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チャンネルAJER更新しました!

『いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.9.23(3)

http://youtu.be/Kh8vo8Zjc2I

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一般参加可能な講演会のお知らせ

2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

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 チャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」 アベノミクスと消費税増税」に出演しました。


1/3【討論!】アベノミクスと消費税増税[桜H26/10/11]
http://youtu.be/gHeex8QvyBk
2/3【討論!】アベノミクスと消費税増税[桜H26/10/11]
http://youtu.be/Y67NCHD8F8I
3/3【討論!】アベノミクスと消費税増税[桜H26/10/11]
http://youtu.be/R6-J-2-fyvk


 他人(電力会社)が作ったインフラの上に、何ら新たな付加価値を生み出さない形でサービスを「強制的」に供給し、ユーザーに再エネ賦課金として料金を支払わせるFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が、いよいよ終幕に向かっています


 経済産業省(というか、エネ庁でしょうけれども)がメガソーラー(大規模太陽光発電)の新規認定を一時停止する検討に入りました。さらに、すでに認定した事業者の増設も凍結し、FITの制度自体の見直しに入りました。


大規模太陽光:参入凍結 経産省検討、電力量を制限
http://mainichi.jp/feature/news/20141011k0000e020222000c.html
 電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」を巡って、九州電力など電力5社が新規受け入れを停止した問題で、経済産業省は11日、大規模な太陽光発電の新規認定を一時停止する検討に入った。既存の太陽光発電事業者の新増設も凍結するなどして、太陽光発電に集中している再生エネの供給量を制限する。15日の同省審議会で固定価格買い取り制度見直しの具体化に入り、年内に方向性をまとめる。
 福島第1原発事故を踏まえて、政府は再生エネの導入推進を掲げてきた。固定価格買い取り制度は再生エネ発電への新規参入を促す柱と位置付けられてきたが、抜本的な見直しを迫られ、制度設計の甘さを露呈した格好だ。(中略)
 「固定価格買い取り制度」が導入された12年7月から今年6月までに政府の認定を受けた再生エネ設備の出力は計7178万キロワット。うち大型の太陽光発電(出力10キロワット未満の住宅用以外)は6604万キロワットと約9割を占める。風力や地熱よりも事業開始手続きに時間がかからないため、再生エネの新規参入事業者は太陽光に集中してきた。
 新規事業者には送電網がなく、大手電力各社が買い取りを義務付けられてきた。だが、電力各社は認定された電力をすべて受け入れると、管内の全需要を上回り、需給バランスが崩れて周波数や電圧が乱れ、大規模停電や発送電設備の故障などにつながりかねないと主張。九州のほか、北海道、東北、四国、沖縄の各電力会社が再生エネの新規受け入れを停止し、再生エネの事業者に混乱が広がっている。』

 
 特に問題になるのは、経産省と電力会社に申請し、認定だけを受けて発電設備の建設に着工しないケースです。要は、枠だけを先に確保し、太陽光パネルの価格が下がるのをじっくりと待っているケースになりますが、現実問題としてこのパターンがどの程度あるのか、経済産業省すら把握していません。(ようやく、電力会社に数を報告するよう経産省は要請しました)


 わたくしは「国富新論」以降、とにかく機会があるたびにこのFITを批判することを続けてきました。理由は、もちろん本事例が典型的なレント・シーキングだからです。


 FITそのものというよりも、この種の、
「新たな付加価値を生み出すわけではないにも関わらず、政治的に制度を変更し、既存の所得のパイの一部を奪う」
 という資本主義の有り方があるという「現実」を、読者の皆様に理解して欲しかったのです。

 同時に、今回のケースは、
「災害(東日本大震災と福島第一原発の事故)を活用し、十分な議論なしで制度を(儲かるように)変えてしまう」
 いわゆるショック・ドクトリンの典型的事例でもあるわけです。ナオミ・クラインのいう「災害便乗型資本主義」ですね。


 この種の「一部の国民」(あるいは「外資」)が「私益」を求め、政治を動かし、国民の所得(=付加価値=需要)の一部を奪っていくレント・シーキングは、日本というよりはアメリカで「散々に」実施され、国内を「二つの国家」に分けてきました


 FITでいえば、レント・シーカーたちによって作られた「制度」「システム」に乗っかる「余裕」を持つ国民と、そうではない国民に国家、社会が分かれていくわけです。何しろ、FITの再エネ賦課金は太陽光発電に投資「できない」国民から、「できる」国民への所得移転になってしまうのです。すなわち、低所得者層から高所得者層への所得移転です。トリクルダウンならぬ、トリクルアップ政策なのでございます。


 そういう意味で、
「消費税増税+法人税(無条件)減税」
 の組み合わせと同じなのです。


 しかも、FITの場合は、
「市場、需要を無視した電力供給に対し、長期間、固定価格で買い取る」
 という制度であり、さらにドイツの例からも明らかな通り、再生可能エネルギーに対する技術開発投資を縮小させてしまいます。何しろ、競争が存在しない事業なので、事業者は別に技術開発投資を実施する必要などないのです。


 単に、既存の太陽光パネルを買ってきて、空き地に並べて電力会社の送電網に引き込めば、それだけで「チャリン、チャリン」と所得が懐に入ってくのがFITなのでございます。しかも、建設が終了すると、雇用もほとんど生みません


 FITほど「市場」を無視した制度は、他に知りません。さらに、FITは再生可能エネルギーの技術開発を妨げる。 


 というわけで、レント・シーキング的な手法を「非」とする人に加え、「市場」を重視する人や再生可能エネルギーの将来的なブレイクスルーを望む人も、FITに反対するべきなのでございます。経済産業省には、是非ともFITの「廃止」を念頭に入れた法改正を望みます


「廃止も念頭に入れたFITの法改正を望む!」に、ご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを!

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