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『欧州議会選挙①』三橋貴明 AJER2014.6.17(3)

http://youtu.be/2D911P6lBdc

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NEW!7月6日(日) 雑誌「正論」トークセッション「日本を移民国家にしていよいのか」13時~ ホテルグランドヒル市ヶ谷
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Seiron

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 月間三橋会員限定コンテンツに経世論入門(仮)第4回「デフレ解説(4)~技術と文化を失うリスク」が掲載されました。
http://keieikagakupub.com/38news/keiseiron/


 本日から夕刊フジで連載「断末魔の中韓経済」が始まります。(土曜日までの短期集中連載です)

 週刊朝日6.27号「安倍首相の改革症候群」にインタビュー出演しています。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16051


 明日の文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」は、ワールドカップ日本戦のためお休みです。


 本日のTOKYO MX「モーニングCROSS」でも取り上げましたが、18日に発表された厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、4月の実質賃金確報値は対前年比マイナス3.3%に下方修正されました(速報値はマイナス3.1%)。本ブログで繰り返し、繰り返し語っていますが、我が国の「デフレ問題」はすでに「物価」ではなく「所得(実質賃金)」に重点を移さなければならない時期なのです。


 なぜか、確報値について報じた記事が見当たらないので、厚生労働省の毎月勤労統計調査のページをご案内。


【毎月勤労統計調査 平成26年4月分結果確報】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/26/2604r/2604r.html


 さて、実質賃金が下落しているのは、何も我が国に限りません。ドイツも2013年はついに実質賃金がマイナスに転じてしまいました。ギリシャなどの南欧諸国は、
「物価が下落し、それ以上のペースで賃金が落ちていく」
 という、我が国を長らく苦しめた形の実質賃金下落の状況に陥っています。 


 実質賃金とは、
「賃金の変動率から、物価の変動率を差し引いたもの」
 という定義になります。すなわち、一口に実質賃金の下落とは言っても、
「物価が下落し、それ以上のペースで賃金が落ちていく
 パターンと、
「物価の上昇率に、賃金の上昇率が追い付かない
 パターンの二種類があるのです。日本はようやく前者からは脱出したものの、後者からは抜け出せていません。


 後者のパターンの「実質賃金の下落」に陥っている国は結構ありまして(ドイツもそうですが)、代表が「グローバリズムの優等生」たる韓国でございます。


実質賃金が減少 政策的対応が必要
http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_Ec_detail.htm?No=50123&id=Ec
 韓国における実質賃金の減少が続いていることがわかり、実質賃金と労働生産性がともに増加するよう誘導する政策が必要との指摘が出ています。
 韓国金融研究院が27日に公表した「賃金なき成長の国際比較」という報告書によりますと、韓国の実質賃金は2007年~2012年の5年間に2.3%減少しま
した。
 OECD=経済協力開発機構加盟国のうち、2012年の実質賃金が2007年に比べて韓国より減少したのは11か国で、期間中に財政危機に陥ったポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインなどを除くと、イギリス、日本、イスラエルの3か国だけとなっています。
 一方、実質国内総生産を労働者数で割った韓国の実質労働生産性は2007~2012年の5年間に9.8%増え、比較対象となったOECD加盟国の中では最も大きい増加率となっています。
 報告書は、実質賃金の減少は企業の費用を減らし、競争力を高めることにつながる側面があるものの、中長期的には消費の萎縮をもたらし、経済全般にマイナスの影響を与えるとして、実質賃金と労働生産性がともに増えるように誘導する政策が必要だと指摘しています。』


 現在の韓国は、実質賃金どころか名目賃金も伸び悩んでいる状況ですが、それにしても韓国の国民は日本以上の長期に渡り、
「物価の上昇率に、賃金の上昇率が追い付かない」
 形の実質賃金の低下に苦しめられているわけです。(日本は物価の下落率以上に賃金が落ちる実質賃金の下落でした)


 日本のように長期のデフレに陥っていたわけではないにも関わらず、なぜ韓国の実質賃金が下落を続けたのか。IMF管理下での「構造改革」、08年李明博政権発足以降の様々な規制緩和により、韓国経済が、
グローバル市場でシェアを獲得し、外国人投資家やオーナーに巨額配当金を支払うことを目的とする
 ように造り替えられてしまったこと以外に、何か理由があるというならば教えて欲しいものです。

 もっとも、2013年の韓国は輸出依存度が12年と比べると下がりました。


【2013年 主要国の輸出依存度、貿易依存度(対GDP比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Izon


 韓国の輸出依存度が下がったにも関わらず、ドイツの輸出依存度はほとんど変動がなかったため、ついに両国の輸出依存度が接近してしまいました。韓国の輸出が少なすぎるというよりも、ドイツの輸出が多すぎるのが問題だと思います。欧州におけるグローバリズムの優等生は、今やアイルランドではなくドイツです。


 経済規模が大きく、国民所得が高いドイツが輸出依存、グローバル市場依存経済をやめようとしないわけでございます。しかも、ドイツはシェンゲン協定を批准しているため、南欧諸国などからの労働者流入を止める術がありません。

 
 結果的に、今後のドイツは韓国並に実質賃金が恒常的に下落する国になっていくのではないかとの推測が成り立ちます。


 いずれにせよ、実質賃金の減少とは「国民の貧困化」です。そして、政治の目的は「国民を豊かにする経世済民」であり、グローバル企業の国際競争力(=価格競争力)向上のための実質賃金切り下げではありません

 このせめぎあいが、現在は世界各地で起きているわけです。日本は今こそ、世界に先駆け「実質賃金の上昇」を政策目標に掲げるべきであると確信しています。


「日本政府は実質賃金の上昇を政策目標にせよ!」にご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを。

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