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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)

http://youtu.be/AjgzRylJOYk

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KADOKAWAちょく論に「三橋貴明の「経世済民」論 vol.4 『正しい物価の上げ方』 」が掲載されました。


 日本国民の実質賃金を引き上げるには、どうしたらいいのか。


 輸入物価が上がった分、消費者物価が上がる「だけ」では、創出されるのは「外国の所得」であり、日本国民の所得ではありません。所得とは生産者が生産した「付加価値(モノ・サービス)」の価格になります。


 外国からの輸入製品の値段が上がり、「消費」という支出面のGDPが増えても、何しろ「輸入」が増えているため、日本のGDP(国内の所得の合計)は増えません。輸入はGDPの控除項目なのです。

 などなど、吉野家の牛丼の値上げを例にとり、マクロ面(GDP)から「国民の所得(実質賃金)」を引き上げる方法について考察してみました。


 本日はチャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」選挙結果とこれからの日本 」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1587


 本日はテレビ愛知「激論コロシアム」に出演します。

http://www.tv-aichi.co.jp/gekiron/


 さて、暗い話が続いたので、本日は「超」がつくほど明るい話を。


 皆さんは、スーパーコンピューター「京」をご存知でしょうか。「京」は、日本の理化学研究所に設置されたスーパーコンピュータの名称で、11月17日に発表されたスパコンの性能ランキング「TOP500」で、前回、前々回と同じ4位となっているスパコンです。


 「TOP500」とは、スパコンの性能評価において、単純計算の速度を測るというシンプルな「競争」になります。11月現在の首位は、中国の天河2号になっています。

 この「TOP500」ですが、ある程度は「物量作戦」で計算速度を高めることができ、「技術力」を測る上では不適切なのでは、という意見が少なくありません。ちなみに、天河2号は312万コア数という途轍もないコア数で、電力もバカ食いします。(「京」のコア数は70.5万)


 大量のプロセッサコアを、膨大な電力で動かすため、熱量も凄まじいことになります。というわけで、スパコンが発する熱を冷却するために、これまた膨大な電力を消費するという、いたちごっこの状況になってしまっているのです。ちなみに、天河2号の建屋の脇には「発電所」が設置されており、アメリカの標準的な家庭3400世帯分の電力を消費します。


 というわけで、真の意味で「スパコンの技術」を比較するために考案されたランキングが「グリーン500」です。グリーン500は、世界で最もエネルギー消費効率の良いスーパーコンピュータを定期的にランク付けし評価するプロジェクトになります。日本では「消費電力性能」と呼ばれたりします。


 この「グリーン500」の11月のランキングで(TOP500やグリーン500は、毎年二回、6月と11月に発表されます)、初登場で2位になり、来年6月のランキングで首位は確実と言われているスーパーコンピューターが、日本の「睡蓮」なのです。


小型スパコン「睡蓮」が消費電力性能世界2位 ―1W 当たりの演算処理性能、国内ではトップ:高エネルギー加速器研究機構/エクサスケーラーほか
http://www.tsukuba-sci.com/?p=22338
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)は11月21日、(株)ExaScaler(エクサスケーラー)と(株)PEZY Computing(ペジーコンピューティング)と3者で開発・検証中の小型スーパーコンピュータ(スパコン)「Suiren(睡蓮)」が米国ニュー・オーリンズで開催中のコンピュータの性能等に関する国際学会「SC14」で発表された世界のスパコン消費電力性能ランキングで第2位、日本ではトップを獲得したと発表した。
■設置面積が6.3m2のコンパクト設計
 「睡蓮」はKEKの計算科学センターで、この11月1日から稼働している国産の小型スパコンで、ペジーコンピューティング社製のコアになるプロセッサー1024個とエクサスケーラー社開発の新冷却システムを用いているので、設置面積が6.3m2と、非常にコンパクトなスパコンである。今回の「SC14」で発表された世界のスパコン演算性能ランキング「トップ500」での「睡蓮」の順位は、178.1TFlops(テラフロップス=コンピュータの演算性能を示す単位で、実数の足し算、掛け算が1秒間に178兆1000万回できることを示す)で369位だった。
 しかし、「トップ500」のような演算処理性能の絶対値ではなく、消費電力1W(ワット)当たりの演算処理性能でランク付けした「グリーン500」では「睡蓮」は4946MFlops(メガフロップス=テラフロップス同様、実数の足し算、掛け算が1秒間に49億4600万回できることを示す)。この値は今回の「グリーン500」で世界1位となった独GSIヘルムホルツセンターのスパコン「L-CSC」に次ぐ世界第2位で、日本国内ランクではトップをマークした。
 KEK計算センターでは、今後も消費電力性能の改善を続け、素粒子、宇宙、天文などのシミュレーションで実効性能、低消費電力性能など含めた検証を進め、今年12月からの本格的稼働開始を目指している。』


