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『2014年4-6月期のGDP改定値を受けて①』三橋貴明 AJER2014.9.16(11)

http://youtu.be/4toOUMcHQ5o

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 本日は、三橋経済塾第三期第九回の開講日です。ゲストは中野剛志先生です。塾生の皆様、よろしくお願いいたします。


 明日は7時から、TOKYO MX「モーニングCROSS」に出演いたします。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 先週は、スコットランド独立騒動を始め、興味深い話題が盛りだくさんでした。二つほど、どうしても取り上げたかったものの、取り上げられなかったテーマを駆け込みで。


九州電力:再生エネ買い取り中断検討 送電パンクの恐れ
http://mainichi.jp/select/news/20140920k0000m020163000c.html
 九州電力が、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく契約の受け入れを、管内全域で中断する本格検討に入った。太陽光発電の導入が急速に進み、自社の送電設備の容量がパンクする恐れが出てきたため。ただ、受け入れ中断には、再エネ事業者への合理的な説明が必要なほか、世論の反発も予想されるため、九電は月内にも、国と対応策を協議する。
 管内全域で中断すれば、大手電力で初の事例となる。九電は昨年3月、既存の送電設備で接続可能な太陽光・風力発電容量を400万キロワット増やして700万キロワットと定め、2020年までに導入を図るとしてきた。だが、太陽光発電の買い取り価格が高かったこともあり、今年7月末の実績で既に385万キロワットに達するなど、想定を上回っている。

 太陽光は出力の変動幅が大きく、さらなる導入には変動幅を抑える技術開発や、設備の増強工事が不可欠。再エネ事業者が多額の工事費用を自己負担するケースも出ており、九電は、導入目標拡大を検討する一方で、FITを推進する国に対しても、制度見直しを含めた対応を求める意向だ。』


 未だに理解していない日本国民が少なくないような気がしますが、電力サービスでは「大は小を兼ねる」は成立しません。すなわち、需要に対して供給が多めにあるから「良いでしょ」とはならないのが、電力サービスなのです。


 電力サービスの供給は、需要に合わせて調整しなければならないのです。電力の需要に対し、供給が大きくても小さくても、「周波数」が変動してしまい、電力サービスは使い物にならなくなります(最悪、ブラックアウト(大停電))。日本の電力サービスが50Hz、もしくは60Hzで安定的に供給されているのは、電力会社が需給に応じて供給を調整しているためなのです。


 供給を調整すると書くと、簡単に思えてしまいますが、実際には様々な発電技術により、様々な燃料を用いて発電量を調整するわけで、しかも予期せぬトラブル(発電機の計画外停止)は常に起こり得るわけで、電力サービスを安定的に供給するのは、まさに神業的(誇張ではなく)な技術、技能、ノウハウが必要になります。


 需要に応じた供給しかできない電力サービスに、第三者が好き勝手に電気を発電し、強引に送電網に流し込んでくるのが、まさにFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)なのでございます。しかも、安定的に発電してくれるならともかく、太陽光にせよ風力にせよ、稼働率は常に不安定です。


 しかも、酷い話ですが、FIT事業者(メガソーラーなど)の方は、電力会社の送電網というインフラに対しては何の責任も負いません。ただ、一方的に送電網に発電した電気を流し込めば、固定価格で長期間、買い取ってもらえることになっているのです(費用を負担するのは、国民ですが)。


 電力会社からしてみれば、厄介者のFITの電気を法律で受け入れさせられ、さらに送電網の維持管理については全責任を負っています。すでに、九電や北電のように、送電網がいっぱいで、FITの電気を受け入れられなくなっている事業者が出てきています。


 となると、FIT事業者が資金を提供し、九電や北電の送電網増強をやるべきだと思うのですが、実際に負担させられるのは電力会社側です。FIT事業者は、自分たちのせいで送電網のキャパシティがいっぱいになったにも関わらず、ネットワーク強化の負担は一切しなくてもいいことになっているのです。


 こんなおかしな制度が持て囃されているのが、現在の日本という話です。「歪んだ情報」の怖さを、ひしひしと感じます。


 歪んだ情報と言えば、こちらもそうです。


『設備投資・雇用減税廃止へ 法人税改革、企業負担公平に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF18H13_Y4A910C1EE8000/
 政府は法人税改革で、第2次安倍政権が導入した設備投資や雇用を促す税制について、今後3年程度で順次廃止していく検討を始めた。国際的にみて高い法人実効税率の引き下げの財源にするため、政府は政策減税をゼロから見直す方針を示しており「安倍税制」も例外にしないことにした。経済界も廃止を受け入れる方向で調整する。(後略)』


 クラクラクラ・・・・、と、眩暈がしてきました。そもそも、法人税減税の目的は「設備投資」や「雇用」を増やすことにあったはずでは・・・?


 麻生財務大臣は、9月17日の講演で、法人実効税率引き下げについて、
「下げるにあたっては、間違いなく下げた分だけは、内部留保はダメ、きちんと(所得に還元し)上げて下さいと言っている」
 と、語りました。


「上げて下さいと言っている」
 と、言われても・・・。政府が法人税を「無条件」で減税し、減税により増えた利益を「内部留保に回すのはダメ」といったところで、通るはずがありません


 雇用拡大や設備投資に減税分の利益を投じて欲しいならば、やはり「設備投資減税」「雇用減税」にするべきです。この場合は、政府の法人税減税により増大した利益が、「所得に還元」されたという話になります。


 ところが、現実には、無条件の法人税減税の財源を設備投資減税・雇用減税の廃止で賄うと・・・・。もはや、ポルナレフもびっくりの本末転倒ぶりでございます。(いや、ポルナレフは別にDioの本末転倒に驚いたわけではないですが)


「(AA略)あ・・・ありのまま起こったことを話すぜ。設備投資や雇用を増やすために法人税を減税すると言いつつ、財源が設備投資減税や雇用減税の廃止ときた。何を言っているのか、わからねーと思うが、俺も自分で何を言っているか分からねえ」


 という気分でございます。


 それにしても、法人税減税議論に代表されますが、これほどまでにレベルが低い稚拙な議論しかなされていないにも関わらず、政治家が真っ当な突っ込み(小学生でも突っ込めるでしょうに・・・)をしようとしない。誰もが口をつぐんでいるように見える。


 まさに、これこそが真の意味で現在の日本の危機なのだと思います。


「歪んだ情報こそが、真の意味における日本の危機」に、ご賛同下さる方は、

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