三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター  はこちら

三橋貴明の「新」日本経済新聞のフェイスブック はこちら

さかき漣のフェイスブック  はこちら
人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

チャンネルAJER更新しました!

『人口と経済成長①』三橋貴明 AJER2014.6.10(3)

http://youtu.be/E-q3sej5tpA

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

NEW!7月6日(日) 雑誌「正論」トークセッション「日本を移民国家にしていよいのか」13時~ ホテルグランドヒル市ヶ谷
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Seiron

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   


 月刊三橋にさかき漣がナビゲータを務めるネット・ラジオ「経世論入門(仮)」、第三回目 のデータがアップされました。六月は、言問吾妻と土方翔と三名で、デフレについて再学習。 是非ともご聴取くださいませ。
http://keieikagakupub.com/38news/keiseiron/


経済界 2014年 6/24号 [雑誌] 」に連載「深読み経済ニュース解説 エネルギー安全保障の観点が抜け落ちた福井地裁判決」が掲載されました。


 5月10日のテレビ愛知以来、著名な方に会うたびに、
気を付けた方がいいよ
 と、言われる日々になっております。もっとも、わたくしは毎日ブログを書くという「慣習」があるため、なかなか難しいと思いますが(何が?)。


 さて、ドイツがついにFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の大々的な見直しを始めました。


独、再生エネルギー「特別扱い」見直し-法改正協議、月内にも
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20140617_01.html
 ドイツで再生可能エネルギー電源の固定価格買取制度(FIT)改正に向けた法案審議が本格化する。FITの対象設備を段階的に縮小し、発電事業者に卸電力市場活用を促すことなどが狙い。 

市場取引に際しても再生可能エネ電源の”特別扱い”を見直し、他の電源同様、出力予測が外れた場合のペナルティーを科す。改正法案は6月末にもドイツ連邦議会(下院)で協議され、早ければ8月から施行される見通しだが、最大の懸念である国民負担軽減につながるかは未知数だ。
 FITの見直しを盛り込んだ再生可能エネルギー法(EEG)改正法案は下院の協議を経て、7月に州の代表で構成された連邦参議院(上院)で採決の予定。順調に進めば8月1日に施行される。
 新制度では太陽光で導入した買い取り価格引き下げの仕組みを、再生可能エネ電源シェア最大の風力にも適用する。』

 

 FITの何が問題かといえば、問題はあり過ぎるほどあるのですが、最大のものは、
「電力の需要者のニーズと無関係に、とにかく発電すれば固定価格で必ず買い取ってもらえる」
 という、反市場主義です。極端なことを言えば、その国の電力需要が「ゼロ」であっても、太陽光や風力で発電をすれば、必ず電力会社に買い取ってもらえるわけです(実際にコストを負担するのは国民ですが)。


 需要ゼロであるにも関わらず、電力会社の系統にFITの電気が流れ込むと、電力会社は需要家に「電気をお金を払って使ってもらう」というバカげた状況になりかねません。電力サービスにおいては、需要と供給は常に一致せねばならず、
「大は小を兼ねるで、需要を供給が上回っていれば問題じゃないじゃん」
 という話にはならないのです。(細かいことは、間もなくTAC出版から出版になる「原発ゼロの真実」をお読みくださいませ)


 ドイツは既に発送電分離を実施しており、電力会社は卸売市場経由で電気を買っています。とはいえ、FITは別枠扱いであるため、発電事業者は、
必ず買い取ってもらえるFITか、それとも卸売市場で市場競争に勝たねばならない『安定的(火力など)』な発電か
 という選択を迫られ、当然の結果としてFITに過剰な投資が行われ、電力会社はFITの発電が縮小した際のバックアップ電源すら確保できない有様になっていました(結果、独政府は民間の火力発電所に設備を稼働し続けるよう義務付けるという、屋上屋をやっています)。


 結局のところ、市場主義の発送電分離と反市場主義のFITを組み合わせるという愚かな真似は、必ず失敗に終わるのです。


 日本では電力の小売りの自由化が進められ、さらに発送電分離がスケジューリングされています。そして、ご存知の通り、我が国はドイツを模倣したFITを実施してしまっています。


 典型的なレント・シーキングとしか呼びようがないFITについて、わたくしはほとんど孤軍奮闘で批判を続けてきました。(構造改革主義者も脱原発派もFITを好むため)ようやく、経済産業省がFITの見直しに手を付け始めました。


経産省:再生エネルギー固定価格買い取り制度を見直し
http://mainichi.jp/select/news/20140614k0000m020033000c.html
 経済産業省は13日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しに着手すると明らかにした。安倍政権は再生エネルギーの導入を拡大する方針だが、電源としては高コストで、普及が進むほど電気料金が上昇する。このため国民負担の抑制と導入加速を両立させる具体策を検討する。

 経産省は有識者らで構成する総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会を17日に開き議論を始める。最終報告に基づき制度を改定する。
 固定価格買い取り制度は、再生エネルギーによる電力の全量買い取りを大手電力会社に義務付けている。買い取り費用は電気料金に上乗せされ、導入が進むほど国民負担が増える。』


「買い取り費用は電気料金に上乗せされ、導入が進むほど国民負担が増える」
 今頃、何言っているんだ。という気分ですが、いずれにせよFITの見直しが始まったのはいいことです。個人的には、上限買い取り量の設定等ではなく、「廃案」にするべきだと思います


 さらに、既存のFIT事業者に対しては、「FIT税」をかけるのです。利益の9割を税金で持っていくなどの「改革」を実施すれば、このおぞましき制度はこの世から消えるでしょう。


 いずれにせよ、安倍政権は電力小売り自由化だの、発送電分離だの、「自由化」に浮かれ変えるのはやめて、改めて他国の電力自由化の事例を学び直すべきです。グローバルストや構造改革主義者の方々は、他国の「成功事例」は大々的に取り上げる割に、失敗例(電力自由化は失敗例だらけ)については沈黙します。極めて卑怯な態度で、国民のニーズを満たすのではなく、何らかの「別の目的」があるとしか考えられません。


 電力のユーザ(つまり国民)が求めているのは、
安定的な電力サービスを安価に享受すること
 これだけです。

 原発を再稼働しない限り、電力小売りを自由化したところで、電気料金は下がりません。しかも、電力会社のメンテナンスコストが「さらに」削られ。送電網が不安定化していくでしょう


 FIT問題も含め、現在の安倍政権が進める「電力自由化路線」は、ユーザのニーズに逆行しています。再度書いておきますが、安倍政権は素直に他国の事例に学び、電力サービスの「改革」とやらを改めて考え直すべきなのです。


「日本政府は電力サービスの【改革】を見直せ!」にご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを!
新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆さかき漣のページはこちら

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog

◆関連ブログ

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆三橋貴明関連情報

Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中
新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。
新世紀のビッグブラザーへblog一覧 はこちらです。