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『国力とは何か(前編)①』三橋貴明 AJER2014.11.11

http://youtu.be/mNtsBQBNQKY

『国力とは何か(後編)①』三橋貴明 AJER2014.11.18

http://youtu.be/doksCuVaceM

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 夕刊フジで「斬り捨て御免 日中韓経済」を連載しました。


第四回【斬り捨て御免 日中韓経済】消えた北京の「APECブルー」 中国の大気汚染は「危険水準」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141206/dms1412061540002-n1.htm


 明日は、7時からTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。

http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 本日19時から(実際には19時15分くらい)、東京18区自民党公認候補、土屋正忠氏の応援演説でマイクを持つ予定です(都知事選以来です)。場所は、小金井市役所の貫井南センター(公民館貫井南分館)になります。住所は「小金井市貫井南町4-3-23」です。東京で応援演説をするのは、恐らく今回の総選挙では最初で最後だと思います。


 なぜ、東京18区なのか。別に、説明はいりませんよね。ちなみに、東京18区は、さかき漣:著「希臘から来たソフィア」の舞台だったりします。何となく、感慨無量でございますね。 ご近隣の皆様、是非、お集まりくださいませ。


 さて、グローバリズムの「本質」は何かといえば、
投資利益率を引き上げるため、国境を越えた資本、労働の移動を認める
 ことだと考えています。


 台湾は、中国からの労働者の移入について、規制を何とか維持しています(それでも、入ってきますが)。理由は、何しろ台湾は中国本土と言語が同じです。「言語」という参入障壁がない以上、台湾の若者たちは、中国の「所得水準が低い」労働者たちと、真っ向から競争を強いられてしまうためです。


 結果的に、台湾国民が貧困化するのは明らかなので、台湾政府は中国人労働者の流入を何とか食い止めようとしてきました。


 が、「労働者の国境を越えた移動」を規制しても、「資本の国境を越えた移動」を自由化してしまうと、結局は同じ話になってしまうのです。


 2001年11月、台湾政府は中国向け直接投資(工場建設など)の上限を撤廃しました。しかも、台湾の主力産業であるノートパソコン、半導体についてまでをも、投資を解禁してしまったのです。さらに、同年12月に中国と台湾が同時にWTO(世界貿易機関)に加盟したこともあり、台湾企業の対中直接投資が爆発的に増加してきます


 1990年時点で5.9%に過ぎなかった台湾の「対外直接投資残高対GDP比率」は、2012年には12.5%に達しました。そのほとんどが、台湾の虎の子の製造業による対中投資の拡大だったのです。


 結果、台湾の特に若年層の実質賃金が低下し、同国は世界一の少子化国になりました。今年5月のひまわり学生運動や、先日の統一地方選挙の国民党大敗北の背景には、「親中国路線」で自分たちの生活が脅かされているという国民の危機感があるわけです。


 1990年代以降、製造業では「モジュール化」「グローバルスタンダード」が広まりました。本来、資本利益益率を引き上げるには、
同じ労働者が生産できる付加価値を高めるための、技術開発投資」
 によって実現されるべきなのですが、グローバル化が進んだ世界では、
同じ製品を安い人件費で生産するための、対外直接投資
 が選択されるようになってしまったのです。


 対外直接投資の拡大により、先進国の国民の所得が、「企業の進出先の労働者」及び「投資家」に移転される事態が発生してしまいました。結果、先進国の国民の実質賃金は、下落していきます。


先進諸国の賃金横ばい、国際労働機関が警告
http://www.afpbb.com/articles/-/3033519
 先進諸国で賃金が上昇せず、さらに一部先進国では賃金が低下さえしており、金融危機以後の経済成長を抑制しデフレの危険性を高めていると、国際労働機関(International Labour Organization、ILO)が5日、警告した。
 またILOは、結果として生じている格差に対する税や福祉での対策が不十分だと述べ、各国政府に対し最低賃金の導入または
引き上げと、団体交渉の強化などの措置を取るべきだと提言した。
 ILOが2年に1度発行している「世界賃金報告(Global Wage Report)」によると、金融危機以前に約1.0%上昇していた先進国の実質賃金平均は、2012年にわずか0.1%の上昇で、13年も0.2%しか上昇しなかった。またギリシャ、アイルランド、イタリア、日本、スペイン、英国では、2013年の実質賃金は07年レベル以下まで低下した
 対照的にアジアでは賃金が上昇。その結果、世界の賃金平均は12年に2.2%上昇、13年に2.0%上昇した。金融危機以前の3.0%からは低下した。

 ユーロ加盟国に対する国際的な救済措置では、賃金カットが主要な要素となった。また欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)総裁は先週、ユーロの成長強化のために賃金カットを呼び掛けていた。しかしながら、ユーロ圏の物価上昇率が極めて低いことが、長期的な低成長をもたらす恐れがあると懸念する声も出ている。』


 すでに、日本の実質賃金はリーマンショック前の水準を下回っています。(本当にそうなのです)
 経済学者は「実質賃金が下がれば、企業が失業者を雇用する」と主張するでしょうが、経営者の立場から言わせてもらえれば、実質賃金や「実質金利」がどうであろうとも、
仕事が十分になければ、人材は雇用せず、設備投資も拡大しない
 のが真実です。


 また、実質賃金が下がれば「国際競争力(グローバルな価格競争力)が高まる」と反論されるかも知れませんが、何が悲しくて日本の労働者が中国の労働者とガチで賃金切り下げ競争を繰り広げなければならないのでしょうか。日本が「底辺への競争」に巻き込まれた場合、国民の賃金水準は下がらざるを得ません。


 日本国民が中国人民と「賃金切り下げ競争」をすることが、果たして本当に正しいのでしょうか。(日本国民にとって正しいのか、という意味です)


 結局、問題は「国内の仕事」「国内の需要」が不十分であるという話です。国内の需要が不十分とは、「=潜在GDP-名目GDP(総需要)」で計算されるデフレギャップが拡大しているという意味で、実際に拡大しているのは昨日のエントリーの通り。


 十分な仕事、十分な需要が国内に存在すれば、実質金利の低下は設備投資を活性化させるでしょうし、経営者は「少し高い賃金」であっても、人を雇用するようになるでしょう。すなわち、実質賃金が上昇に転じます


 「底辺への競争」は、先進国共通の問題です。「政府が財政出動で、十分な仕事、需要を創る」という正しい解決策を講じなければ、先進国の賃金水準が後発国に近づき、「世界はフラット化する」ことになります。そういう世界を、日本国民は望むのでしょうか。少なくとも、わたくしは真っ平御免でございます。


「底辺への競争に反対する」に、ご賛同下さる方は、

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