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『いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.9.23(3)

http://youtu.be/Kh8vo8Zjc2I

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2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

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 三島、富山、福井、大阪と四日連続で講演が続き、さすがにバテてきました(移動中は単行本を書いておりますゆえ)。本当に、土日がないのですよ、わたくしは。講演は土日の方が、むしろ人が集まりますからねえ・・・。

 さて、気を取り直して、OECDが「世界の貧富の格差」を問題視するレポートを出しました


『2014年10月4日 AFPBB News 「世界の貧富の格差が拡大、1820年代の水準にまで悪化 OECD」
 経済協力開発機構(OECD)は2日、世界の富裕層と貧困層の格差の拡大は1820年代と同じ水準にまで悪化しているとの報告書を公表し、こうした変化は過去200年で「最も憂慮すべき」事柄の1つだと警告した。
 過去2世紀の世界の生活状態を調べた報告書の中でOECDは、所得の不均衡が急速に拡大したのはグローバル化が進み始めた1980年代以降だと指摘している。
 調査では25か国の1820年以降の所得水準を調べ、世界が一つの国であるとみなしてデータを突き合せて比較したところ、世界の所得格差は東欧各国における共産主義の台頭などに代表される20世紀半ばの「平等主義革命」によって急速に縮小した後、拡大に転じ、2000年までに1820年と同じ水準にまで広がったことが分かったという。
 調査に協力したイタリア・ボッコーニ大学(Bocconi University)のグイド・アルファーニ(Guido Alfani)氏は、「非常に驚くべき」結果だとして、「過去200年の世界経済の特徴の中で最も重大、かつ憂慮すべき点だ」と警告している。
 世界の所得格差についてはフランスの経済学者、トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が著書「Capital in the Twenty-First Century(21世紀の資本論)」の中で厳しい警告を発して議論を呼び、同書はベストセラーになっている。
 オランダの経済学者、ヤン・ライテン・ファン・ザンデン(Jan Luiten van Zanden)氏は今回のOECDの報告書について、「ピケテ
ィ氏と同じ問題点を指摘し、世界の格差拡大に対して同じ懸念を持っている」と述べ、 ピケティ氏の著書は主に欧米諸国を扱っているが、世界規模で同じ分析を行うべきだとの見解を示した。』


 トマス・ピケティは、「21世紀の資本論」で、現代について、
現代は第2のベルエポックに入っている
 と、表現しています。


 ベルエポックとは、フランス語で「良き時代」という意味を持ちます。「金ぴか時代」と表現することも可能です。


 要するに、大戦争が起きず、資本効率が上がり、所得が富裕層に集中し、不平等が拡大する時代のことです。


 ピケティの主張の「肝」は、ベルエポックの時代は資本利益率が経済成長率を上回る結果、所得格差、貧富の格差が拡大するというものです。労働分配率等の話を一旦、脇に置くと、経済成長(GDP成長)を達成すれば、一応、国民全体の所得は拡大していることになります。


 資本利益率とは、投じられた資本から得られる利益の割合ですが、ここでいう「利益」も元を辿ると、「所得」から支払われます。配当金や金利の出どころは、国民が働いて生み出した所得なのです。配当金とは、企業が稼いだ所得の「株主への分配」と言い換えることが可能です。資本利益率が経済成長率を上回るとは、要するに利益から「資本」に分配される所得が、全体の所得増加率を上回るペースで増えている、という話になります。


 さて、わたくしが問題にしたいのは、格差拡大そのものというよりは、先日ご紹介したポール・クルーグマン教授のコラムと同じで、
所得格差が開くことで、経済成長が阻害されていないか?
 になります。


 クルーグマン教授のコラムにもありましたが、
低所得者層を中間層に引き上げる政策と、経済成長率を高めることは両立する
 のです。逆に言えば、中間層を低所得層に叩き落とすことで、経済成長率は(少なくとも先進国は)確実に落ちました。この辺は、ハジュン・チャン氏の著作などでも明らかにされています。


 特に、現在の日本は実質賃金が「絶賛、下落中」であり、国民の多くが中間層から低所得層に移行していっています。結果的に、国民は消費という内需を拡大させる購買力を失いつつあるわけです。


 安定的な経済成長を達成したいならば、この流れを逆転させる政策を打つべきなのですが、安倍政権は、
「消費税増税(低所得者層の税率が高い)」
「労働規制の緩和」
「外国移民受入」
「法人税の無条件減税」
「株価至上主義」
 と、国内の所得格差を拡大する政策を推進しています


 安倍総理は10月3日の衆院予算委員会の答弁で、
「(アベノミクスによる)株価上昇で一部の人たちだけが利益を得るのではなく、株保有者は資産が増えるので、資産効果としては給料やボーナスが上がったよりも大きな効果があって、これが消費につながる。消費につながり、買い物すれば物を作っている人(製造業者)にすればプラスになって、それが収益になって、それが賃金になっていけば(賃金増になっていく)」
 と、典型的なトリクルダウン的説明をしています


 上記はかなりおかしな話で、何しろ株価が上昇し、キャピタルゲインを得た人は、別に「儲け」を国内で消費する必然性は無いのです。何しろ「ぐろーばりずむ」な世界でございますので、外国に投資をしても構いません。あるいは、将来不安が払拭されていない人は、そのまま預金として貯めこんでしまうでしょう。


 念のため書いておきますが、株価上昇の資産効果が「無い」という話ではありません。資産効果が国内の所得拡大につながるとは「限らない」と書いているのです。


 ついでに書くと、株価上昇の資産効果が「いつ」国内の所得増に結び付くのか、断言できる人はいないでしょう。それはもちろん、「長期」で考えたら所得が上がるのかも知れませんが、それこそケインズではないですが、
長期的に考えると、我々はみんな死んでしまう
 という話なのです。


 株価上昇による資産効果よりも、政府が直接的に国民の所得を増やす財政出動を拡大すれば、時期は確定します。さらに、「トリクルダウン(滴り落ちる)」が外国に向かってしまうことも阻止できます。


 いずれにせよ、クルーグマン教授のコラム、ピケティの「21世紀の資本論」、そしてOECDのレポートと、世界的に所得や資産の格差を問題視する傾向が強まってきました。安倍政権の多くの政策は、まさしく所得格差、資産格差を拡大するもので、今後の日本の「安定的な経済成長」を阻害する可能性が高いと確信します。


 日本の経済成長のためにも、今、安倍政権の推進する各政策に反対の声を上げなければならないのです。日本は「分厚い中間層」を中心とした経済を取り戻すべきです。まだ、間に合います。


「日本は分厚い中間層を中心とした経済を取り戻すべき」に、ご賛同下さる方は、

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