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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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 現在、ロシア、ウクライナ、ガス、そして日本のエネルギー安全保障に関する本を書いているわけですが、ロシア軍がウクライナ東部国境に集結しているようです。


ロシア軍がウクライナ国境に集結、介入の構えか
http://www.cnn.co.jp/world/35051988.html
 ドネツク(CNN) ウクライナ政府軍と親ロシア派の衝突が続く同国東部の情勢に関連して、北大西洋条約機構(NATO)の当局者は5日、ロシア軍がウクライナ国境沿いに約2万人の兵力を集結させているとして懸念を示した。
 同当局者によると、先週の時点で展開していた計1万2000人に加え、8000人を新たに配置したとみられる。この中には防空、特別部隊なども含まれ、「数時間のうちに侵入して戦況を大きく変える能力を持っている」という。
 一方、ウクライナの国家安全保障・国防会議は同日、ロシアが国境沿いに集結させている兵力は4万5000人に上るとの見方を示した。前日からの24時間で計26回の衝突があり、このうち6回はロシア領内からの攻撃だったとしている。
 ロシアが今年3月のクリミア併合に続き、ウクライナ東部にも介入を図るのではないかとの懸念が強まっている。(後略)』
 
 今回のウクライナの危機について、単純に「悪いロシア」「良いウクライナ」などと割り切ってしまうと、「現実の世界」が見えなくなります
 何しろ、今年の2月22日にウクライナのヤヌコビッチ大統領がキエフを脱出し、その後、「暫定
政権」が発足したのですが、その「暫定政権の人事」について、遅くとも2月4日の段階でアメリカが関与していたことが確定しています。恐らく、ロシアの情報部が盗聴した音声だと思いますが、アメリカの国務次官補ヌーランドと駐ウクライナ米国大使パイアットとの電話による会話がYoutubeに公開されたのです(くどいですが、2月4日の段階で)。


 ヌーランド国務次官補は、腰の定まらないEUについて「くそったれ」と罵ると同時に、信じがたいことに「ヤヌコビッチ大統領追放後」のウクライナ政府の人事について語っているのです。「くそったれ」の部分は、産経新聞などにも報道され、さらにヌーランド国務次官補がEUに謝罪しているため、電話が「偽物」である可能性は低いと思います。


 重要なのは「くそったれ」の部分ではなく、ヌーランド国務次官補が、
「将来のウクライナ政府の首相として最適なのは、ヤツェニュク(ウクライナ最大野党(当時)「祖国」の幹部)だ
 などと、ヤヌコビッチ追放前の段階で暫定政権の人事について語っている部分です。(この部分は日本のメディアでは報道されていません)


 ヤヌコビッチ追放後の14年2月27日に、ウクライナ議会は実際にヤツェニュクを首相に指名しました。もっとも、ヤツェニュク首相は7月24日に議会に対し「連立政権の崩壊、および政府のイニシアティブが阻止された」として、辞任を発表し、ヤツェニュク政権はすでに事実上、崩壊してしまいましたが。


 ロシア軍に話を戻しますが、2008年8月7日に、グルジア大統領ミハイル・サーカシビリ(当時)が、グルジア軍に南オセチアの支配権を奪い返すことを命令しました。数時間後、南オセチアとの国境地帯で軍事演習を行っていたロシア軍が反撃に出ます。結果、ロシア-グルジア戦争が始まった(南オセチア戦争)わけですが、国際世論、特に西側諸国の報道は「ロシアが悪い」という論調一色で染められてしまいました


 時期的に、北京五輪と重なったことも災いし、西側メディアはプーチンが、
「平和の祭典を汚す独裁者」
 であるという印象操作を行ったわけです。とはいえ、実際に五輪に合わせて「戦争」を始めたのは、サーカシビリ・グルジア大統領だったことが、EUの報告書で確定してます。(ロシア側が散々挑発したのは確かでしょうが)


 現在のウクライナ東部の情勢は、08年のグルジア国境と酷似しています。ここからは予想になりますが、「何らかの切っ掛け」で、ロシア軍がウクライナ国境を超える可能性は高いと思います。(ロシア側としては、相手に先に手を出させたいのでしょうが)


 アメリカのケリー国務長官は、ロシアの「人道目的を装った介入」を認めないという立場を明らかにしました。


米「人道目的装うロシアの介入認めず」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140810/k10013700521000.html
 アメリカのケリー国務長官は、ロシアのラブロフ外相と電話会談し、ロシアがウクライナ東部で、検討している人道支援について人道目的を装った介入は認めないとして反対する立場を伝えました。
 ロシアは、ウクライナ軍と親ロシア派との戦闘が続く東部で人道支援を行うための団体を派遣するとしていますがアメリカ国務省によりますと、ケリー長官は9日、ラブロフ外相と電話で会談し、「支援は現地の国際機関を通して行うべきで、ウクライナ政府の同意に基づかなければならない」と述べて、反対する立場を伝えました。そのうえで「人道支援や平和維持を口実にウクライナに介入すべきではない」と述べ、ロシアをけん制しました。
 ロシア外務省によりますと、これに対して、ラブロフ外相は、軍事作戦で子どもを含む多くの市民が犠牲になっており、人道的な危機を防ぐため、早急に措置をとるべきだと強調したということです。(後略)』


 「人道支援の団体」となっていますが、実際にはロシア軍でしょう。3月のクリミア半島においても、覆面で顔を隠し、正体不明でありながら、なぜかロシア黒海艦隊のナンバーがついたトラックを乗り回す兵士たちがいました。


 いずれにせよ、わたくしは本エントリーで、「ロシアが悪だ、いや善だ~」「ウクライナが悪だ、いや善だ~」「アメリカが悪だ、いや善だ~」とやりたいわけではありません。各国が自国の国益のために、やれることは何でもやるというのが現実の世界であり、アメリカ発の報道ばかりに接していると、この「現実の世界」を認識することができない可能性があると言いたいわけです。何しろ、2月4日以前にヌーランド国務次官補がヤヌコビッチ追放後の政権人事について語っていたことは、日本の大手メディアでは一切報じられていないのです。


 今後、アメリカの「覇権力」が落ちるに従い、日本国の国民も上記の類の「現実の世界」に直面しなければならないケースが増えてくるでしょう(増えてきています)。現実の世界は、極めてシビアです。日本国民以外には誰も、「日本のこと」を真剣には考えてくれません


 それを受け入れた上で、我々日本国民はどうするべきなのか。現実の世界にしっかりと向き合わなければならない時代がやってきたのです。


「現実の世界ときちんと向き合おう」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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