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『国力とは何か(前編)①』三橋貴明 AJER2014.11.11

http://youtu.be/mNtsBQBNQKY

『国力とは何か(後編)①』三橋貴明 AJER2014.11.18

http://youtu.be/doksCuVaceM

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 本日はチャンネル桜「報道ワイド日本ウィークエンド」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1521


 夕刊フジで「斬り捨て御免 日中韓経済」が連載されています(短期集中連載です)。


 現在、需給ギャップのマイナス、つまりはデフレギャップが拡大中ですが、その件は明日として、昨日の続きでございます。


第5回 中野剛志・評論家(下) グローバル化は国民にいいことなし、公共投資の拡大と累進課税の強化を
http://webronza.asahi.com/business/articles/2014120200003.html?iref=wrp_rnavi_new
――新自由主義的考え方が悪いと?


 国家財政は民間企業と逆のことをやってバランスをとればいいのですから、いま企業が投資しないでため込んでいるのであれば、逆のことをやらないと経済は縮んでしまいます。80年代初頭、新自由主義の考え方の旗色がよかったのは、米国も英国もみんなインフレで苦しんでいたからです。日本はデフレなので、その逆をやらないといけないんです。デフレのときは税収は減っていくので財政赤字は拡大する。財政赤字はデフレの結果なのです。


――では財務省は典型的なオオカミ少年ですか。


 そうですね。2002年にムーディーズなど格付け会社3社が日本国債を格下げした際に財務省は抗議したのですが、そのとき財務省は「日本国債は自国通貨建てなのでデフォルトはありえない」と言っている。そう抗議した当時の財務官は今の日銀総裁の黒田さんです。


――では、いま安倍政権が、デフレ脱却のために金融緩和と財政拡大をして、ついには消費税を延期したというのは総じて正しい施策ですか。


 総じて正しいと思います。私はスティグリッツと考え方があうのですが、一番重要なのは量的緩和と財政出動のセットなのですが、そのなかでも一番大事なのは財政出動ということなのです。公共投資は即効性がありますが、それに限らず減税でもいいです。減税をするならば、投資したら減税する投資減税がいいですね。単なる法人税減税だと、減税したぶんが内部留保に回ってしまいますから。
 公共投資と量的緩和は両方ふかすべきですが、では次に何をやるべきなのかというと、新自由主義的な考えに立つ人は規制緩和をいいます。競争促進とか、外国人労働者を入れろとか。ところが、私はそれはやるべきではないと思う。デフレのときには需要が不足して供給が過剰なので、働く人の賃金をあげるには供給不足にしないといけないはずです。だから外国人労働者を入れるべきではないんです。
 デフレのときに、無理に生産性を上げてはいけない。需要不足のときに何も供給を促進する施策をとる必要はない。人手不足が生じそうなのは、むしろ賃金を上げるチャンスです。(後略)』


 後略部で、中野氏は過去20年間、日本では与謝野馨氏に代表される「増税・財政再建派」と、中川秀直氏に代表される「上げ潮派」(構造改革派)の二つの路線の対立が続いていたが、
「どちらも間違っている」
 と、断じています。


 それはそうです。緊縮財政も、構造改革も、共にインフレ対策なのですから。


【図 インフレギャップとデフレギャップ】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Gap


 図の左側を見て下さい。

 緊縮財政は、総需要(名目GDP)を引き下げるインフレ対策です。現在、日本は消費税増税+補正予算削減という緊縮財政の最中にあります。しかも、明日、取り上げますが、デフレギャップが拡大している状況にあるのです。


 図でいえば、左側ではなく、右側の状況にあるのが現実の日本です。デフレギャップがある状況で緊縮財政を実施したら、当然ながらデフレギャップは拡大し、デフレは深刻化します。


 また、規制緩和に代表されある構造改革とは、生産性向上(労働者一人当たりの付加価値を増やす)を目的としたインフレ対策(インフレギャップ縮小策)です。規制を緩和し、競争を激化させることで、各企業の設備投資や人材投資を促し、供給能力(潜在GDP)を引き上げるのです。すると、インフレギャップは埋まり、物価が抑制されます。


 とはいえ、デフレギャップがある状況で無闇に競争を激化させると、デフレギャップが拡大。廃業した企業や失業者は、支出を増やさなくなり、総需要は抑制されます。


 ポール・クルーグマン教授がNYTのコラム「ポール・クルーグマン「苦しむ日本がとるべき道筋」」で書いていましたが(「邦訳 」はこちら)、構造改革とは、そもそも80年代のアメリカやイギリスのスタグフレーションを解決するために生まれてきたソリューションなのです。日本が苦しんでいるのは、クルーグマン教授が書いている通り、「需要不足」つまりはデフレーションです。デフレ下にも関わらず、物価抑制を目的とした構造改革を推進した日には、デフレが深刻化して当たり前です。


 もちろん、「生産性向上は悪」などと言いたいわけではありません。何しろ、日本は生産年齢人口対総人口比率が低下していっているため、将来的にインフレギャップ状況に移行することは確実なのです。 


 だからこそ、つまりはデフレギャップがある今こそ、政府が公共投資を拡大し、
将来的な生産性の向上を容易にする
 インフラを整備しなければならないのです。政府が目標をもって、「将来の生産性向上」を目的とした投資を拡大すれば、民間企業設備も増えてくるため、デフレギャップが埋まります。


 つまりは、現在、政府が公共投資を拡大することは、
現在のデフレギャップを埋める
 と、同時に、
将来の生産性を高め、インフレギャップを拡大させない
 を達成できるわけでございます。


 日本にとって、正しい道はあまりにも明らかなのです。


将来の生産性向上のため、現在、公共投資を中心とする財政出動を拡大し、デフレ脱却を図る
 当たり前すぎるほど、当たり前のことを、候補者たちが誰も声高に言わない現状に、心寒いものを覚えてしまうのです。



「将来の生産性向上を高める公共投資の拡大を!」に、ご賛同下さる方は、

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