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チャンネルAJER更新しました!

『日本の問題①』三橋貴明 AJER2014.5.20(3)

http://youtu.be/hAhKKDm7GcA

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6月16日(月) 『G0.5の世界』 (日本文芸社) 刊行記念 三橋貴明講演会・サイン会 19時より八重洲ブックセンターにて 
http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/3927/

NEW!7月6日(日) 雑誌「正論」トークセッション「日本を移民国家にしていよいのか」13時~ ホテルグランドヒル市ヶ谷
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Seiron

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 月間三橋に、さかき漣がナビゲーターを務める会員限定コンテンツ「ネット・ラジオ『経世論入門(仮)』第二 回 」 がアップされました。六月は、言問吾妻と土方翔と三名で「デフレ」について再学習。http://keieikagakupub.com/38news/keiseiron/  毎週月曜に更新です。


 PHP研究所のVoiceの見本誌が来ていたのですが、表紙に「断末魔の韓国経済」と、ドーンッ!とタイトルが打たれており、
「あれ? 馴染み深い感じが・・・・」
 と、思ったら、わたくしの夕刊フジの連載のタイトルではないですか(笑)。(今は「断末魔の中韓経済」にタイトルが変わりましたが)


 というわけで、「Voice (ボイス) 2014年 07月号 [雑誌] 」に「国家解体へ進む朴政権 新自由主義的政策の悲惨な結末は日本にとってけっして嗤い話ではない」を寄稿しました。
 ちなみに、夕刊フジの連載(断末魔の中韓経済)は、またもや6月後半に短期集中連載されます。


 さて、中央日報が実に適切な「韓国経済」の記事を報じていましたので、本日はこちらを取り上げます。


『【コラム】経済奇跡のカギ失った韓国
http://japanese.joins.com/article/250/186250.html
韓国経済はいま低成長のトンネルに深く入り込んでいるようだ。今年に入り世界経済が回復の兆しを見せ韓国経済も少しは改善するように思われたが、第2四半期に入り輸出と内需が同時に鈍化している。
さらに大きな問題はこれがきのうきょうのことでなく今後悪化する可能性が大きいというところにある。20年間の成長率推移を見よう。アジア通貨危機前の1990~97年の年平均成長率は7.5%だった。韓国が「経済奇跡」を謳歌していた時期だった。しかし通貨危機後に国際通貨基金(IMF)プログラムを受け入れ構造調整過程を経た1998~2007年には成長率が年平均4.7%と大きく鈍化した。世界金融危機後の2008~2013年には平均2.9%でさらに大きく下がった。 (中略)
 どれも一理ある話だ。しかしさらに根本的原因は韓国が現在維持している経済システムにあるようだ。97年の通貨危機を経た後、韓国は英米の先進国モデルを「グローバルスタンダード」として受け入れた。先進国モデルを適用して「構造調整」をしてこそ先進国入りできるというおかしなコンセンサスが形成された。しかし先進国モデルは低成長モデルだ。先進国と同じ経済構造を作れば低成長体制になるのはあまりにも当然の結果だ。この当然の道理を見過ごしたままこれまで私たちは先進国をまねるのにとても多くの努力を傾けた。その結果先進国入りに失敗した
最も克明な例は企業負債比率政策だ。韓国が通貨危機に見舞われた後、韓国政府とIMFは過剰投資が危機の主犯だと規定し、400%水準だった大企業の負債比率を1年半で200%以下に引き下げる政策を使った。この部門で韓国は刮目すべき成果を上げた。負債比率200%を超短期間に達成しただけでなく韓国の上場企業の負債比率はその後下がり続け、いまでは米国よりも低い水準に下がっている
しかし代替エンジンは作られなかった。むしろ副作用だけがあった。消費を振興させると言いながら個人向け融資を増やした結果、個人負債が成長の足を引っ張っている
投資の主体は企業だ。企業が投資をしてこそ低成長のくびきを抜け出すことができる。朴槿恵(パク・クネ)政権はセウォル号沈没事故と地方選挙を契機に「国家大改造」を推進するという。企業投資を増やすシステム改革もこれに含まれれば良いだろう。企業をただ督励するからと投資は増えない。システムでアプローチしなければならない。経済がまともに成長できなければ分配対立や他の社会問題を解決する能力が大きく下がる。』


