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『国力とは何か(前編)①』三橋貴明 AJER2014.11.11
『国力とは何か(後編)①』三橋貴明 AJER2014.11.18
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明日は、6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
2014年11月17日。内閣府から、14年7-9月期の日本のGDP成長率の速報値が発表されました。大げさでも何でもなく、日本中に衝撃が走りました。
わたくしは、14年10月1日のブログ「あれから一年が経ち・・・
」で、
「さすがに7-9月期が対前期比で「マイナス成長」などということにはならないとは思いますが、いずれにせよ政府が目論んでいた「V字回復」は現時点で完全に不可能になってしまいました。」
と、書きましたが、マイナス成長になってしまいました。
『「7-9月GDP 2期連続のマイナス」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141117/j67145810000.html
安倍総理大臣が消費税率を10%に引き上げるかどうかを判断するうえで重要な経済指標となる、ことし7月から9月までのGDP=国内総生産の伸び率は、物価の変動を除いた実質で前の3か月間と比べてマイナス0.4%、年率に換算してマイナス1.6%と2期連続のマイナスとなりました。消費税率引き上げ後の前の3か月間よりも悪化したことになります。
内閣府が発表した、ことし7月から9月までのGDPの伸び率の速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月間と比べてマイナス0.4%となりました。これを年率に換算しますとマイナス1.6%となり、消費増税の影響で年率でマイナス7.3%と東日本大震災の時を超える大幅な落ち込みとなった4月から6月に続いて、2期連続のマイナスとなりました。』
わたくしは、7-9月期のGDP成長率(実質値)は「ゼロ%台成長」と予想していたのですが、まさか増税により国民経済が大幅に落ち込んだ4-6月期をも下回ってしまうとは・・・。日本経済は、7-9月期にV字回復するどころか、完全に「再デフレ化路線」を突き進んでいることになります。
実質GDP(年率換算)マイナス1.6%という値も衝撃ですが、それ以上にショックだったのは「名目GDP」が前期比0.8%のマイナス、年率換算で3.0%もの減少になってしまった事実です。
実質GDPの下落率を、名目GDPの下落率が上回っている。すなわち、GDPデフレータがマイナス(対前期比マイナス0.3%)に落ち込んだわけです。
我が国は、再びデフレ化の道をたどっていることになります。
藤井聡先生がFBで掲載されていたグラフを、わたくしも作ってみました。
【96-97年と13-14年の名目GDP比較】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_48.html#Hikaku
※それぞれ96年1-3月期、13年1-3月期が1
それにしても、今回だけではありませんが、「民間予測」は当てになりません。何しろ、日経QUICKが14日時点で集計した民間予測を見ると、中央値が実質GDP前期比0.5%増、年率換算2.0%増だったのです。
7-9月期のGDPの内容を細かく見ると、輸出が1.3%増えたこともあり、外需(純輸出)は0.1%のプラスでした。それに対し、内需が対前期比0.5%マイナスとなり、GDP全体の数字を大きく押し下げてしまいました。
内需の中身を確認すると、民間最終消費支出は実質値で0.4%のプラスになりましたが、何しろ4-6月期はマイナス5%だったのです。消費税増税による実質消費の落ち込みは、全く取り戻せていません。
民間企業設備はマイナス0.2%と、マイナス4.8%に終わった4-6月期同様に、対前期比で落ち込んでしまいました。需要が急収縮している以上、当たり前なのですが、我が国の企業は設備投資を削減していっています。
さらに酷いのが民間住宅投資です。4-6月期がマイナス8%だったのに対し、7-9月期はマイナス6.8%。二期連続で、マイナス5%を上回る落ち込みになってしまったのです。
ところで、なぜ「民間予測」が大きく外れたかと言えば、民間在庫の寄与度が対前期比で「マイナス0.6%」になってしまったためです(4-6月期はプラス1.2%)。
4-6月期のGDP統計が発表された際に、わたくしは本ブログを含む様々なメディアで、
「マイナス6.8%(速報値、後にマイナス7.1%に下方修正)という実質GDPの成長率ですら、在庫の増加が大きくプラス方向に貢献している。当然、7-9月期は在庫の減少が大きくGDPを引き下げる」
と、書きましたが、その通りになったわけです。GDP統計上、在庫の増加は「GDP成長率を押し上げ」、減少が「押し下げる」ことになります。
ちなみに、公共投資は対前期比2.2%の増加でした。7-9月期に政府が公共投資を抑制していた場合、さらに大きなマイナス成長、カタストロフィ的な状況になっていたことになります。
もっとも、GDP成長率が年率換算でマイナス7.1%となった「次の四半期」までもが、マイナス1.6%(同)に落ち込んでしまったのです。この時点で、経済的なカタストロフィーであることに変わりはありません。
この責任は、誰に帰せられるべきでしょうか。もちろん、首謀者は財務省であり、御用学者たちなのですが、最終的な判断をしたのは安倍政権です。あるいは、安倍内閣総理大臣その人になります。
今回の7-9月期のGDP成長率の発表により、
「なぜ、安倍政権が解散総選挙を急いでいるのか?」
が明らかになったと思います。俗っぽい書き方をすると、「謎が解けた」のです。
7-9月期の成長率が二期連続でマイナスに落ち込むとなると、安倍政権の支持率は急落することになるでしょう。恐らく、10月の後半時点で、
「7-9月期のGDP成長率がマイナスに終わる可能性がある」
という報告を受けた安倍総理が、起死回生の策として解散総選挙を決断したのではないでしょうか。「V字回復」を叫び続けていたにも関わらず、7-9月のGDPが前期(4-6月期)と比べてすら減少してしまったのでは、さすがに洒落になりません。
安倍総理は、前回(第一次安倍政権)が短命に終わったこともあり、長期政権を切望していると言われています。自らの責任で消費税を増税し、二期連続でGDPをマイナス成長に叩き落とし、さらに、
「デフレ脱却」
を前面に掲げて政権を取ったにも関わらず、GDPデフレータをマイナスに引き戻してしまったのです。本来であれば、内閣総辞職ものの「失政」だと思います。
それでも「長期政権」を目指すとなると、解散総選挙に打って出て「国民に信を問う」以外に手段がない。という話なのでしょう、恐らく。
本日、総理が記者会見し、12月に「解散総選挙」という話になるのでしょう。「国民に信を問う」というのであれば、なぜ、現在の惨状を招いたのか、きちんと総理に説明して欲しいと思います。最低でも、麻生財務大臣と甘利経済再生担当大臣が辞任するくらいでなければ、「責任うやむや」のまま解散総選挙で誤魔化そうとしていると言われても仕方がないでしょう。
また、今回のカタストロフィと総選挙を、財務省主導の「財政均衡主義」の打破に「活用」できれば、経済的苦難に直面している方々(自殺された方もいるでしょう)も、まだしも救われます。
日本国民は、今回の「指標」を皮切りに、狂った財政均衡主義から脱却しなければなりません。
「狂った財政均衡主義からの脱却を!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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