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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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 先日、敦賀で講演させて頂く機会があったのですが、講演後の懇親会で経営者の皆様にお話を伺ったところ、やはり一部の業界で人手不足が発生しています。
 特に、運送業界の人手不足は深刻で、タクシーと人手の奪い合いが起きているようです。すなわち、ドライバーの不足ですね。


 現在、全国的にトラックの運転手さんの不足が顕著になりつつありますが、主因は需要増というより(これもありますが)、団塊の世代のドライバーの退職のようです。いずれにせよ、今後の日本においてこれまで通り品質の高い運送サービスを維持するためには、インフラ面を含めた生産性の向上と、実質賃金の引き上げが必須です。


 特に、高齢化がますます進展する今後二十年ほどは、運送サービスの需要は高まることはあっても、減ることはないと思います。


 現在、地方の多くは車社会化してしまっていますが、これは維持が困難になっていくでしょう。理由は、ご高齢者は車の運転ができなくなるためです。

 というわけで、わたくしは以前から各地方の「中核都市」(※勘違いしている人が多いですが、東京ではないですよ)にご高齢者に集まって住んで頂き、需要を集めることで生産性を高めることを提唱してしますが、さらに運送サービスの強化も必要になると思います。


 将来はもちろんのこと、現時点で人手不足が発生している以上、トラックの運転手さんの賃上げは必要です。さらに、運送業界は現在、高止まりした軽油代金にも苦しめられています。


 すなわち、運送業界には、人件費上昇とエネルギー価格上昇と、コストアップ要因が二つもあるのです。片側でコストが上昇している以上、当たり前の話として「お客さん」に対するサービス価格の引き上げは必須です。ところが、特に大手流通業などが「値上げ」を良しとせず、運送業界はコストアップとサービス価格の据え置きの間に挟まれ、苦境に追い込まれてしまっています


 とはいえ、ようやくのことで人件費の上昇をサービス価格に反映させる動きが始まったようです。


ゆうパック:値上げへ 運転手不足で法人向け
http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000m020112000c.html
 宅配便業界3位の日本郵便が「ゆうパック」の法人向け運賃を今年度内にも値上げする方向で検討に入った。輸送するトラックの運転手が不足し、人手確保のため人件費を引き上げたことが主な要因。法人向け運賃は顧客企業との交渉で決まるが、法人向けで一斉に値上げをするのは初めて。値上げ幅は顧客により異なるが、平均で数%程度とみられる。個人向けの料金は据え置く。
 ゆうパックの法人向け運賃は輸送距離や個数をベースに顧客との交渉で決まる。主力のゆうパック(縦、横、高さの合計が60センチ以内)を東京-大阪間で100個利用した場合は1個600円が基本運賃だが、最終的な運賃は企業ごとの契約期間などによって異なる。法人向け基本運賃は個人向け(810円)より割安になっている。
 インターネット通販の増加や景気回復などで宅配便の利用は増えており、国土交通省によると、2013年度の宅配便の取扱数は前年度比約3%増の約36億個だった。だが、最近の人手不足でトラック運転手も足りなくなり、日本郵便は人件費の引き上げで対応。14年3月期の
郵便事業の人件費(トラック運転手も含む)は前期より263億円増えた。さらに「2020年の東京五輪に向けた建設工事などで人手がさらに不足し、人件費の上昇も続くだろう」(幹部)として値上げの検討に入った。燃料費の上昇も値上げの要因としている
 宅配便業界では2位の佐川急便が12年、最大手のヤマト運輸が今年1月に法人向け運賃を値上げした。両社は、値上げ幅を明らかにしていないが、数%以上とみられ、主に燃料費の上昇を要因にしていた。両社とも「値上げしたばかりなので、新たな値上げは今のところ考えていない」としている。』


 ちなみに、燃料費の上昇を「サーチャージ」としてサービス料金に上乗せすることすら、大手流通業は拒否していたとのことですが、少しずつ「緩和」の方向に向かっています。


 などと書くと、何か大手流通業を一方的に悪者にしているように読めてしまうかも知れませんが、そんなことはありません。何しろ、大手流通業者が運送業者のサービス価格引き上げを受け入れない(受け入れたくない)のは、自分たちの小売りサービスの価格を引き上げられないためなのです。


 そして、なぜ大手流通業などが小売価格を上げられないのかと言えば、もちろん消費者が「デフレマインド」に冒され、値上げを嫌がるためです。変な話ですが、今回の消費税増税により、強制的に物価が引き上げられたことは、もしかしたら国民のデフレマインド払拭に貢献する「かも」知れません。実際のところは、まだ不明ですが。(だからと言って、「三橋が消費税増税に賛成した」などということにはなりませんよ。揚げ足取りのネタを懸命に探している皆さん)


 それはともかく、国民が小売価格の引き上げを(渋々と)認めるのは、自らの賃金が上がっている環境下でしょう。特に、物価よりも賃金の上昇ペースが早ければ、小売価格の上昇にそれほど文句を付けないと思います。すなわち、実質賃金の上昇です。


 結局のところ、日本経済の諸問題の解決策は、
「国民の実質賃金を引き上げ、デフレマインドを払しょくし、小売業者、流通業者、運送業者、生産業者などの生産者が、正しい形の値上げを実行できる環境を取り戻す」
 これに尽きるわけです。


 そもそも、人手不足が始まっているにも関わらず、実質賃金が大幅な低下になっている状況が異様なのです。理由は、デフレからインフレ期への過渡期であること、さらには消費税増税という余計な実質賃金切り下げ要因が発生したことですが、いずれにしても政府が「実質賃金」を上昇させる政策を打たなければ、バリューチェーンの各箇所で起きている「どん詰まり」の解消は困難でしょう。 


 だからこそ、成長戦略と銘打ち、労働規制の緩和、移民受入拡大、労働時間規制の緩和など、実質賃金を「引き下げる」政策を次々に繰り出そうとしている安倍政権の経済政策を、わたくしは批判しているわけでございます。


政府は実質賃金を引き下げる政策を取り下げよ!にご賛同下さる方は、

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