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『日本の問題①』三橋貴明 AJER2014.5.20(3)

http://youtu.be/hAhKKDm7GcA

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5月29日(木)名古屋青年会議所主催「経済のあり方を考える」(会場:愛知県名古屋市)
講演者:三橋貴明、パネリスト:三橋貴明、渡邉哲也、小幡績
お申込み・詳細は 
https://www.nagoyajc.or.jp/64nendo/

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 日本文芸社から「G 0.5の世界 」が発売になりました。



 現代ビジネス連載「三橋貴明の第2次所得倍増計画」

【第13回】第六章 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の所得格差対策とは(前編)~「働く国民」と「将来のための投資」が日本経済再生の鍵となる!~
 が掲載されました。


 本日はテレビ愛知「激論コロシアム」に出演します。テーマは台湾と中国。
http://www.tv-aichi.co.jp/gekiron/
 
 さて、欧州議会選挙が始まりました。


 欧州連合の仕組みを説明しようとすると、それだけで一冊書ける上に、それでも理解してもらえるかどうか自信がありません。欧州委員会、欧州理事会、欧州司法裁判所、欧州議会、さらには各国の政府との関係を完璧に説明できる日本人は、ほとんどいないのではないかと思います(わたくしも無理)。


 一応、行政機関「ぽい」のが欧州委員会と欧州理事会、司法機関「ぽい」のが欧州司法裁判所、立法機関「ぽい」のが欧州議会と理解しておいてくださいませ。最も、欧州議会には立法権はあるものの、法案提出権はありません。とはいえ「実質的」にはあったりするのですが、ややこしくなるのでここでやめます。

 とにかく、欧州議会はEU加盟国の有権者による選挙で議員が選ばれる、欧州連合の議会です。


 一つだけ、欧州連合と「各EU加盟国」との関係ですが、権限や責任が分担されています。例えば、EU側が単独権限、かつ立法権を持つ分野は、「関税同盟」「単一市場のための競争ルール」「ユーロ圏の金融政策」「海洋生物資源の保護」「共通通商政策」「EUの権限に対応する国際協定の締結」になります。ユーロ圏の金融政策は実際に施行するのはECBになりますが、EUにはユーロに加盟していないイギリスも入っています。なかなか、面倒くさい話です。

 「経済政策」「雇用政策」「一部の社会政策」は、加盟国に権限がありますが、「EUで調整すること」となっています。(ややこしいというか、超面倒くさい)以前、イタリアの公共事業の予算にEU側が難癖つけていた件を取り上げましたが、あれも「調整」の一環という話なのでしょう。

 また、「共通外交・安全保障政策」「危機管理作戦」等は、加盟国とEUが「並んで行動する分野」とされています。

 欧州議会選挙は、インドに次ぐ「世界第二位の規模を持つ民主的選挙」でございまして、四億人近い有権者が、751議席を争います。議席数は人口に応じて配分されているため、ドイツの議員数が最も多くなるわけでございます。


 今回の注目は、ずばり「反EU派」がどこまで勢力を伸ばすかです。


欧州議会選スタート、「反EU」に勢い
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140523-OYT1T50015.html
 欧州連合(EU)の欧州議会選挙(751議席)の投票が22日、英国とオランダで始まった。
 投票は25日にかけてEU加盟の全28か国で順次行われ、26日に大勢が判明する見通し。経済危機後に高まった市民の不満を受け、「反EU」や「移民排斥」を訴える極右政党がどこまで議席を伸ばすかが注目されている。
 選挙は5年に1度行われ、経済危機後では初めて。緊縮財政で景気回復は遅れ、失業率も高止まりしている。経済的に「勝ち組」の国ではEUへの批判が特に強い。英国やフランスでは、極右政党が国内第1党に躍り出る可能性がある。
 今回は、議会の権限を強化したリスボン条約が2009年に発効してから初の選挙でもある。EUの「首相」にあたる欧州委員会委員長は、これまで各国の話し合いで決めてきたが、条約では民意を反映させるために「議会選の結果を考慮する」と明記された。このため、欧州議会の各政治会派は今回初めて、委員長候補を擁立して選挙戦を戦っている。現在のバローゾ委員長の任期は今年10月まで。』


 ポイントは、反EU派の議席数というよりは、反EU派が、
「七か国以上、25人以上」
 の議席を獲れるかのように思えます。7か国以上、25人以上の議席を獲得すると、欧州議会で「会派」を作ることができるのです。会派を作ると、予算の配分を受けることになり、さらに欧州議会内委員会の委員に就くことができます。


 ポールウォッチ2014が20日発表した最新の世論調査の結果によると、反EUの政党は25%の支持を得ているため、単純計算すると187議席を獲得してしまいます。もっとも、反EUとはいっても、右から左まで色々とあるわけですが。右派のみに限ると22%ですから、165議席になります。


 ちなみに、ギリシャでは右派というか極右の「黄金の夜明け」ではなく、最大野党の急進左派連合(SYRIZA)に支持が集中しています。SYRIZAにしても、反緊縮財政という点では右派の反EU派と共通しています。


 SYRIZAの例の若くてハンサムなツィプラス党首は、ギリシャに対する融資プログラムと引き換えに実施を強制されている緊縮財政策の廃止、及び2016年に予定されている次期総選挙の前倒しを訴えています。


 イギリスでは、「移民受け入れ基準の厳格化」や「EU脱退」を訴える英国独立党(UKIP)が最多票を得る見通しです。つまりは、与党(保守党)や労働党をも上回ると予想されているのです。

 フランスの国民戦線やオーストリアの自由党、スウェーデン民主党など、UKIP同様に「移民制限」を訴える政党も、かなり議席を伸ばすことになるでしょう。

 しかも、驚くべきことに、今や欧州の盟主と化したドイツにおいてまで、「反ユーロ」を掲げるオルタナティブ・フォー・ジャーマニー(AfD)が、ドイツ票の最大7%を獲得するとの調査結果が出ているのです。AfDはECBの債券購入プログラムの廃止、ユーロ圏の秩序立った解体を主張しているため、SYRIZAなど財政拡大派とは真逆の方向から「反ユーロ」を訴えているわけです。すなわち、
「ECBはユーロを発行するな。ドイツ国民のカネを南欧救済のために使うな」
 というわけでございます。


 反EU一つとっても、様々な立場があり、それでも全体では反EU派が支持を伸ばしているというのが現状というわけです。


 それにしても、欧州議会選挙をめぐる情勢を見ていると、国家が「主権を失う」ことがいかなる事態を招くかが理解できます。すなわち、官僚機構がひたすら複雑化していき、民主主義が政治に機能しにくくなり、国民の不満がたまっていき、次第に状況が袋小路に向かっていくわけです。


 ハーバード大学のダニ・ロドリック元教授は、07年に国際金融のトリレンマならぬ「世界経済の政治的トリレンマ」を提唱しました。すなわち、
1.グローバル化(国際経済統合)
2.国家主権(国家の自立)
3.民主主義(個人の自由)
 の三つは、同時に二つまでしか満たすことができない、という仮説です。

 現在のEU圏を見ていると、まさに上記が発生している(グローバル化と民主主義を満たそうとして、主権を失う)ことが分かります。多国間協定等で主権を失うことにより、後々発生するコストは、協定により一時的に得られた利益よりも間違いなく大きくなるというのが現実なのです。EUの混乱を見る限り、日本国民、特に日本の政治家の皆様には、

主権の意義

 を改めて、真剣に考えて欲しいと思うのです。


「日本の政治家は主権の意義について真剣に考えろ!」にご賛同下さる方は、

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