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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)

http://youtu.be/AjgzRylJOYk

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 「WiLL (ウィル) 2015年 02月号 」に連載反撃の経済学「再デフレ化する日本」が掲載されました。

 本日は18時から「頑張れ日本!全国行動委員会」大忘年会に参加させて頂きます。
http://www.ch-sakura.jp/events.html

 明日は、6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、日本は他国と比べた相対的な数値で見ると、別に「輸入大国」でも何でもありません。とはいえ、「エネルギー輸入大国」であることは間違いありません


 2011年の福島第一原発の事故を受け、我が国ではLNG(液化天然ガス)と原油の輸入が急拡大しました。結果、我が国の鉱物性燃料の輸入は、全体の三分の一の水準になっています。
 
【日本の財別輸入百分比の推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#zaibetu


 すなわち、我が国の物価や経済は、原油価格やガス価格の変動の影響を受けやすいのです。LNGの価格は、基本的には原油価格に連動するため、原油先物の価格が上がれば、日本の消費者物価は上昇します。逆に、原油先物が下がれば、消費者物価は下落します。


 無論、「食料(酒類を除く)とエネルギーを除く消費者物価指数」すなわちコアコアCPIであれば、エネルギー価格変動の影響をある程度は排除できます。ところが、日本銀行のインフレ目標はコアコアCPIではなく、「生鮮食品を除く消費者物価指数」すなわちコアCPIで設定されています
 結果、様々な「矛盾」が噴出し始めているのです。


日銀総裁「原油安は景気や物価押し上げる」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141222/t10014195951000.html

 日銀の黒田総裁はNHKの国際放送のインタビューに応じ、最近の原油価格の大幅な下落について、短期的に物価を下押しするものの、今後、景気や物価を押し上げるとして、原油安が日本経済に与える効果を強調しました。
 日銀の黒田総裁は22日午後、東京・渋谷のNHKを訪れて国際放送のインタビューに英語で答え、国内の景気について、雇用や所得の改善などを背景に緩やかな景気の回復は今後も続くという認識を示しました。
 また、ことし10月に決めた追加の金融緩和について、「個人消費や生産の弱さ、さらに原油価格の下落が続けば、今後、物価が上がっていくという人々の予想が影響を受けるおそれがあったため実施した」と説明しました。
 そのうえで、黒田総裁は「追加緩和のあと
、人々の物価予想は落ち着いており、金融市場も好意的に受け止めている。原油価格の下落はこの先、日本経済にとってよい影響をもたらす」と述べ、今後、原油安の効果が日本の景気を押し上げ、物価面でもプラスに働くという認識を強調しました。(後略)』


 そもそも、現在の日本政府及び日本銀行の物価に関する「政策目標」は何でしょうか。インフレ率を引き上げることそのものではありません。インフレ目標を設定することで、消費や投資を増やし、「国民の所得」を安定的な増加に持っていくことです。


 国民の所得が増えない中、物価のみが上昇すると、実質賃金が下落してしまいます(そうなっています)。実質賃金の下落は国民の「貧困化」です。国民が貧困化する中、原油価格の上昇で「インフレ目標達成」という事態が、少なくともインフレ目標を「CPI」もしくは「コアCPI」で設定していた場合、普通に起きえるのです。なぜなら、コアCPI(CPIも)は外国からのエネルギー価格の変動を含む物価指数なのです。


 当たり前ですが、外国から輸入する原油の価格が上昇し、それを日本の事業者が消費者物価に「そのまま上乗せ」した場合、日本のGDP(所得)は一円も増えません。増えるのは、日本に石油を輸出した外国のGDPです。輸入とは、日本のGDPにとって控除項目なのです。


(1) 日本の原油輸入1リットル100円+日本のガソリン販売1リットル(消費)150円
(2) 日本の原油輸入1リットル200円+日本のガソリン販売1リットル(消費)250円


 (1)と(2)において、日本のGDPはいくらになるでしょうか。答えは、両方とも同じ50円です。GDPとは「付加価値」の合計であり、売上の合計ではないのです。そして、日本の付加価値が増えなければ、日本国民の所得は増えません。


 要するに、「日本国民の所得拡大」を目的にするべき日本政府や日本銀行が、エネルギーを含むコアCPIでインフレ率を測っている時点で、奇妙極まりないのです。外国から輸入する原油価格上昇でコアCPIが上昇しても、日本国民の所得が増えているとは限りません。むしろ、エネルギーコストの上昇は国民の可処分所得を減らし、内需を縮小させる方向に機能します。


 というわけで、記事中にある黒田総裁の、
「原油安が景気や物価を押し上げる」
 は、認識として間違っているわけではないのです。


 問題は、その場合は、国民の可処分所得を増やす原油安が「コアCPI」を押し下げるため、日銀のインフレ目標達成を困難にするという、意味不明な環境が生じてしまうことでございます。


 結局、目標が、
国民の所得増大? それとも、物価引き上げ?
 という問題なのです。目標を「物価」に絞ってしまうと、原油高でコアCPIが上昇し、国民が可処分所得減少と実質賃金下落で困窮する中、「インフレ目標達成」という状況が発生しうるのです。


 逆に、「所得」に目標を置けば、「国民の豊かさ」が達成されない限り、目標達成とはなりません。そして、国民が豊かになるとは「実質賃金が上昇する」とイコールです。


 日本銀行は、今からでも構いませんので、インフレ目標の「インフレの定義」を、コアCPIからコアコアCPI、あるいはGDPデフレータに変更するべきです。さもなければ、原油安で国民の可処分所得が増え、実質賃金のマイナス幅が縮小する(縮小するでしょう)環境下において、日銀のインフレ目標達成がどんどん困難になるという、分けが分からない状況に至るでしょう。


「日本銀行はインフレ目標の定義を変更するべき」に、ご賛同下さる方は、

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