 睡蓮は「純日本企業」であるペジーコンピューティング社のプロセッサと、同じく「純日本企業」のエクサスケーラー社の新型冷却システムを用い、設置面積がわずか6.3平米というコンパクトサイズで、「1ワット当たり1秒間49億4600万回」という凄まじい「省エネ的計算速度」を達成。ドイツの「L-CSC」に次ぐ二位につけたのです。(消費電力を無視したTOP500では、1秒間178兆1000万回で、369位)


 しかも、ドイツのL-CSCは11月のグリーン500に合わせて最適化をほぼ終えているのに対し、睡蓮は「本格稼働前」の状況で、2位でした。今後、ハード、ソフトともに最適化が進められるため、来年6月の首位は確実と言われています。


 睡蓮で使われている技術は、高密度プロセッサ(総コア数26万2144コア)も凄いのですが、それ以上に驚愕するのは冷却システムです。睡蓮の冷却システムは、不活性液体を冷媒として用いており、「空気」による冷却と比べて圧倒的な効率でハードウェアを冷やします。分かりやすく書くと、電気を通さない液体で冷却してしまうのです。


 液体で冷却するため、エアコンやファンに莫大な電気を使うことが「不要」であり、しかも静か(スパコンのファンは半端なく煩い)と、いかにも「日本的」な技術でございます。


 睡蓮が首尾よく「進化」を遂げると、エクサ(百京)のスーパーコンピューターが現実のものとなります。また、何しろ設置面積、消費電力が圧倒的に小さいため、「京」や「天河」クラスのスパコンが、普通にオフィスに設置されることも夢ではなくなります。まさに、技術のブレイクスルーですが、この手の凄い技術を開発している(国家プロジェクトでもあるため、政府の予算も入っていますが)企業が、日本には存在するのでございます。


 エクサスケール(10エクサで「垓」になります)のコンピューティングが実現すると、世界はどのように変わるのか。スケールが大きすぎて、想像力に乏しいわたくしには想像がつきません。


 というわけで、株式会社ペジーコンピューティング社代表取締役社長であり、株式会社エクサスケーラー社の会長でもある齊藤元章氏の著作エクサスケールの衝撃 をご紹介。




 本書で特徴的と思ったのは、齊藤氏が「世界初のエクサスケールコンピューターは『日本』が開発するべき」と、繰り返している点です。なぜ、「日本」が世界に先駆けて開発するべきなのかは、本書を読んで頂きたいのですが、いずれにせよ日本国が秘めた「技術力」は、まだまだ世界と互角以上に渡り合うほどに高いのです(だからこそ、技術力を毀損するデフレーションから早期に脱却する必要があるのですが)。


 安倍政権の「第三の矢」、成長戦略とやらが、特定の企業の利益を目的とした規制緩和ではなく、この手の「未来のためのプロジェクト」を推進するという話であれば、諸手を上げて賛成するのでございますが。


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