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『ウクライナ危機①』三橋貴明 AJER2014.8.19(3)

http://youtu.be/cyaQKYmCqLo

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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 25日、ウクライナ政府が、
戦車十台を含む装甲車の車列が、ロシアからウクライナ東部に侵入した
 と、発表しました。さらに、ウクライナ軍の報道官が、ロシアの戦車二台を破壊し、乗組員を拘束したと記者団に述べました。


 もっとも、ロシアのラブロフ外相は、上記を全面否定しており、
ウクライナがロシアの侵攻について大量の虚偽の情報を意図的に発している
 と、非難しました。


 現在のウクライナ危機は、東部で戦闘が行われると同時に、完全にロシアとウクライナの「情報戦争」と化しており、報道が全く信用できない状況になっています。(別にどちらが善で、どちらが悪という話ではなくロシア、ウクライナが自国の国益のためにプロパガンダ合戦をしているという話です)


 ウクライナ危機、さらには中東の混乱と、我が国のエネルギー安全保障に大きく影響する紛争が続きます。


 日本政府は、5月にエネルギー基本計画を閣議決定し、基本的視点の中に、「S+3E」の同時達成が目標として掲げられました。S+3Eとは、安全性(S)、エネルギー安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Energy Efficiency)、環境への適合(Environment)を意味しています。Energy Securityについて、なぜ「エネルギー安全保障」ではなく、「エネルギー安定供給」なのかが謎なのですが、いずれにせよエネルギー基本計画の中に、わたくしがしつこいほど繰り返す「Energy Security(エネルギー安全保障)」が盛り込まれているのは確かなのです。


 日本がエネルギー安全保障を確立するためには、原発の再稼働が必須です。当然、規制委員会が亀のごときペースで審査をしたとしても、最終的には内閣の政治家(例えば、総理大臣)の「政治判断」により、原発再稼働が進むと思っていました。(期待していました)
 ところが、現実は異なります。


川内原発再稼働に規制委トップ「安全とは言えない」、政府も責任回避で自治体が反発
http://biz-journal.jp/2014/08/post_5809.html
 今や、反原発の旗手となった小泉純一郎元首相が吠えた。九州電力の川内(せんだい)原発1、2号機の再稼動に関連し「政府は安全だから(再稼動)を進めると言うが、原子力規制委員会委員長が安全とは言えないとしており矛盾している。おかしい」と、安倍晋三政権が進める原発再稼働路線を強く批判した。
 規制委は7月16日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承した。川内原発1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。川内原発は合格第1号となったが、規制委の田中俊一委員長は「新規制基準を満たしたから安全とは言えない」「世界一の安全基準という言葉は政治的な発言」と発言。規制委は基準に適合しているかどうかを審査するだけであり、再稼動するかどうかは政治の判断のため、規制委は一切関与しないとしている
 一方、安倍政権は今年4月、「規制委の基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し再稼動を進める」と明記した「エネルギー基本計画」を閣議決定している。規制委の審査に合格すれば自動的に再稼動できる仕組みをつくり、「政治判断はしない」といった発言を繰り返した。政府も規制委も原発再稼動を判断しない。では、誰が再稼動を判断するのか。審査合格後は電力会社が立地自治体に再稼動の意思を伝え、立地市町村長、次いで知事が再稼動に同意する手続きを取る。再稼動の最終判断は電力会社と立地自治体にゲタを預けられているのが実情である。(後略)』


 いや、いや、いや・・・・。突っ込みどころが多すぎて、もはやどのように論評したらいいのか分からないのですが、とりあえず話を整理すると・・・。


 原子力規制委員会は、7月16日に九電の川内原発1、2号機について「新規制基準に適合している」と了承したものの、田中委員長が、
「新規制基準を満たしたから安全とは言えない」
「世界一の安全基準という言葉は政治的な発言」
 と、発言し、さらに(こっちの方が重要ですが)、規制委員会は基準に適合しているか否かを審査するだけで、再稼働は政治の判断であり、規制委員会は「一切、関与しない」と明言しているわけです。


 次に、安倍政権ですが、規制委員会の審査に適合した場合、「自動的」に再稼働となる仕組みを作り、「政治判断をしない」とのことでございます。すなわち、原発再稼働の「判断」について、規制委員会に押し付けようとしているわけですが、規制委員会側は「一切、関与しない」と。


 繰り返しますが、安倍内閣は5月にエネルギー基本計画を閣議決定しています。その中には、「Energy Security(エネルギー安全保障)」の確立が盛り込まれており、さらに基本計画では原子力発電について「重要なベースロード電源」であることが明記されました。それにも関わらず、政府は原発再稼働について判断を「回避」し、結局のところ各電力会社と自治体に「判断」が押し付けられるという格好になっているわけです。


 九電の瓜生道明社長は、
「規制委が原発の安全性を、政府は原発の必要性を説明するべきだ」
 と語り、鹿児島県の伊藤祐一郎知事も、
エネルギー政策は最終的には国の責任であり、再稼動を地方公共団体に委ねるのは筋違い。明確な方向性を示してもらわないと、国の責任が明確にされない」
 と、発言していますが、当然でしょう。国家のエネルギー安全保障の問題を、各自治体や企業(電力会社)に丸投げしている時点で、異様極まりないのです。


 無論、政府が原発再稼働の判断をした場合、政権の支持率は下がるでしょう。それでも、「国家の安全保障」を考え、政治的な判断を下すのが政治家の仕事だと思っていたのですが、安倍総理はどのように考えているのでしょうか。気になります。


 いずれにせよ、国家のエネルギー安全保障の「判断」が自治体や電力会社に委ねられるなど、「国家の異常事態」だと思います。というわけで、まずは状況を読者の皆様に知って頂きたく、本件を取り上げました。


「国家のエネルギー安全保障の「判断」は、政府の政治家が下すべき」に、ご賛同下さる方は、

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