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『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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2014/11/14 東京都トラック協会 ロジスティクス研究会 三橋貴明氏 講演会 テーマ「生産性向上のためのインフラ整備-運送サービスで考える-」

http://ws.formzu.net/fgen/S54394876/

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 経済学者の青木泰樹先生が、素晴らしいコラムを書いて下さったので、本日、取り上げます。


 ある意味で、現在の日本が抱えている経済問題に対する最終解説と言っても過言ではありません。もちろん、現在の日本における「最終解説」というわけで、将来的には異なる解説が求められる時期が来るでしょう。


 とはいえ、現時点で以下の青木先生のコラム以上に、現実を正確に解説し、解決策を提言した文章は無いと確信します。


『【青木泰樹】黒田バズーカの功罪
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/11/08/aoki-8/
 バズーカは砲弾を発射するとき、背後へ猛烈な爆風を噴出します。
 それゆえ射手は前方の標的ばかりでなく、後方にも注意を払わねばなりません。
 人が居たら大変です。吹き飛ばされてしまいますから。 
 黒田日銀総裁は、先日、追加の金融緩和策を発表しました。
 これまでの資金供給量の目標である「年60~70兆円増」を10兆円から20兆円積み増やして「年80~90兆円増」へ、また長期国債の購入額を「年50兆円」から30兆円増やして「年80兆円」にするというのが主内容でした。
 日銀が民間へ資金(ベースマネー)を供給する手段は、民間金融機関の保有する債券類を購入する以外にありませんから(日銀特融は除く)、新目標の「年80~90兆円増」の内訳は「長期国債80兆円分購入+α」ということになります。
 ETFの購入量を増やした分、短期国債の購入量を減らすということでしょう(マイナス金利で取引されてましたからね)。(後略)』

 
 それほど長いコラムではありませんので、是非とも全文お読み頂きたいと思います。


 月次のコアコアCPI(食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合消費者物価指数)の対前年比上昇率を見ますと、2014年6月以降、何と四か月連続で2.3%となっています。CPI(総合物価指数)とコアCPI(生鮮食品を除く総合)の上昇率は、むしろ低下していっています。


 コアコアCPI2.3%ということは、消費税増税分を除くと、精々が0.3%~0.6%程度のインフレ率でしかありません。


 東大日次物価指数を見ると、消費税増税時の「物価上昇の勢い」が、完全に失われてしまった状況にあることが分かります。


【東大日次物価指数(直近)】
http://www.cmdlab.co.jp/price_u-tokyo/


 コラムの後半で、青木先生はいわゆるリフレ派の「期待理論」の問題を二つ挙げていらっしゃいますが、経営者の多くは納得されると思います。我々、経営者は、「実質金利」を見て投資判断したりしません


 投資するか否かの決断は、はっきり書きますが「儲かるか、否か」によって決まります。青木先生の言葉を借りると、投資の予想収益率です。(期待収益率、と表現するケースもあります)


 かの「FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)」によって、日本のメガソーラーへの投資は「爆発的」と表現しても構わないほどに増えました。結果的に、各電力会社の送電網のキャパシティがボトルネックとなり、申込受付を中断するところが出てきていますが、なぜそこまでメガソーラーへの投資が増えたのでしょうか。


 簡単です。投資すれば絶対に儲かるからです

 はっきり書きますが、実質金利やインフレ率がどのような水準であったとしても、メガソーラーへの投資は増えたでしょう。何しろ(しつこいですが)儲かるのです。

 結局のところ、経済政策の主眼は「儲かる需要」が存在するか否かを重視するべきであって、デフレ期に実質金利を引き下げる政策を打ったところで、デフレ脱却が果たせるほどの設備投資は実施されないのです。理由は、儲かる需要がないためです。


 また、確かに青木先生が書かれている通り、各国民の価値観や行動様式は多様です。しかも、環境変化の影響を大きく受けます。


 例えば、国民の多数が、
「今後、インフレになるから、今のうちに製品を買っておこう」
 と、考えていたとしても(実際にそうなっていたとは思いませんが)、消費税増税により実質賃金がガクンッと下がれば、途端に消費意欲が消滅する人が少なくないでしょう


 無論、100%の国民が、
「消費税が増税されたので、消費を先送りしよう」
 と、考えたとは思いません。人間の価値観、行動様式は多様です。黒田日銀は国民の多様性を見ずに、国民の「期待」に過度に「期待」し過ぎ、結果的にインフレ目標の達成が困難になりつつあるというのが「現在」なのだと思います。


 しかも、黒田総裁は消費税増税派です。消費税増税が国民の大多数の消費を減らすことは明らか(いわば「逆期待」ですね)であるにも関わらず、「期待」という曖昧なものに過度に期待した。極めて曖昧であり、「不整合」でもあるわけです。


 そもそも、実質賃金が減少し、貧困化していっている国民が、インフレ期待で消費を増やすとは思えません。もちろん「誰も増やさない」と言いたいわけではなく、
「貧困化していっている国民がインフレ期待で全員が必ず消費を増やす」
 などと断言できる人は、この世に一人もいないという話です。


 消費税増税については、
「それほど経済に悪影響を与えない」
 と、期待し、実質金利の低下やインフレ期待が、
「消費や投資を増やす」
 と、期待したのが安倍政権であり、黒田日銀というわけです。


 結局のところ、「儲かる需要」と「所得(実質賃金)の増加」がない限り、企業の設備投資や個人消費は増えないという「現実」が、明らかになりつつあるのです。明日も、青木先生のコラムの話を続けます。


「儲かる需要」と「所得の増加」が必要、に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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