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『ウクライナ危機①』三橋貴明 AJER2014.8.19(3)

http://youtu.be/cyaQKYmCqLo

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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 2014年4月以降、食料(酒類除)とエネルギーを除く消費者物価指数、すなわちコアコアCPIの対前年比は、
4月 2.3%
5月 2.2%
6月 2.3%
7月 2.3%
 と、2%を上回る状況が続いています。


 とはいえ、正しく「物価」の状況を把握するためには、上記から消費税増税分(日銀試算で1.7%)を差し引かなければなりません。1.7%を差し引くと、
4月 0.6%
5月 0.5%
6月 0.6%
7月 0.6%


 で、コアコアCPIが「安定的にプラスになる」状況であるとは、お世辞にも言えません。
 そして、最近、注目されることが多くなった「東大日次物価指数」は、すでにマイナスに突っ込んでいます。


【東大日次物価指数】
http://www.cmdlab.co.jp/price_u-tokyo/


 東大物価指数は、小売店などのPOSデータを活用し、価格だけでなく数量も確認し、随時、売れ筋商品を補足しています。しかも、東大日次物価指数は、ある一日の物価を、わずか3日後に公表するという迅速性を誇っています。


 総務省統計局のCPIは、数年に一度売れ筋商品の調査、補足を行い、さらに数値が出てくるのが月末で締めた一か月後です。

 東大物価指数の状況を見ると、4月に消費税増税で値上げされた分を、すでに食い尽くすほど「値下げ」が進行していることが分かるわけです。


 さて、わたくしはしつこいほど「実質賃金」という指標を重視します。何しろ、デフレとは、
「物価が下落する以上のペースで、所得が下がり(=実質賃金の低下)、国民が貧困化する」
 という現象です。それに対し、現在は、
「物価の上昇ペースに、所得の伸びが追い付かない(=実質賃金の低下)ため、国民が貧困化する」
 という状況にあります。


 実質賃金が低下している以上、いずれにせよ国民の貧困化は続いているわけです。第二次安倍政権を誕生させた2012年の総選挙で、自民党は、
「日本を取り戻す」
 というスローガンを掲げました。本スローガンにおける「日本」とは、「国民が豊かになれる日本」でなければならないと、個人的に考えているわけです。残念ながら、日本国民は未だに「国民が豊かになる日本」を取り戻してません。


 実は、実質賃金の低下は、日本のみならず、世界主要国共通の問題になっています


世界で続く賃金大停滞(英エコノミスト誌 2014年9月6日号)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41677
◆先進国全体で賃金が停滞している。

 各国の中央銀行はかつて、賃金の高騰を激しく批判していた。1970年代のような、物価と賃金がともにスパイラル的に上昇する破滅的な事態に逆戻りしないように、という先入観が常に働いていたのだ。ところが、金融危機以降、中央銀行は全く逆の悪循環を懸念してきた。賃金の停滞と、拡大するデフレのリスクだ
 先進国ではここ数年、賃金の下落傾向が見られる。経済協力開発機構(OECD)が9月3日に発表した今年度の「雇用アウトルック」によれば、OECD加盟国では2010年から2013年にかけて、実質賃金(インフレ調整後)が横ばいだったという。
◆国・地域によって異なる賃金停滞の理由
 その間、米国はほとんど上昇していないし、ユーロ圏と日本では減少している。ポルトガルやスペインなど、問題を抱えるユーロ圏の周縁国の落ち込みが特に激しいが、英国もやはり急落している(中略)。
 当然のことながら、賃金を重視しているのは中央銀行だけではない。賃金が低迷すれば所得税収や社会保障の拠出金が縮小し、政府が財政を立て直すのが困難になる。実質賃金が増えなければ家計の痛手にもなり、消費者は財布のひもを緩めない。賃金の引き締め傾向が終わらない限り、先進国が健全かつ持続可能な回復を実現するのは難しいだろう。』


 日本の場合、2013年8月から14年7月までの一年間の現金給与総額は、2.6%増えました。とはいえ、これは一時金(ボーナス)の増加の影響が大きく、わたくしがいつも使う「決まって支払われる給与」は0.7%しか増えていません。


 7月の総合消費者物価指数(CPI)は3.4%上昇なので、ボーナスを入れてすら国民の実質賃金は下落していることになります。無論、実質賃金が上昇しない局面における消費税増税(物価の強制的な上昇)が、消費者心理を冷え込ませることは言うまでもありません。

 
 すなわち、現在の日本は、
「コアコアCPIがマイナスに突っ込む、再デフレ化」
 と、
「実質賃金の長期にわたるマイナス」
 という、二つの危機に直面していることになります。日本が再デフレ化すると、実質賃金の下落は、
「物価が下落する以上のペースで、所得が下がる」
 ことで、もたらされることになるでしょう。いずれにせよ、国民が貧困化することに変わりはありません。


 最近、ポール・クルーグマン教授などが、
「格差解消(=中間層の増大)こそが経済成長をもたらす」
 という主張を大々的に展開し始めましたが、中間層の増大とは、もちろん実質賃金の「安定的な上昇」を意味しています


 先日、ご紹介した柴山先生のメルマガ(【柴山桂太】賃金の謎 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/08/21/shibayama-35/  )の通り、
賃金主導の成長こそ、日本が真に目指すべき道なのです。(by 柴山桂太)」

 そして、賃金主導の成長を目指すべきは、別に日本に限った話ではないというのが現実の世界なのでございます。


世界に先駆けて「賃金主導の成長を!」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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