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チャンネルAJER更新しました!

『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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一般参加可能な講演会のお知らせ

2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

2014/11/14 東京都トラック協会 ロジスティクス研究会 三橋貴明氏 講演会 テーマ「生産性向上のためのインフラ整備-運送サービスで考える-」

http://ws.formzu.net/fgen/S54394876/

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 世間は三連休でございますが、まあ、わたくしには関係ございませんです、はい。


 ということで(何が?)、本日は久しぶりにギリシャのお話です。


 現在、ギリシャの失業率は26%を上回る水準で高止まりしており、かつ物価上昇率はマイナス。典型的な(ある意味で日本以上に典型的な)デフレに突っ込んだギリシャのGDPは、08年以来、25%も減少してしまいました。


 GDPが減ると、政府の税収が減ります。結果的に、政府が緊縮財政を実施し、各分野で予算削減や「事業仕分け」が行われているわけでございます。


 とはいえ、ギリシャ国家にとって、決して「仕分け」をしてはならない事業が一つあります。それは、アクロポリスに建つパルテノン神殿の修理です。予算が厳しく削減される中、何とかパルテノン神殿の修理だけは継続されてきました。


【アクロポリスの丘に建つパルテノン神殿(撮影、三橋)】




 それにも関わらず、パルテノン神殿下部の巨大岩が、一部、崩れ始めているのが確認されました。


経済危機脱したギリシャ、今度はアクロポリスが一部崩れる
http://www.afpbb.com/articles/-/3028031
 金融危機がもたらした最悪の状況をようやく脱したばかりのギリシャを、また新たな一撃が襲った。アテネ(Athens)中心部のアクロポリス(Acropolis)の丘で、古代ギリシャのパルテノン(Parthenon)神殿下部の巨大な岩が、一部崩れ始めていることが技師らによって確認されたのだ。国営アテネ通信社(ANA)が1日報じた。
 1月にアテネ有数の観光スポット、パルテノン神殿周辺で「かなりの大きさ」の岩が落ちた落石を調査していた同国の考古学中央評議会(Central Council of Archaeology)チームが、「相当の範囲にわたって不安定な状態にある」との見解を示した。
 約2500年前に建てられた神殿がある丘の南側斜面は、旧アクロポリス博物館(New Acropolis Museum)の雨樋から流れ落ちる雨水が原因で、補強工事が必要な状態だという。
 あらゆる分野で大幅な予算削減が敢行されながら、1970年代から続くパルテノン神殿周辺の修復工事は継続されている。ギリシャが誇る輝かしい古代史の象徴として、予算削減の聖域とされてきたのだ。(後略)』


 わたくしは別にギリシャ人ではありませんが、パルテノン神殿が建つアクロポリスの巨大岩が崩壊を始めたというニュースを読み、正直、ショックを受けました。パルテノン神殿やアクロポリスは、ギリシャ人のみならず、世界の全ての人々にとって大切な宝です。


 ギリシャ政府は、アクロポリスの維持のために、予算を拡大することができるでしょうか。恐らく、難しいでしょう。


 何しろ、ギリシャ政府は先日、国家公務員を6000人削減する方針を発表したばかりです。さらに、一部の税率も引き上げられ、相も変らぬ「デフレ下の緊縮財政」に邁進しています。


 結果、アテネで2万5千人以上が集まり、反緊縮のデモ行進が行われました。


 ギリシャでは増税に加え、公共料金の値上げも始まっています。これも、事実上の増税になりますから、2015年のギリシャ経済がデフレから脱却できる可能性は、皆無に近いでしょう。


 ギリシャ経済がデフレから脱却できなければ、税収も増えません。結果的に、ギリシャ政府がついに「アクロポリス関連予算」の事業仕分けに乗り出すと、パルテノン神殿は近い将来、失われてしまうかも知れません。


 逆に、ギリシャ政府が十分な予算措置を講じ、アクロポリスの保全のために支出をすると、要するに財政支出の拡大という話になります。アクロポリスの未来を守ると同時に、ギリシャのデフレギャップを埋め、経済を成長路線に戻すことができるはずなのです。結果、政府の税収は増え、財政も安定することになります。


 ところが、ご存知の通り、ギリシャはユーロ加盟国で、かつ予算についてEUなどから厳しい監視を受けています。通貨発行権がなく、さらに国債も十分に発行できないギリシャ政府は、結局はアクロポリスの崩壊を放置せざるを得ないのではないか、と、危惧しているわけでございます。

 デフレや緊縮財政が、人類の宝を破壊する。信じがたい話ですが、これが今、人類の目の前で起きている「現実」なのです。


本日のエントリーで改めて「緊縮財政の恐怖」を感じて下さった方は、

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