 中央日報の論説は、まるでハジュン・チャン氏が書いたのではないかと思うほど、適切でした。と、思ったら、国内の記者ではなくシンガポール国立大学経済学のシン・ジャンソプ教授のコラムでした。


 本記事を取り上げたのは、別に「韓国プギャー」とかやりたいわけではなく、IMFやワシントン・コンセンサスに象徴される「構造調整計画」「構造改革」が何をもたらすのか、改めて考えて欲しいためです。物凄く簡単に結論を書いてしまうと、韓国は、
「アジア通貨危機でIMFによる構造調整計画を受け入れた結果、成長率が下がり、先進国入りに失敗した
 という話です。


 ポイントは、二つあると思います。


 一つ目は、中間層の没落です。構造改革は、ほぼ例外なく、国内の所得格差を拡大する政策になります。何しろ、政府の規制を緩和し、競争を激化させ、国民を「勝ち組」と「負け組」に峻別していくのです。


 歴史的に格差社会だった韓国人にとって、「格差拡大型政策」は性に合うのかも知れません。かつては「両班」が貴族階級でした。現在はサムスン電子や現代自動車など、財閥企業の役員が貴族です。


 一応、物凄い競争率ではありますが、サムスン電子に入社し、役員という両班階級につく機会は存在しています。現在の韓国社会は凄まじい「競争社会」になっており、構造改革の思想からすれば確かに「成功」なのでしょう。


 とはいえ、競争に負けた国民は成長の置き去りにされます。


「だからこそ、国民同士の競争が激化し、成長するんだよ」
 と、構造改革主義者は言うのでしょうが、国内で国民同士を「競い争わせる」と、中間層が減少していきます。結果的に、一部の「超勝ち組」と多くの敗者たちに、韓国国民は分断されていきました。


 超勝ち組は、消費性向が低く、敗者たちは消費性向は高いものの、そもそも所得が足りない。中間層が減少したため、韓国は内需中心の経済成長は実現できませんが、大丈夫。市場はグローバルなんです


 敗者たちは安い人件費でも、非正規雇用でも喜んで働きますから、企業の人件費を圧縮でき、グローバルな価格競争力はむしろ向上します。国民の貧困化万歳!


 という、話なのでございます。結局、「先進国への道」とは、中間層中心、内需中心で経済成長を達成しなければ、歩むことはできないのではないか、という仮説を、韓国の現実が示唆してくれています。


 韓国はIMFの構造改革を受け入れ、グローバル中心、所得格差拡大型の成長モデルを選択した(させられた)ため、もはや先進国への道は閉ざされた、と考えるべきなのかも知れません。


 二つ目のポイントですが、韓国は先進国ではないにも関わらず、「グローバリズム」に染まった先進国ばりに「企業の負債」「企業の投資」を減らし、家計の負債拡大に依存する経済成長を続けてきました(ここ数年)。結果的に、韓国の家計の貯蓄率はアメリカを下回ることすらあります。

 アジア通貨危機前、韓国の企業は設備投資について、年平均14%超も増やし続けました。ところが、IMF管理後には投資増加率が5%に下落し、11年から13年の平均は2.2%に落ち込んでいます。


「設備投資が増えていないのは、日本も他国のことは言えないじゃないか」
 と、思われたでしょうし、その通りですが、韓国は先進国ではないのです。先進国ではないにも関わらず、企業経営者がアニマルスピリットを喪失しているか、もしくは人件費の安い外国への投資を優先するという「先進国病(あるいは「日本病」)」に感染してしまっているわけでございます。


 韓国の「構造改革」は、一部では日本の先を突っ走っており、例えばセウォル号の船長が「短期契約社員」だったことは、改めて「規制緩和」について考えさせられる事実です。(詳しくは「Voice (ボイス) 2014年 07月号 [雑誌] 」で。


 安倍政権の「成長戦略」には、韓国経済を変貌させた「構造改革的」あるいは「新古典派経済学的」な政策が多数含まれています。だからこそ、現在の日本国民は韓国経済について学ばなければいけないと思うのです。何しろ、お隣に最高の反面教師が存在するわけでございます。


 日本国に韓国と同じ道を歩ませてはいけません。


「日本国に韓国と同じ道を歩ませてはならない」に、ご賛同下さる方は、

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