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『ウクライナ危機①』三橋貴明 AJER2014.8.19(3)

http://youtu.be/cyaQKYmCqLo

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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経済界 2014年 9/23号 [雑誌] 」に連載深読み経済ニュース解説「広島の土砂災害から学ぶべき安全保障の基本」が掲載されました。


 さて、国債金利が世界最低水準で、独自通貨国、中央銀行が国債を買い取ることで政府の「実質的な負債」が減少していっている国が、日本国です。スイスの長期金利(十年物国債金利)が0.52%ですが、日本は0.57%。最近、日ス両国の政府が、
「地球上で最も安い金利で資金調達することが可能な座」
 を激しく争っています。(むなしい戦いですが)


【日銀保有国債・財融債・国庫短期証券と日銀以外保有国債・財融債・国庫短期証券(単位:億円)】


http://members3.jcom
.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#BOJ


 上の図の通り、日本政府の借用証書である「日本国債・財融債・国庫短期証券」の推移を見ると、一応、日本政府に返済義務がある「日銀以外保有」分が、2012年9月をピークに減少していっています。無論、国債発行残高全体は増えているのですが、政府に返済義務・利払義務がない日銀保有分が急拡大しており、
「日本政府の実質的な負債(借金)がどんどん減少していっている」
 というのが、現実の世界なのです。


 今更書くまでもありませんが、日本銀行は日本政府の子会社です。子会社と親会社のお金の貸し借りは、連結決算で相殺されてしまいます(利払いも)。日本政府が、日銀に市中の国債を買い取らせると、政府の実質的な負債は減少します。


 日本政府の実質的な負債が減少していっているのは、もちろんデフレ対策として日銀が国債を大量に購入しているためです。


 上記が現実であるにも関わらず、自民党の高村副総裁が以下の発言をしました


高村氏、増税の必要性強調 「国債暴落に打つ手なし」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140910/stt14091017500012-n1.htm
 自民党の高村正彦副総裁は10日、来年10月に予定する消費税率10%への引き上げを見送った場合のリスクに触れ、増税の必要性を強調した。「(財政再建に向けた)市場の信認を失い、国債が暴落すれば打つ手がほとんどない」と党本部で記者団に語った。
 同時に「増税できなければ社会保障経費を借金で賄う状況が続く。増税による経済失速にはそれなりに打つ手がある」と指摘。「増税できる経済環境を整えられるように全力で支援する」とも述べた。』


 年長の政治家の方に対してこんな言葉は使いたくないのですが、
「頭大丈夫ですか?」
 と、言いたくなりました

 実際の高村副総裁の発言は、以下の通りです。

「日銀の黒田総裁も心配しておられる通り、市場の信認を失って国債暴落、金利高騰ということになれば、政府としても日銀としても打つ手がほとんどない。経済失速の場合はそれなりに打つ手があるわけですが、いずれにしても今やるべきはしっかり経済環境を整えるためにスピード感をもってやるということであろうと思います。」


 今更書くのもなんですが、日本国債は100%日本円建てです。貸し手は、ご存知の通り、主に日本国内の金融機関です。日本国内の金融機関は、デフレによる資金需要不足で、
「国内に他に日本円の借り手がいない」
 からこそ、銀行などは政府にお金を貸し出す、つまりは国債を購入しているわけです。


 高村副総裁の言う「市場の信認」とやらが何なのかは知りませんが、日本国債を売却し、日本円を手に入れた銀行は、その日本円をどうするのでしょうか? 日本国内の企業に貸し出せるならば、そもそも国債を買っていません。


 結局、日本国債を売却し、日本円を手に入れた日本国内の金融機関は、「国債で運用する」という道を選択するしかないでしょう


 しかも、国債が(理由は不明ですが)売り込まれた時、日本銀行が買い取ってしまえば、「国債暴落」やら「金利高騰」やらは起きえません。日本銀行が国債を買い取り、市場の国債供給が少なくなれば、国債価格はむしろ暴騰(金利急落)することになります。


 要するに、高村副総裁の言説は「支離滅裂」なのです。

 などと書くと、
「日本国債を売り、日本円を手に入れた銀行が、外国に投資をする結果、日本国債が買われず、破綻するううぅぅぅぅっっっ!!!」
 などと、衝撃的なファンタジー理論を叫ぶ人がいます。


 残念なことに、日本円は日本国内でしか使えません。例えば、A銀行が1兆円分の国債を売却し、


A銀行 1兆円保有 
B銀行 100億ドル保有


 という状況があったとして、A銀行が1兆円を外国に投資しようとしたとしましょう(為替レートは1ドル100円)。A銀行は手持ちの1兆円をB銀行に両替してもらい、手に入れた100億ドルを外国に投資するでしょう。


 それで、両替をしたB銀行の手元に、1兆「円」は残っていませんか? B銀行は、1兆円分の日本円を、どうするのでしょうか。


 日本国内で民間に貸し出すことができるならば、そもそもA銀行は1兆円の国債を買っていません。国内に貸し手が見つからないB銀行は、結局は1兆「円」を日本国債で運用するしかないでしょう。

 両替をしたところで、お金は消えないのです。当たり前でしょ?


 高村副総裁を始め、「国債暴落」とやらを煽る人々には、是非とも、
「国債を売った銀行が日本円を手に入れ、それを何で運用するのか?
 について、明確に説明して欲しいと思います。あるいは、
「インフレ率を無視すれば無限の国債買取能力を持つ日本銀行を向こうに回し、国債を売却する意味」
 についても、是非とも教えて欲しいです。


 結局のところ、日本国内の消費税増税派は、結論を変える気はないわけです。自説を補強するためにファンタジー理論(市場の信認を失って国債暴落、等)を持ち出しても、消費税の再増税を推進しようとしてきます。


 この手の政治家や官僚、学者、エコノミスト、評論家に対抗するためには、正しい情報を嫌というほど「怒り」そして「嘲笑」とセットでぶつけていくしかありません。皆様のご支援に期待いたします。


本日のエントリーの結論にご賛同下さる方は、

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