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『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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2014/11/14 東京都トラック協会 ロジスティクス研究会 三橋貴明氏 講演会 テーマ「生産性向上のためのインフラ整備-運送サービスで考える-」

http://ws.formzu.net/fgen/S54394876/

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 昨年、関西電力の火力燃料担当者が、燃料購入の交渉中に、
「悔しいなら原発を動かせ、といわれたこともある」
 と、打ち明けた記事が産経新聞(2013.2.16燃料交渉「悔しければ原発動かしてみろ」と言われた関電…シェールガスは日本を救うか)から配信されましたが、日本に膨大な(兆円単位の)LNGや原油を追加的に売っている資源メジャーや資源国にとっては、現在の日本ほど「美味しい買い手」はいないわけです。


 10月23日、経済産業省は東日本大震災以降の原子力発電停止による火力発電の稼働増に伴い、火力発電所向け「追加的燃料費」が、2011年度から14年度の累計で12.7兆円に上るとの試算を公表しました。

 具体的な数値を書いておくと、燃料費の増加(原発停止による)は、
・2010年度 -
・2011年度 +2.3兆円
・2012年度 +3.1兆円
・2013年度 +3.6兆円
・2014年度 +3.7兆円(推計)
 と、年を追うごとに膨らんでいます。


 2015年度は、原油価格が低迷していることもあり、若干、下がるのではないかと予想していますが、それでも3兆円を超える所得流出であることに変わりはありません。

 12.7兆円がいかほどの金額かといえば、リニア新幹線を東京から大阪まで通してお釣りがくるほどの金額なのです。しかも、例えば国内でリニア新幹線建設のために12.7兆円が支出された場合、その時点でGDPを直接的に押上げ、さらにリニア建設で所得を得た人たちが国内で消費、投資としてお金を使い、新たなGDPを創り出す(いわゆる乗数効果)ことになります。お金は日本国内から逃げ出さず、所得創出のために使われ続けるのです。


 それに対し、外国に燃料費購入のための支出をすると、日本の所得が相手国に移ります。GDP(所得の合計)でいえば、日本のGDPが減り、相手国のGDPが増えるのです。


 さらに、相手国に移った所得は「相手国内」で所得創出のために使われ、日本の製品が輸入されない限り、我が国に所得が戻ることはありません。輸入増で流出した所得は、行きっ放しになるのです。

 原発停止により、貿易赤字が拡大し、需要が縮小(輸入はGDPの控除項目)するのみならず、電気代が上昇し、国民の可処分所得を引き下げ(特に、中堅企業が酷いことになっています)、さらに電力会社の赤字を増やし、「脱原発のための技術開発投資」を不可能にしています。(詳しくは、「原発再稼働で日本は大復活する! 」をお読みくださいませ)


 無論、原発停止は我が国のエネルギー安全保障を弱体化させています。エネルギー安全保障を強化するとともに、脱原発のための技術開発投資を可能にするためにも、現在の日本は原子力発電を再稼働する必要があるのです(わたくしは「エネルギー安全保障」の観点から、脱原発には賛同しておりませんが)。


 九州電力川内原発の再稼働について、鹿児島県の伊藤知事が同意し、再稼働のための基盤が整いました。川内が無事に再稼働されれば、PWR型の原発再稼働のテンプレートとなるため、他の電力会社のPRW型の再稼働プロセスも進みやすくなるでしょう。


川内原発再稼働 鹿児島県知事が同意
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141107/t10013023031000.html
 原子力発電所の新しい規制基準に初めて適合しているとされた鹿児島県の川内原発の再稼働について、伊藤知事は7日、「やむをえないと判断した」と述べて、再稼働に同意する考えを示しました。
 すでに立地自治体の薩摩川内市が同意しており、原発事故のあとに作られた新しい規制基準に適合しているとされた原発の再稼働に立地自治体と県が同意をしたのはこれが初めてです。
 鹿児島県の伊藤知事は7日午後2時半から県庁で記者会見を開き、「川内原発1号機、2号機の再稼働についてはやむをえないと判断した」と述べて、再稼働に同意する考えを示しました。
 その理由として、事故が発生した際には国が責任を持って対処するとする政府の方針が示されたことや、原子力規制委員会によって安全性が確保されることが確認されたと考えていることなどを挙げています。
 また、国に対し、再稼働後の川内原発の監視体制を強化し安全確保を図ることや避難計画のさらなる充実のための支援や確認を継続することなどを求めました。
 川内原発を巡って原子力規制委員会はことし9月、九州電力の安全対策が新しい規制基準に適合していると判断し、地元の薩摩川内市は先月28日、再稼働に同意することを決めました。
 また、鹿児島県議会も7日の本会議で再稼働を求める市民団体からの陳情を最大会派の自民党と公明党などの賛成多数で採択し、議会として川内原発の再稼働に同意しました。
 原発事故のあとに作られた新しい規制基準に適合しているとされた原発の再稼働に立地自治体と県が同意をしたのはこれが初めてです。
 ただ、再稼働の時期は原子力規制委員会による認可や新しい設備の検査といった手続きが残されているため、年明け以降になる見通しです。(後略)』


 もっとも、今のところBWR型については再稼働の見込みが立っている原子力発電所はありません。そして、東京電力はBWR型なのです。最も需要が多い関東圏への電力供給において、原発が再稼働されない状況は続くことになります。


 記事の後略部にもありますが、鹿児島県議会は、11月7日の本会議で、
「再稼働に向けた国の関与は十分と言えず、地元自治体は極めて困難かつ多大な負担を余儀なくされている」
 とした上で、政府に対し原子力発電所の安全性や再稼働の判断について、
国(日本政府)が前面に立って明確かつ丁寧な説明を行い理解を得るよう求める
 という内容の意見書を賛成多数で可決しました。


 事は日本全体のエネルギー安全保障の問題であり、今後の我が国の「需要」「所得」「技術」の問題でもあります。今後の「日本の将来」を決定づける原発再稼働問題については、自治体の負担を減らすという意味でも、日本政府はこれまで以上にイニシアティブ(主導権)を発揮するべきだと確信します。


日本政府は原発再稼働問題についてイニシアティブを発揮するべき!に、ご賛同下さる方は、

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