黒字化という財政目標が日本に導入された
 以降、政府は主に政府支出削減でプライマリーバランスを黒字化しようと図りました。結果的に、デフレギャップが埋まらず、我が国はデフレ脱却できず、名目GDPの低成長が続いた結果、肝心の「政府負債対GDP比率」が悪化を続けたというのが現実なのです。

 藤井先生も書かれていますが、


『(引用)他の国々は、PB目標を掲げている限り財政政策を機動的に遂行していくことが不可能となることを知っており、自らの手足を縛るようなPB目標を掲げる事を回避し、「債務対GDP比」を直接の目標に掲げることが合理的であると判断しているものと考えられます。』

 なのでございます。


 プライマリーバランス黒字化を目標にする限り、我が国の政府は緊縮財政路線を採らざるを得ず、政府の負債対GDP比率(藤井先生の言う債務対GDP比)は悪化を続けていくことになるでしょう。


基礎的財政収支:安倍首相「複合的に検証を」
http://mainichi.jp/select/news/20141223k0000m020148000c.html
 安倍晋三首相は22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を2020年度までに黒字化するとの政府目標について「(財政再建にあたって)この指標を勘案するだけでよいのか。複合的に見ていく必要がある」と述べ、別の目安も参考にすべきだとの認識を示した。
 新たな目安について首相は詳細を示さなかったが、諮問会議では民間議員から「財政健全化では(国の借金残高から資産を引いた)純債務などを考慮に入れた議論が必要」との指摘もあった。国・地方の借金残高の対国内総生産(GDP)比は200%を超えているが、純
債務ベースで計算すると大幅に下がることになる。』


 いや、別に政府の純債務を見ることに反対しませんが、本質的な問題は、
財政の目標が、政府の負債対GDP比率を引き下げること
 になっていない点です。


 目標を政府の負債対GDP比率に置けば、実現の方法は「二つ」あることになります。すなわち、政府の負債を減らすか、もしくは「名目GDPを成長させること」です。

 さらに、総理が、
「成長と財政再建の両者を同時に達成する」
 と言明している以上、方法は一つに絞られます。もちろん、名目GDPを十分な速さで成長させ、政府の負債対GDP比率を引き下げることです。


 いずれにせよ、現状のまま「プリマリーバランス黒字化目標の罠」にはまっている限り、政府の負債対GDP比率は悪化し、同時にプライマリーバランス黒字化という目標自体も達成できません(わたくしは、そもそもPBを黒字化する必要があるとは思っていませんが)。


 それにしても、改めて振り返りますと、
「政府のマクロ成長モデルを、IMFの発展途上国型(供給制約があるモデル)に変更
「デフレギャップ計算時の潜在GDPを、最大概念の潜在GDPから平均概念の潜在GDPに変更
「財政目標をプライマリーバランスの黒字化に変更
 上記、我が国のデフレを長期化させた「指標、目標の変更」全てに、竹中平蔵氏が関わっているわけです。
 この事実は、重大極まりないと思うのですが、皆様はいかなる感想をお持ちになられたでしょうか。


「確かに、重大極まりない」と、思って下さった方は、

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