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『日本の問題①』三橋貴明 AJER2014.5.20(3)

http://youtu.be/hAhKKDm7GcA

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6月16日(月) 『G0.5の世界』 (日本文芸社) 刊行記念 三橋貴明講演会・サイン会 19時より八重洲ブックセンターにて 

http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/3927/

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 本日は、名古屋青年会議所主催「5月フォーラム 経済のあり方を考える ~一人ひとりの考え方で経済は必ず変えられる~」開催日です。
https://www.nagoyajc.or.jp/64nendo/jigyo/0501/
 講演は三橋貴明(テーマは「経世済民」)、シンポジウムのパネリストは三橋貴明、渡邉哲也、小幡績氏となっております。


 というわけで、わたくしは本日、北海道の名寄市から名古屋まで向かいます。


 さて、先日の欧州議会選挙の結果は、まさに世界(特にグローバリズムを信奉する人々)にとって「激震」だったようです。特に、WSJのコラムが、何となくパニックに陥っているようで面白かったです。


強まるナショナリズム、世界の混乱要因―西欧で極右政党躍進
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304357604579586912989711256?mod=trending_now_5
 過去10年間にわたって過激なイスラム主義が世界的な悩みの種だった。過激なナショナリズムが今後10年間の世界の悩みの種になるのだろうか。
 そうなり始めているようにみえる。ロシアで、欧州全域で、そしてアジアで、ナショナリズムの運動とそれをかざす政治家が台頭している。何十年も前にさかのぼる民族同士の敵対関係や不満が再び噴出しており、国際的に認められた国境や制度に疑問が投げ掛けられている。
 これを如実に示す最も新しい動きが先週末に表面化した。25日まで投票が行われた欧州議会選挙で、欧州統合に反対するナショナリスト諸政党が劇的に躍進したのだ。最も顕著なのはフランスで、激烈なマリーヌ・ルペン党首率いる極右の国民戦線(FN)が投票の4分の1以上を確保し、政権与党の社会党と、中道右派野党でライバルの国民運動連合(UMP)をいずれも下した。
 しかし、ナショナリズムの流れが見られるのはフランスだけではない。それは自国民ないしエスニック(民族)グループは保護されなければならないし、他者よりも優れているとの古典的な信念を掲げるナショナリズムだ。同様のナショナリスト的政党はギリシャ、デンマーク、英国でも躍進し、もっと幅広い欧州統合実現のための何十年間にも及ぶ努力に新たな疑問符が付いた。
 最近まで米国の国務次官(経済、エネルギー、環境問題担当)を努めたロバート・ホーマッツ氏は「欧州の多くの地域で、こうしたポピュリスト(大衆迎合)的、ナショナリスト的政党の台頭がみられ、その一部は極めて過激だ」と述べた。そして「これは、高失業、移民に対する嫌悪
感、国家主権を侵害しているかにみえる(欧州連合=EU=の)規制への怒り、そして強烈な反グローバリゼーション感情などの要因を受けた結果だ」と語った。(後略)』


 いきなり、

「国民ないしエスニック(民族)グループは保護されなければならないし、他者よりも優れているとの古典的な信念を掲げるナショナリズムだ」
 と決めつけるところが、さすがWSJという感じがします。


 他者よりも優れている云々はともかく、国民国家で国民が保護されなければならないというのは、当たり前の話だと思うのですが・・・。何しろ、国民は主権を持っています(持っているはずです)。「主権者を保護する」が古典的な信念になってしまうのでしょうか。なってしまうのでしょう、ウォール街では。

 しかも、わたくしが「国民」を強調し、グローバリズムからナショナリズムへの世界的な動きに注目しているのは、「国民国家」の方が各国(少なくとも日本と欧州は)の社会が安定するためです。社会的な安定は、経済成長にとっても何よりも大切な基盤だと確信しているのですが、ウォール街に代表されるグローバリストの方々にとってはそうではないようです。


 特に「言語」が違う人々が入り乱れると、中長期的には間違いなく社会的コストが膨らみます。言語のみならず、文化、伝統、慣習、ライフスタイル、清潔感(これ重要!)、価値観が異なる社会で暮らすのは、なかなかしんどい話でございます。独立前、外資系企業に勤めていたわたくしが断言します。


 言語等をアメリカに合わせろという話であれば、それはグローバリゼーションではなく、単なるアメリカナイゼーションであるに過ぎません。すなわち、英語圏の人々に有利なグローバリゼーションというわけで、随分と不公平な話だと思います。


 また、アメリカは「民主主義」を尊ぶ国であるはずですが、国民意識の高まりを「極右台頭」と切り捨ててしまうのでは、それこそポピュリズムを煽っているように見えるのです。国民主権、つまりは国民一人一人が「自国」の行く末を決める権利を持つという思想を否定し、国家主権を侵害しているかに見えるEUへの反発までを批判するのでは、まさに民主主義の否定です。


 結局のところ、元ハーバード大学の経済学者ダニ・ロドリック教授が提唱した概念、世界経済の政治的トリレンマ、
(1) グローバリゼーション
(2) 国家主権
(3) 民主政治(議会制民主主義)
 上記の三つのうち、論理的に二つしか同時に達成できない、というトリレンマの中で混乱しているというのが、現在の世界なのでしょう。


 国家主権を維持しつつ、グローバリゼーションを推進しようとすると、結局は民主主義の反発を買わざるを得ないのです。どこの国の国民にしても、自分の生活が悲惨になる政治はごめんでしょうし、その原因がグローバリゼーションであるならば、それに反発するのは当然の話です。

 国家主権を維持したまま、グローバリゼーションを推進したいなら、それこそ中国共産党方式で民主主義を否定しなければなりません。とはいえ、「民主主義を否定する」システムの推進には、民主主義による判断が必要という話になり、グローバリストの皆様が民主主義を嫌悪する理由が分かります。


 日本では産業競争力会議に代表される「民間議員」、アメリカではロビイスト、欧州では「国際協定(EU、マーストリヒト条約、シェンゲン協定など)」により、民主主義を飛び越えてグローバリゼーションを推し進めようとしているわけですが、これが「歴史的」に限界を迎えつつあるのだと思います。(マーストリヒト条約やシェンゲン協定などは、民主主義で批准されたのですが)。


 といいますか、わたくしに言わせれば、国民意識の高まりを、
「古典的な信念を掲げるナショナリズム」
 と、切り捨て、あえてグローバリゼーションを強引に推進しようとすることこそが、世界革命論を思い出させ「古典的」だと思うわけでございます。


 いずれにせよ、欧州議会選挙の結果を受け、ユーロ圏内ではイタリアとフランスが「反・緊縮財政」の姿勢を見せ始め、ユーロ圏全体の「財政政策の緩和推進」を主張し始めています。


 フランスのオランド大統領は、選挙結果を受け、
「欧州はユーロ危機を克服したが、どんな犠牲を払っただろうか。欧州の最優先課題は成長と雇用、投資だ
 と語りました。さすがに、国民戦線に第一党の座を奪われてしまったショックは大きいのでしょう。また、イタリアのレンツィ首相は、26日に記者団に対し、
われわれは欧州がここ数年に取ったアプローチの変更を求めている
 と、語りました。仏伊両国ともに、失業率が10%を上回っておりますので、当然の発言ともいえます。


 それにしても、「財政政策の緩和推進」という言葉は面白いですね。今後の世界では、金融緩和ならぬ「財政緩和」という用語がキーワードになってくるのでしょうか。


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