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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)

http://youtu.be/AjgzRylJOYk

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KADOKAWAちょく論に「三橋貴明の「経世済民」論 vol.4 『正しい物価の上げ方』 」が掲載されました。

 現在の日本国家にとって、最大の「リスク」は何でしょうか。仮想敵国である中華人民共和国の存在? もちろん、それもあります。


 が、中国の脅威以上に「脅威」なのは、「東京一極集中」だと思うのです。何しろ、スイス再保険会社(Swiss Re)の都市別再保険引き受けリスク調査結果によると、危険度が最も高い都市は「東京-横浜圏」だったのです。(14年4月のランキングでは、四位に大阪-神戸圏、六位に名古屋圏がランクイン(?)しています)


 Swiss Reの最高引受責任者であるマティアス・ウェーバー氏は、上記ランキングを発表するに際し、
「すでに今日、主要河川の洪水だけで、都市に住む3億8,000万人の人々が被害を受けるおそれがあり、また、2億8,000万人は深刻な地震の影響を受ける可能性があります。私達は、何が都市の回復力を高めるのか、人命、財産、経済的生産性の喪失を最小限にするには投資やインフラについて何を決定すべきかの理解をより深める必要があります。」
 と、述べています。


 東京-横浜圏、大阪-神戸圏、名古屋圏の場合、河川洪水のリスクもありますが、それ以上の脅威はやはり「大地震」でしょう。首都直下型地震、南海トラフ巨大地震という脅威が迫る太平洋ベルト地帯に、我が国は人口や経済拠点を集中させてしまいました。


 特に、東京圏への人口の集中は凄まじく、人口規模は3520万人と、文句なしで「世界最大」のメガロポリスです。


 経済合理性「のみ」を追求すると、東京圏への人口集中は「さらに進めるべし」という話になります。「所得の稼ぎやすさ」だけを考えるならば、東京圏への人口集中は推進して構わないのです。


 とはいえ、残念ながら我が国は「地震大国」です。


 例えば、東京圏への人口集中がさらに進み、人口規模が5000万人を超えるような事態になった段階で、首都直下型地震が発生したら? まさに、日本国家存亡の危機になってしまいます。

 人口流出で疲弊した地方は、東京を救おうとするでしょうが、「経済力」がなければどうにもなりません。ここでいう経済力とは、「モノやサービスの供給能力」つまりは潜在GDPを意味します。


 非常時に国民が助け合うためには、日本の場合は国土に国民がある程度分散し、それぞれが経済成長し、供給能力を蓄積しなければならないのです。東京圏から地方への企業、国民の分散は、あるいは更なる東京集中を食い止めることは、「東京都民の安全保障」という点からも極めて重要なのです。もちろん、逆も真なりです。


 非常時に、供給能力を蓄積した国民が助け合う。「困ったときは、お互い様」。これこそが、正しい意味における「ナショナリズム」であると確信しています。


 現在の日本が「地方振興」を実現し、東京から企業や人工の移動を促進するためには、最低でも「二つ」政策的に必要になります。


 一つ目は、インフラの整備です。インフラが整備されていない地方に、企業が本社や工場を移すなどということはあり得ません。

 二つ目は、法人税の優遇措置等で、企業の地方移転を後押しすることです。インフラが整備され、「地方に移ると得」な環境が生まれて始めて、東京圏への人口・経済力の集中が止まるでしょう。


 一応、遅々とした感じではございますが、上記二つは実現に向かい動き始めています。


北海道・北陸新幹線、延伸3~5年前倒しへ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H4Y_Q4A221C1NN1000/
 政府は北海道新幹線の函館から札幌への延伸時期を現行計画から5年早い2030年度、北陸新幹線の金沢から敦賀への延伸は3年早い22年度に前倒しする。整備新幹線の建設に充てる国費を15年度予算で35億円前後増額する方向だ。九州旅客鉄道(JR九州)の株式売却益の活用は上場時期や売却額が不透明だとして見送る。(後略)』


“東京の本社を地方に移転”で法人税減税へ
http://www.news24.jp/articles/2014/12/18/06265594.html
 政府・与党は来年度税制改正で、東京などに本社がある企業の地方への移転を後押しするための税制上の優遇措置を設ける方針を固めた。
 政府・与党は18日、地方創生を実現する政策の柱として、東京などに本社がある企業の地方移転を促すため、建物や土地の取得など移転にかかる費用の7%を法人税から減税できるようにする方針を固めた。移転に伴い、地方の拠点に従業員を増やした場合、移転の年から4年間、一人あたり最大140万円まで法人税を減税できる措置も合わせて盛り込む。税制の優遇
で、地方から東京などへの人口流出に歯止めをかけ、若い世代が安心して働ける雇用の場を増やすことを後押しする考え。
 政府・与党は、これを来年度税制改正大綱に盛り込んだ上で、対象地域の選定など制度の具体化を進める方針。』



 実は「東京の本社を地方に移転で法人税減税」は、第二次安倍政権発足以降、自民党関連の勉強会の講師を務めさせて頂くたびに、声を大にして訴えてきた政策になります(別に、わたくしの提言が採用されたと言いたいわけではありません。何しろ、ごくごく当たり前の政策なのです。。また、厳密には、わたくしは「減税」ではなく、いっそ「免税」にするべき、と主張していました)。


 単純な法人税の実効税率の引き下げ(法人税減税)には反対していますが、上記のような、
「確実に国内に需要(=所得)が創出され、さらに国民の安全保障強化に寄与する」
 タイプの法人税減税政策には、全く反対しません。というよりも、大規模に促進するべきです。


 「地方創生」は引き続き安倍政権のテーマになるでしょうが、6月24日に閣議決定された日本再興戦略(成長戦略)の中には、
やる気のある地域に対して集中的に政策資源を投入し、政策効果を最大化」
 という、嫌~な文言が記載されていました。


 断言しますが、「やる気のない地域」などありません。それでも「選択と集中」を実施するとなると、結局は「地方同士が競争し、負けたところは自己責任」というスタイルの政策が推進されかねないと懸念するわけです。


 日本国は震災大国という「国土的条件」を持つ以上、地方振興に際しても「弱者切り捨て」などとやっていい国ではありません


 ともあれ、「インフラ整備」や「税制による分散化の促進」という国民の安全保障を強化するタイプの地方振興策が始まったのも確かなのです。東京一極集中の解消は、冗談でも何でもなく「日本国家の存亡」に関わる課題だと思いますので、政府に対しては、更なる「正しい地方振興策」を大規模、大胆に進めて欲しいと、一日本国民として切望するものです。


「国民の安全保障を強化する、正しい地方振興政策を!」に、ご賛同下さる方は、

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