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『移民亡国論①』三橋貴明 AJER2014.7.8(5)

http://youtu.be/0vU6JkETtvs

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 講談社から「あなたの所得を倍増させる経済学 」が発売になりました! 


 本書は「所得とは何か?」「付加価値とは何か?」「GDP(国内総生産)の意味」「なぜ、日本の名目GDPが成長しないのか?」「税収の源泉は所得」「デフレギャップ」「インフレギャップ」「正しいデフレ対策」「インフレ率の定義」「経世済民」「実質賃金」「雇用の種類」「政府支出の中身」「経済成長の意味」「フィリップス曲線」「安全保障」「インフラストラクチャー」「技術の継承」「築土構木」「エネルギーミックス」「貿易収支」「経常収支」「輸出依存度」「輸入依存度」「法人税減税」「対外直接投資」「GNI(国民総所得)」「規制緩和」「道州制」「グローバリズム」「ナショナリズム」そして「国富」と、実に多種多様なキーワード及び「関連性」について解説し、
日本国民の所得(本書では名目GDP)を2020年代前半に倍増するためには、いかなる政策を採るべきか
 について提言した一冊になっています。

 恐らく、ここまで幅広い「経済指標」「経済関連キーワード」と、それぞれの関連性を取り上げた書籍というのは、日本初ではないかと思います。(少なくとも、普通は「国富」までは取り上げません)
 
 さて、現実の日本経済はといえば、「所得倍増」とは逆の方向に突っ走っています。だからこそ、このタイミングで本書を出す価値があるわけでございますが、相変わらず「想定外」に悪い5月の指標が続いています。


5月機械受注は過去最大の減少幅、4─6月GDPは設備投資も減少か
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0FF02D20140710
 内閣府が10日発表した5月機械受注統計は、国内民需(船舶・電力を除くベース)が過去最大の減少幅となり、4月、5月と2カ月連続で減少が続いた
設備投資の先行指標である同統計が消費増税以後悪化を続けていることから、4─6月の国内総生産(GDP)統計では下支えとして期待されている設備投資もマイナスとなる可能性が出てきた。
5月の国内民需は前月比19.5%減の6853億円となった。2カ月連続の減少で、比較可能な05年4月以来、過去最大の減少幅だった。ロイターの事前予測調査0.7%増をも下回り、前年比も14.3%減と減少に転じた。リーマンショック時をも超える減少幅となった。

3月には9000億円を超える受注となり、伸び率も前月比最大となるなど、駆け込み需要とみられる勢いがあったが、4月、5月はその反動とみられる落ち込みが続いている。(後略)』


 衝撃的な数値です。先日来、取り上げていますが、今回の消費税増税の影響は、
増税された4月よりも、さらに5月が落ち込んだ
 ところに特徴があります。
 97年の増税時には、4月には確かに反動減があったのですが、5月は数字を戻していたのです。


 今回の増税ショックについて、
「リーマンショック以来の落ち込み」
 という表現を使っていますが、機械受注でもそれが裏付けられたわけです。と言いますか、数字だけでいえばリーマンショック時よりも酷い数値です。


 それにしても、事前予測調査で対前年比0.7%増が、現実には19.5%減だったというのは、まさに「想定外」以外の何物でもないでしょう。(事前予測がプラスだったこと自体が驚きではありますが)


 ちなみに、5月の機械受注を見ると、官公需についてはプラスだったそうです。逆に、官公需の需要が増えていなかったら、5月の機械受注は更に酷いことになったでしょう。

 が、

 上記の類のことを書くと、
「いや、5月の機械受注の民需が激減したのは、官公需にリソースを取られたため」
 と、妙なことを言い出すのが「経済学」というやつでございます。つまりは、クラウディングアウト論です。すなわち、
「官公需の機械受注という需要に資金が向かい、金利が上昇し、企業が低金利でお金を借りられなくなり、民間の機械受注が減った」
 というロジックを、大真面目に主張するのが新古典派に代表される主流派経済学なのです。(というわけで、現実に日本国民の所得を増やすためにも「あなたの所得を倍増させる経済学 」を書く必要があったのです)


 現実には、日銀が国債買取を続けていることもあり、我が国の長期金利はわずか0.55%と、一か月前よりもさらに低下してしまっているのです。(もちろん、世界最低水準)少なくとも、資金調達面は機械受注のボトルネック(制約条件)にはなっていません。


 5月の民間機械受注の激減は、単に「需要がないため」ととらえるべきなのです。そして、消費税増税を強行した以上、消費を中心に需要が減少して、当たり前です(むしろ増えたら異常)。


 ところで、すでに5月末からは一か月以上が経過しています。「5月以降」はどうかといえば、こちらも不吉な指標がすでに出始めています。


戸建て住宅受注、6月35%減 マイナス幅拡大
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ10H5E_Q4A710C1TJ2000/
 戸建て住宅大手5社の6月の受注額(速報値)が10日、出そろった。積水ハウスは前年同月比35%減で9カ月連続のマイナス。減少幅も5月より10ポイント拡大した。住友林業は前年同月比34%減で減少幅は30ポイント拡大した。消費増税前の駆け込みの反動が続いているうえ、2013年の受注水準が高いことが影響している。
 大和ハウス工業は前年同月比で17%減、ミサワホームは22%減、旭化成ホームズも12%減だった。各社とも本格的な受注回復までまだ時間がかかりそうで「2014年の新設住宅着工戸数は90万戸を下回る」(住宅大手)という見方もある。』


 ポイントは6月が悪かったことではなく、「5月よりも悪化した」という点です。今回の消費税増税の悪影響は、4月よりも5月が、5月よりも6月がと、次第に状況が悪化していっているところに特徴があります。


 その最大の理由は、何度も書いていますが「実質賃金」の問題です。実質賃金が上昇し、所得的に余裕がある状況で「消費増税」が行われた場合、反動減に対する「反動増」はあり得ます。ところが、実質賃金が低下し、そもそも所得に余裕がない状況で増税をされると、国民が所得を減らし、別の誰かの所得を減らし、さらに消費が減る悪循環に突入します。


 97年時と比べると、日本国民の実質賃金は10ポイント以上(2002年基準)下落しています。さらに、この問題。


【日本の家計貯蓄率の推移(単位:%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#save


 日本の家計貯蓄率が下落したのは、もちろん日本人の消費性向が高まったためですが、なぜ消費性向が高まったかのと言えば、「消費を増やす気分になった」ためではなく、実質賃金が下落していったためです(及び高齢者の貯蓄取り崩しが増えたため)。要するに、デフレ突入(98年)以降の日本国民は、消費性向を高めざるを得ないほどに所得が減っていったわけでございます。


 実質賃金のみならず、家計貯蓄率を見ても、97年時と今は全く違います。


 お分かりでしょうが、わたくしは別に煽りたいわけではなく、
「消費税増税により想定外のネガティブなインパクトが発生しているのだから、政府は大型の景気対策を打つべき
 と、訴えているに過ぎません。ところが、消費税増税のインパクトが「想定外」であることを認めると、財務省(安倍政権もでしょう)の権威は地に墜ち、「次の増税」は現時点で全く不可能になってしまいます。


 とはいえ、別に政府は財務省や政権の権威を維持するために存在しているわけではありません。日本国民を豊かにするために、日本政府は存在しているのです。


 だからこそ、政府に現状が「想定外」であることを認めさせ、大型の補正予算を組むべく政治家に動いてほしいのでございます。事態は切迫しています


安倍政権は「想定外」を認め、大型の景気対策を打つべき!にご賛同下さる方は、

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