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『2014年4-6月期のGDP改定値を受けて①』三橋貴明 AJER2014.9.16(11)

http://youtu.be/4toOUMcHQ5o

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 スコットランド独立の住民投票は、民間調査によると47%vs53%で、反対派がわずかに優勢のようです。今日の午後には、決着がつくでしょう。


 さて、消費税増税派のレトリックの中で、一番嫌なのが、
消費税増税で財政が安定するという期待を国民が抱き、安心して消費をするようになる
 というものです。

 何がそんなに嫌かといえば、そもそも前提が間違っていることです。すなわち、消費が落ち込んでいる理由を、
「国民が財政を心配し、消費を手控えている」
 と、勝手に決めつけているわけでございます。


 例えば、白川前日本銀行総裁は、2012年4月21日にワシントンのパネルディスカッションにおいて、
人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっている」
 と、発言しました。国民は、
「財政状況への不安」
 を常に抱いており、支出を抑制している、と。八百屋さんで野菜を買うときも「ザイセイガ・・・」、自動車を買うときも「ザイセイガ・・・」、マンションを買うときも「ザイセイガ・・・」、外食をするときも「ザイセイガ・・・」。


 わたくしたち日本国民は、とにかく常日頃から「ザイセイガ・・・」と考え続け、消費や投資を手控えているそうです。


 この奇妙な「ザイセイガ・・・」レトリックは、現在の日銀総裁にも受け継がれています。


消費増税は新たな下振れ要因でない、必要なら政策調整=日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HB0GY20140916
 日銀の黒田東彦総裁は16日、大阪市内で講演し、今年4月の消費税率引き上げは以前から予定されていたものであり、新たな景気の下振れ要因ではないと語った。また、日銀が想定する見通しから下振れ、2%の物価安定目標の実現に必要であれば、ちゅうちょなく政策調整を行う考えをあらためて表明した。
 総裁は足元の日本経済について「輸出や生産は弱めの動き」としながらも、「雇用・所得環境の着実な改善が続き、家計のコンフィデンスは改善している」と指摘。「家計・企業の両部門において所得から支出へという前向きな循環メカニズムはしっかりと作用している」と語った。
 そのうえで、今年4月の消費税率引き上げに伴う反動減の影響について、品目による差や、地域によって天候要因が影響した面はあるとしたが「全体としてみれば、反動の影響は徐々に和らぎつつある」とした。 消費増税と物価上昇に伴う実質所得の減少が、個人消費に与える影響に関し「消費税率引き上げに伴う影響と本来の物価上昇とを区別して考えることが重要」と強調。このうち消費増税については「以前から予定されていたものであり、新たな下振れ要因が生じているわけではない」とし、むしろ消費増税が財政や社会保障制度の持続性に対する信認を高め、「家計の支出行動に対するマイナスの影響をある程度減殺する力も働く」と述べた。(後略)』 


 どこの世界に、消費の際にいちいち「政府の財政」や「社会保障制度」を気にし、「ザイセイガ・・・」と支出を絞る国民がいるというのでしょうか。現在の日本国民は、単に物価が上がる中、所得が十分ではない、つまりは「実質賃金」が低下しているからこそ、支出を手控えているに過ぎません。家計の支出を増やしたいならば、「実質賃金」の上昇以外に方法はないのです。

 そもそも、
「消費税増税が財政や社会保障の持続性に対する信認を高め、家計が消費を増やす」
 と主張するならば、1997年の消費税増税後に消費が落ち込み、結局、回復することがなかったという歴史的事実について、いかに説明するつもりなのでしょうか。消費税増税が「ザイセイガ・・・」を払拭し、国民の消費を増やすというならば、97年の増税時にその現象が発生していなければおかしくありませんか? 現実には、日本の民間最終消費支出は97年以降、横ばいになってしまいました。


【日本の民間最終消費支出の推移(単位:十億円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#PFC


 財政や社会保障がどうであろうと、国民は働いて稼ぎ出す所得が「充分」であり、さらに安定的に所得を稼ぐことが可能と判断すれば、消費や投資を増やします。やるべきことは、所得(=需要)の拡大であるにも関わらず、わざわざ所得を減らす消費税増税を断行し、さらに「増税で信任が高まり家計が支出を増やす」などと意味不明なことを言ってのける これが、現在の日本政府。厳密には1995年の武村正義大蔵大臣(当時)の財政破綻宣言以降の日本政府というわけでございます。

 黒田日銀総裁は、消費税増税が「ザイセイガ・・・」病を治療し、国民が消費を増やすと主張するならば、
なぜ、97年以降、消費が増えていないのか?
 について、説明する必要があると思うわけでございます。


黒田総裁は「なぜ97年以降に消費が増えていないのか?」について説明するべき、にご賛同下さる方は、

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