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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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 本日は日本経営合理化協会主催「三橋経済動向塾 第三期」の開講日です。塾生の皆様、よろしくお願いいたします。
※三橋経済塾ではありません。三橋経済塾第三期の開講日は、今週末7月20日(日)です。お間違えないようにお願いいたします。お申込み方法は、経済塾HPの「塾生コンテンツ 塾生へのお知らせ」から確認できます。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
 特に、懇親会ご参加ご希望の方は、人数を早めに確定しなければならないいので、お急ぎ下さいませ。


 さて、わたくしがTAC出版「マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実 」をこのタイミングで書いたのは、2014年の夏を迎えるにあたり、さすがに原子力発電所が順次、再稼働していくことになり、例により情報が混乱することになるだろうと予想したためです。わたくしが原子力発電所の取材を続けていた頃は、四国の伊方発電所から稼働を再開することになるのでは、と、言われていました。


 ところが、現実にはどの原子力も再稼働することなく、日本はおよそ半世紀ぶりに「原発ゼロの夏」を迎えることになってしまいます。「マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実 」を書いている最中は、原発再稼働に間に合わないのではないかと不安に思っていましたが、現実は真逆になりました。


 特に、九州電力と関西電力の今夏の予備率が3%にまで低下すると言われており、我が国はまたもや綱渡りの電力サービスの下で夏を乗り越えなければなりません。
「まだ、3%もあるじゃないか」
 などと、思わないでください。電力サービスにとって、予備率3%とは、ジャンボジェット機が海面すれすれを飛んでいるのも同然なのです。


 さらに一つ、「何か」があるだけで、ブラックアウト(大規模停電)が発生しかねません。そして、ひとたびブラックアウトが発生すると、復旧は簡単にはいきません。何しろ、電力サービスは「需要」と「供給」が一致しなければ、周波数が乱れて使い物にならないという、難しいサービスなのです。


 ようやく、本当にようやく、九電の川内発電所の1号機、2号機が原子力規制委員会で「新規制基準に適合している」と了承されました。


川内原発:「合格」1号 10月にも再稼働
http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000e040243000c.html
◆規制委が審査書案「新規制基準に適合」
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。再稼働に向けた手続きが本格化するとみられるが、地元の同意手続きや設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。
 現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。(後略)』


 とは言え、記事にもありますが、実際に川内原発1、2号機が再稼働するのは、早くても10月以降になりそうです。今夏には、結局、間に合いませんでした。


 しかも、川内1号機、2号機は、両者合わせても178万キロワットしかなく、火力発電クラスの発電利能力しかありません。例えば、浜岡5号機は一基で138万キロワットの発電能力を持ちます。


 九州電力の玄海3、4号機は、二機合わせて236万キロワットと、川内に比べて発電能力が高いのですが、こちらは再稼働の目途は今のところ立っていません。


 現在、九州電力は原発を停止したことによる、LNG等の「追加的に購入した燃料費」や、他の電力会社からの電力購入代金として、毎月500億円を支出しています。年に直すと、6000億円です。


 九州電力の平成26年3月期決算は、960億円の赤字。これで、三年連続の赤字です。


 原発を再稼働しない問題はいくつもありますが、一つは「電力会社の投資体力」を奪い、将来の技術開発が不可能になってしまうことです。技術開発投資なしでは、再生可能エネルギーや蓄電技術の電力系統における実用化や、使用済み核燃料の処理も、使用期間を終了した原発の廃炉も不可能になってしまうんですよ、脱原発派の皆さん。


 それ以前に、このまま原発を再稼働しない場合、九電、関電から電気料金の再値上げに踏み切らざるを得ないでしょう。結果的に、日本の家計や企業がダメージを受けます(すでに受けていますが)。
 
 ところで、本日から「三橋貴明の「新」日本経済新聞」 の執筆者に、評論家の島倉原様が加わって頂きました。


【島倉原】積極財政と原発問題
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/17/shimakura/


 島倉原様は本文の中で、ご自身の過去記事、
「緊縮財政が原発事故の原因か?」
http://asread.info/archives/134
 をご紹介され、
「緊縮財政がもたらした1990年代後半以降の日本経済の長期低迷が、電力会社の設備投資意欲を引下げて原発の安全性を低下させ、結果として東日本大震災における福島第1原発事故をもたらしたのではないか?」
 という問題提起をされていますが、ここで一つ、「マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実 」でも利用した衝撃的なグラフをご紹介いたしましょう。


【10電力会社計設備投資実績(単位:百万円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Denryoku


 電力会社の設備投資は、以前は五兆円規模だったのですが、現在は半分以下に落ち込んでいます。11年以降は、さらに減ったでしょう。


 電力会社が原発を再稼働せず、十分な設備投資ができない状況が続くと、「将来の話」以前に、既存の発電施設、送電設備等のメンテナンスすらできなくなってしまいます(と言いますか、実はすでにメンテナンス費用を大幅に削ってしまった電力会社があります)。そうなると、いずれ電力サービスの安定が失われ、我々の「普通の生活」がダメージを受けることになるのです。


 いずれにせよ、電力サービスについて考える際には、「幅広い視点」からの議論が必要です。だからこそ、わたくしは二年の取材を経て「マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実 」を書き上げたわけでございます。
 皆様も是非、幅広い視点から「原発ゼロの夏」について考えて下さいませ
 
「幅広い視点から原発ゼロの夏を考えよう」にご賛同下さる方は、 ↓このリンクをクリックを!

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