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『いわゆる従軍慰安婦問題と、いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.8.12(12) http://youtu.be/GpEpCei8vsI

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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  昨日は、三橋経済塾第三期第八回の講義の開講日でした。田母神先生にご高話いただいたわけですが、場が引きしまりましたね。 懇親会にまでお付き合いいただき、ありがとうございました、田母神先生。 インターネットで受講されている方は、一週間ほどお待ちくださいませ。


 さて、あまり注目されていない気がしますが、日本のGDPデフレータが4-6月期にプラス化しました。というわけで、本日はこの「GDPデフレータ」という指標について、ご一緒に考察しましょう。


『「デフレ脱却宣言には時期尚早」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140815/k10013830261000.html
 甘利経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、デフレからの脱却について、ことし4月から6月までの物価動向を総合的に示す指標が4年9か月ぶりにプラスになったことは大きいとしながらも、さらに経済の足腰の強さの確認が必要だなどとして、「デフレ脱却を宣言するには時期尚早だ」と述べました。
 政府は消費者物価指数などの指標でデフレからの脱却を判断することにしていますが、こうした指標の1つで物価動向を総合的に示す、4月から6月期の「GDPデフレーター」が4年9か月ぶりにプラスになりました
 これについて、甘利経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「GDPデフレーターがプラスになったことは極めて大きな要因であることは確かだ」と述べました。
 そのうえで、甘利大臣は「消費増税の影響をどう順調に乗り切るのかなど、まだ見通さなければならない要素がある。この時点にデフレ脱却を宣言するのは時期尚早だと思う」と述べました。
 さらに甘利大臣は、デフレ脱却の判断について「再びデフレの状態に戻ることがないような経済の足腰の強さが確認されることを意味する」と述べて、経済の動向を引き続き慎重に見極めていく考えを示しました。』


 今回の4-6月期GDP統計におけるGDPデフレータの記事を読んで気になるのが、GDPデフレータがプラス化した理由を書いていないことです。もちろん、消費税の増税です。

 GDPデフレータは、「=名目GDP÷実質GDPx100」ですから、消費税増税による強制的な物価上昇で名目GDPが拡大し、さらに消費税増税のインパクトで実質的な生産活動が鈍れば、プラス化します


 統計的に、必ずそうなります。何しろ、分子が増え、分母が減るわけでございますので。

 まあ、今回のGDPデフレータのプラス化は、名目GDPも減っているのですが、
消費税増税による強制的な物価上昇で名目GDPの減少が抑制され、実質GDPは景気失速で名目GDP以上に縮小した
 結果、引き起こされた「例外的イベント」なのでございます。


 実際、97年の4-6月期もGDPデフレータはプラス化しました。
 というわけで、94年以降のGDPデフレータを計算したものをグラフ化してみました。


【日本のGDPデフレータの推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Gdefla


 94年第2四半期も、GDPデフレータが「ぴょこんっ」と、跳ね上がっているのが確認できると思います。


 ちなみに、GDPデフレータはリーマンショック後もプラス化していますが、これはリーマンショックにより輸入物価が大幅に下落し、見かけ上の交易条件が改善されてしまったためです。(あまり深く考えず、輸入物価の下落はGDPデフレータを押し上げる効果があるとだけご理解ください)
 というわけで、97年以降の日本は、
「97年4月の消費税増税」
「08年のリーマンショック」
「14年4月の消費税増税」
 という、GDPデフレータを「必ず押し上げる」例外的イベントが発生した時期を除き、継続的に物価下落が続いてきたというのが真実なのでございます。

 上記を理解していれば、GDPデフレータ上昇を受け「デフレ脱却」などという話を言い出す時点で滑稽としか言いようがなく、ましてや、
「ことし4月から6月までの物価動向を総合的に示す指標が4年9か月ぶりにプラスになったことは大きい」
 などということにはなりません。


 正しい「デフレ脱却」は、GDPデフレータ関連でいえば、
「実質GDPがプラス化し、それ以上のペースで名目GDPが拡大した」
 状況が、ある程度の期間(最低二年は)継続することになりますが、14年4-6月期は、
名目GDPが縮小したものの、それ以上に実質GDPが激減した
 結果、引き起こされた例外的現象なのです。


 それにしても、GDPデフレータについて正しい理解をせずに、NHKの記事を読むと、何となく、
「デフレ脱却に向かっているものの、政府が慎重姿勢を示している」
 風に印象付けられてしまいます(それが狙いなんでしょうけれども)。現実に起きていることは、猛烈なペースの国民経済の縮小と、国民の貧困化なのです。


 それにも関わらず、政治家が、
「GDPデフレーターがプラスになったことは極めて大きな要因であることは確かだ」
 などと見当違いなコメントを言ってのけるほど経済に対して無理解であるからこそ、我が国の国民の貧困化が続いているという話なのでございます。(わたくしが甘利大臣の立場だったら、こんなナンセンスなことを言わされる前に逃亡します。恥ずかしいから)


 政治家が経済に無理解である以上、国民が知恵を身に着けるしかありません。


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