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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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2014年9月13日(土) 大念寺本堂 三橋貴明講演会

 テーマ「増税による「国民経済の崖」を乗り越えるには、どうしたらいいのか?」

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Koen

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 ドイツの長期金利(十年物国債金利)が、ついに1.06%にまで下がりました。予想通り、ドイツは人類史上三番目の「長期金利1%割れ国」になるのでしょうか(一番目が日本、二番目がスイス)。


 同時に、ユーロ圏のインフレ率が低下し、CPIで0.4%と、09年10月以来の水準にまで低下してしまいました。
 
7月ユーロ圏インフレ率0.4%に低下、09年来低水準-予想以下
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N9KJ9T6K50XS01.html
 ユーロ圏では7月のインフレ率が横ばい予想に反して低下し、ほぼ5年ぶり低水準となった。物価を押し上げるには域内経済が弱過ぎるとの欧州中央銀行(ECB)の懸念を裏付けるデータとなった。
 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が31日発表した7月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比0.4%上昇。このインフレ率 は2009年10月以来の低水準で、ブルームバーグがまとめたエコノミスト42人の予想中央値(0.5%)を下回った。
 ECBは異例の緩和措置を通じ、物価を押し上げ経済を支援しようとしている。インフレ率は過去10カ月にわたり1%を下回り、ECBが物価安定の目安とする水準の半分にも満たない。失業率 も過去最悪付近にとどまっている。ロシアとウクライナの間の地政学的リスクの高まりや中東情勢もリスク要因だ。(後略) 』


 民間に金が借りられず(=独国債が買われ)、モノやサービスが購入されない(=インフレ率の低下)。しかも、各国の金融政策と財政政策の主権がない。


 ECBのマイナス金利という荒業も、銀行が「お金の預け先」をECB預け金から、ドイツ国債に変えただけ。


 先日、「分裂する世界 」において、
「世界はすでに「統合」から「分裂」の方向に突き進んでいると確信しています。その最初の「インパクト」は、恐らく欧州(ユーロ圏)で発生するのではないでしょうか。」
 と、書きました。


 現在のユーロ圏は、勝ち組と負け組が露骨なまでにはっきりしています。勝ち組がドイツ(とオーストリア)で、負け組が「その他のユーロ圏の国々」になります。


 勝ち負けを何で判断しているかといえば、もちろん失業率です


 今や、フランスですら失業率10.2%と、10%超に張り付いてしまっています。対するドイツは、5.1%。ギリシャは27.3%(4月時点)、スペインは24.5%。


 「域内」の失業率にここまで「差」があると、当然ながら高失業率の国々の失業者たちは、低失業率の国々に職を求めて流れていきます。これが「国内」であれば、欧州諸国の場合は、
「だから、何」
 で、済む話なのですが、何しろユーロ圏の各国は「各国」です。異なる国から、異なる民族、異なる言語、異なる文化、異なる伝統、異なる価値観、異なるライフスタイルの人々が続々と職を求めて国境を越えてくる(パスポートの検査すらなしに)。ドイツやオーストリアの労働者は、自分たちよりも安い人件費でも喜んで働く「異なる国の人々」と競争を強いられるわけでございます。

 労働市場における競争が激化すれば、当然ながら実質賃金は下がります(ドイツすら下がっています)。実質賃金が下がれば、
「国際競争力(=価格競争力)が高まるから、いいではないか」
 と、経済学者や大企業の経営者たち、さらには経済学に染まった政治家や官僚は言うのでしょう。


 現在、失業率が高止まりしているフランスやイタリアで、予想通り「構造改革」を求める声(学者などの)が高まっています。失業率が高いのは、労働市場が「硬直化」しているせいだ。雇用の流動性を強化すれば、失業率は下がる。という、例によって例による議論が吹き上がってきているのです(スペインですでに失敗したにも関わらず・・・)。


 独国債金利が1%ラインに近づき、インフレ率が低迷しているということは、要するにユーロ圏で「総需要の不足」が起きているという話です。とはいえ、ユーロ諸国は政府主導で総需要を高めることはできません。ECBは金融緩和を続けるでしょうが、お金は結局、ドイツ国債などの安全資産に流れ、「金利低迷すれども、総需要増えず」な、どこかで見たことのある袋小路にはまり込むと思います。


 袋小路を打破するには、どうしたらいいのか。


 もちろん、政府主導で総需要を拡大するしかなく、その時点でユーロ圏には「出口がない」という話になります。とはいえ、日本にはあります。


 地方経済の再生が叫ばれて、久しいです。地方から大都市(特に東京圏)への人口流出についても、歯止めをかけなければなりません。現在、地方から「儲かる地域(東京)」への人の流れが止まりません。先ほど、国内の労働人口の移動であれば、

「だから、何」

 であると、書きましたが、日本の場合、防災面など安全保障を考えると、やはりまずいです。と言いますか「危険」です。


 さらに、首都直下型地震と南海トラフ巨大地震という脅威が迫りつつあります。東京や太平洋ベルト地帯で大震災が発生した際には、わたくし達は「地方経済」に助けてもらわなければなりません。そのためには、各地方に「経済力(モノやサービスの供給能力)」を蓄積してもらわなければなりません。


 そもそも、太平洋ベルト地帯に集中しすぎた人口を、分散させる必要があります。最も分かりやすい「ビジョン」は、日本海側に第二国土軸を形成し、太平洋側からの企業や人工の移転を促進することです。


 そのためには、税制も考える必要がありますし、それ以前にインフラを整備しなければなりません。政府がどれだけ音頭をとったところで、インフラが不十分な地域に企業や人口を移すことはできません。


 現在の日本にとって、人口を東京から分散させ、真の意味で「地方経済」を再生することは、首都圏や太平洋ベルト地帯に暮らす人々の「安全保障」の問題でもあるのです。


 そう考えたとき、現在の日本政府が「総需要」をいかに拡大するかは、自ずから明らかになると思います。具体的には、国土強靭化に「予算」を付けることです。(国土強靭化には第二国土軸の構想も盛り込まれています)


 来週、8月13日。4-6月期のGDPが公表されます。見るも無残な数字になっているでしょう。
 とはいえ、この種の「ショック」が発生した時こそ、政府に方向転換させる絶好のチャンスです。現在の日本にとって必要なのは、ショックを利用し「正しい政策」を政府に推進されるという意味における「ショック・ドクトリン」なのです。


 ユーロは「ショック」があったとしても、政府が総需要拡大策に転じることは構造的にできません。とはいえ、日本にはできるのです
 

13日の「ショック」を利用し、政府に正しい政策を推進させよう!に、ご賛同下さる方は、

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