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『国力とは何か(前編)①』三橋貴明 AJER2014.11.11

http://youtu.be/mNtsBQBNQKY

『国力とは何か(後編)①』三橋貴明 AJER2014.11.18

http://youtu.be/doksCuVaceM

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「三橋貴明の経世済民論」第三回「アベノミクスの失敗」
今回は抽象的な話ではなく、具体的に(数値で)アベノミクスの「失敗」について考えてみました。

http://chokumaga.com/magazine/free/152/10/


 自民党の公約「重点政策集2014」が公開されました。
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/126585_1.pdf


 一言で書くと、「全部乗せ」でございますね。とにかく、あるもの全て、政策としての整合性等も無視して、可能な限り詰め込んだ「政策集」 になっています。「重点」政策集と書きながら、項目が約300もあり、ページ数は何と26ページです。


 「デフレ脱却」と「プライマリーバランス黒字化」、と、例により「デフレ対策」と「インフレ対策」が並んでおり、消費税については2017年4月に「行います」となっています。


 優先順位もなく、「戦略」から「政策」へのブレイクダウンもなく、ひたすら300の政策が羅列されています。「全部乗せ」です。


 ちなみに、「配偶者控除」「実質賃金」という単語は使われていません。「規制緩和」は、第3の矢の説明に入っているだけで、政策集の方では使われていません。


 それどころか、
「パートタイム労働者、契約社員、派遣労働者等の雇用形態で働いていて、正規雇用への転換を希望する方々のキャリアアップ等を図り、正規雇用への転換を果断に進めます(正社員実現加速プロジェクトの推進)」
安定的・持続的な見通しを持って計画的に必要な公共投資を行い、改正品確法等に則り建設産業の担い手を育成・確保して、かけがえのない国民の生命、財産を守る国土強靱化、災害対策、インフラ老朽化対策等を、責任を持って進めます」
「国土強靱化に資する高速道路のミッシングリンクの解消や四車線化等、従来の事業評価にとらわれることなく、国民に約束した基幹ネットワークの整備を進めます」
「あらゆる自然災害からかけがえのない国民の生命と財産を守るため、「国土強靱化基本法」に基づき事前防災・減災、老朽化対策を強力に推進するとともに、首都直下地震、東南海・南海地震や巨大津波に備えるため、住宅・建築物、道路、堤防等のインフラの耐震化、緊急輸送ルート等のリダンダンシーの確保等により、国土の強靱化を推進します」
「土砂災害に対する安全の確保を一層推進するため、「改正土砂災害防止法」を的確に運用するとともに、砂防ダムの整備を進めます
 などなど、正しいデフレ対策(かつ、実質賃金を上昇させ、国民の安全保障を強化する)政策が数多く書かれています。


 かと思ったら、
「来年度から、より広く負担を分かち合う構造に改革することにより恒久財源を確保した上で法人実効税率の引下げに着手し、数年で20%台まで引き下げることを目指します」
農協改革(中央会制度など)等については、本年6月に与党で取りまとめた「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」に基づき、議論を深め、着実に推進します」
「健康医療分野では、新たな保険外併用療養費制度として患者申出療養(仮称)を創設する等、国民の健康回復及び増進・利便性向上に資する規制改革を一層推進します」(※三橋注:要するに混合診療の拡大です)
「三段階の電力システム改革を完遂し、エネルギー供給構造の一体改革を推進することにより、電気料金等を抑制して経済基盤の強化を図り、新産業や新規雇用を創出します」
 などなど、日本の安全保障を弱体化させる構図改革のメニューもばっちり入っています


 まさに、全部乗せでしょ?


社説:自民党公約 300項目列挙で何を問う
http://mainichi.jp/opinion/news/20141126k0000m070137000c.html
 自民党が衆院選の政権公約を発表した。安倍晋三首相が争点と掲げる経済政策の継続にほぼ絞る形で一点張り戦略を鮮明にしたが、ほとんどの具体的な政策は「第2部」とした約300項目の政策集で優先順位もつけずに列挙された。

 アベノミクスの評価のみならず、戦後70年を控え外交、内政にわたる課題が多岐にわたる中での選挙だ。だが、公約からは「景気回復、この道しかない。」とのスローガン以外、安倍内閣がどんな姿勢と具体的な政策で中長期の政権運営にのぞもうとしているかが伝わりがたい。有権者本位の政策論争に資する中身か、疑問を抱かざるを得ない。(後略)』


 要するに、自民党内は増税派もいれば、積極財政派もおり、構造改革派もいるというわけで、
「国会議員全員から必要な政策メニューをヒアリングし、300近い政策を優先順位や整合性を無視して突っ込んだ」
 のではないか、と疑わざるを得ない政策集になっているわけでございます。


 「突っ込んだ」と疑ってしまうもう一つの理由は、成果を語った冒頭を除き、膨大な政策の個所では数字がほとんど使われていないためです。数字が使われているのは、消費税「10」%への引き上げと、法人税率「20%」台への引き下げと、農業政策の部分だけでございます。

 国土強靭化や社会資本整備の部分ですら、「数字」は全く出てきません。

 自民党の公約がこんな有様では、選挙戦を通じた議論は深まりそうもありません。
 というわけで、わたくしが一つ、提案をさせて頂きます。安倍政権の「弱み」は、一昨日示した以下の図になります。


【日経平均(左軸、円)と実質賃金指数(右軸)の推移】


http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_48.html#Nikkei


 日経平均が上昇する反対側で、実質賃金が下落していく。国民が「ツーネーション」に分かれていくという、世界共通の問題が日本でも発生しているのです。


 というわけで、野党側は、
「安倍政権下で実質賃金が下落を続けている。国民が貧困化しているではないか」
 と、突くべきで(突くでしょう)、それに対し、与党側は「株価は上昇している」といった無意味な反論をするのではなく、
「いや、これこれの政策を実施するので、今後は実質賃金が上昇する
 と返して欲しいのです。「実質賃金下落=国民の貧困化」である以上、与党は「いかにして、実質賃金を引き上げるのか」を語る「義務」があるでしょう。


 上記の議論が活発になれば、、「法人税減税」「国土強靭化」「社会資本整備」「労働規制緩和」「外国移民(外国人労働者)受入」等の政策が、
現在の日本に適しているのか、適していないのか?
 が明確化されます。


 自民党の公約が無意味である(としか思えない)以上、せめて選挙戦を通じ、「実質賃金を高めるには、どうしたらいいのか?」の議論が深まり、選挙後の政策に反映されることを期待します。


各党は「実質賃金を引き上げる手段」について議論せよ!に、ご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを!

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