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『三つの対立(後編)③』三橋貴明 AJER2014.4.15(3)

http://youtu.be/2GQ7jI1he8c

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5月29日(木)名古屋青年会議所主催「経済のあり方を考える」(会場:愛知県名古屋市)
講演者:三橋貴明、パネリスト:三橋貴明、渡邉哲也、小幡績
お申込み・詳細は 
https://www.nagoyajc.or.jp/64nendo/

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 明日5月12日(月) 7時からTOKYO MX「モーニングCROSSに出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 なんか、名古屋で精神的に疲れました・・・・。
 とはいえ、ブログは更新しなければならないのです。読者様が待っていて下さるのに加え、習慣を崩すと仕事ができなくなってしまうタイプなので。


 というわけで、本日は米独のエネルギー関連で面白い記事を見つけたので、ご紹介。


オバマ氏「太陽光で世界のリーダーに」 5万人雇用創出
http://www.asahi.com/articles/ASG5B2FPZG5BUHBI007.html
 オバマ米大統領は9日、訪問先のカリフォルニア州で演説し、太陽光発電や省エネ対策などを強化する新たな取り組みを発表した。今後3年間に20億ドル(約2030億円)を投じて連邦政府ビルの省エネ効率を高めるほか、300以上の企業・団体の協力で2020年までに5万人の雇用創出につなげる、という
 オバマ政権が力を入れる温暖化対策の一環。新たな取り組みでは、13万世帯分の電力をまかなえる85万キロワットの太陽光発電設備を増設し、二酸化炭素(CO2)排出量を米国全体の約7%にあたる3億8千万トン減らすことができると見積もっている。取り組みの一環として、ホワイトハウスの屋上にも太陽光パネルを設置した。

 オバマ氏は、太陽光発電の導入に積極的な大手スーパー「ウォルマート」で演説し、「我々は太陽光で世界のリーダーになろうとしている」などと述べた。フランスのシンクタンク「REN21」の集計によると、米国の太陽光発電の導入量(12年末時点)は、世界全体の約7%を占め、ドイツ32%、イタリア16%に次ぐ3位。日本は5位だった。』


 う~む・・・・。太陽光で雇用創出って、まさか、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)ではないでしょうね・・・・
 アメリカは州によっては発送電分離が進んでいるので、FITを導入するとドイツ同様の不整合を起こすことになります。(それ以前に、設備産業であるFITは雇用をそれほど生まず、太陽光パネルの生産も結局は中国製(もしくはOEM)になってしまい、ほとんど雇用創出には貢献しないのですが)


 FITで発電された電気は、市場原理とは無関係に電力会社に買い取られます(実際の費用負担者はユーザーですが)。それに対し、発送電分離は電力会社(送配電会社)が卸売市場で電気を買い取る市場原理の世界です。


 かたや、市場原理と無関係に(需給とも無関係に)確実に買い取ってもらえるFIT。かたや、市場競争で負けた場合は買い取ってもらえない発送電分離。というわけで、両者を混在させると必ずFITへの投資が過剰になり、通常の火力発電への投資が滞ります。と言いますか、燃料費の状況によっては、火力発電が駆逐されていきます。


 とは言え、FITは極めて不安定な電源で、送配電会社はバックアップ電源を必要とします。とはいえ、発送電分離により、送配電会社は発電所を持てません。


 FITと発送電分離を混在し、火力発電所が駆逐されると、最終的にはドイツのように、電力サービスが「不安定な電源、バックアップなし」という状態になってしまうのでございます。というわけで、現在のドイツ政府は仕方なく、火力発電所を保有する発電会社に対し、2013年に「法律」で許可なく設備を廃止することを禁止しました。「民間企業」のはずの発電会社に対し、政府が、
「火力発電所設備を廃止することは禁止する」
 と、やらざるを得なくなったわけでございます。さらに、ドイツ政府は系統を安定させる上で必要と認定した火力発電所に対し、五年間の運転継続を命じ、この間の火力発電の維持コストを政府が補てんすることを決定しました。


 何をやっているんだ・・・。という感じでございます。まさに「市場原理はどこに行ったのか」という話でして、FIT導入済みの日本が発送電分離を強行すると、あるいは発送電分離済みのアメリカの州がFITを導入すると、ドイツと全く同じ問題が発生する可能性が極めて濃厚です。


 ここに「脱原発」が絡んでくると、話はますますややこしくなります


ドイツ:脱原発…進む石炭依存 電気代1.7倍に
http://mainichi.jp/select/news/20140510k0000e030137000c.html
◇閣議決定から3年 再生エネ普及、安定送電に影
 2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、ドイツが22年までに国内17基の全原発を順次停止する「脱原発」を閣議決定してから、今年6月で3年になる。風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの割合は順調に伸びているが、原発停止に伴う電力の供給源確保には不安も残る。温室効果ガスを排出する石炭や褐炭(水分や不純物が多く低品質の石炭)への依存度はむしろ高まっており、電力供給の不安定化など多くの課題も表面化している。
 スキー場のような巨大な斜面が視界の果てまで広がる東部ウェルツォウの褐炭露天掘り採掘場。気温4度の早春の寒さが、黒い大地の荒涼感を際立たせる。整地作業を行う重機の横では火が燃やされ、作業員が暖を取っていた。

 炭田は旧東独時代の1966年に最初の試掘が行われ、72年に商業採掘が始まった。年間採掘量は2000万トン。採掘場を運営する電力大手バッテンファル社事業所委員会代表のウィルフリート・シュレック氏(58)は「わが社の生産量は90年代前半の水準まで戻った。原発に代わるエネルギー源として、褐炭は最も魅力的になっている」と話す。
 ドイツは2013年、総発電量のほぼ4分の1に当たる23.9%を再生エネでまかなった。だが、再生エネは気象条件に左右されやすいため、安定確保が見込める石炭・褐炭への依存も進む。13年の石炭・褐炭の割合は45.2%と3年連続で上昇。褐炭のみを使った電力生産量も13年は1620億キロワット時に上り、91年以来最大となった。(後略)』


 誤解している日本国民が多いと思いますが、ドイツは別に脱原発をしていません。ドイツでは現在も九基の原発が稼働しています。


 いずれにせよ、日本の脱原発派の方々思い描いている、
「原発を廃止し、エネルギーは全て美しい太陽光や風力などの自然エネルギーで調達」
 といった甘ったるい未来は、再エネで先行しているドイツですら実現しないのです。ドイツが本当に脱原発をめざし、さらにFITを停止しない場合、普通に石炭火力の発電が増えていくだけの話です。何しろ、他にどうしようもありません。


 しかも、後略部にもありますが、ドイツは天然ガスについてロシアへの依存度が比較的高く、現在は見直しに入っています。となると、ますます石炭に頼らざるを得なくなるわけですが、石炭火力の問題はCO2に加え、廃棄物の量が多いことです。


 100万Kw級の発電所から年間発生する廃棄物を比較すると、石炭火力が6000㎥の石炭灰を発生させます。それに対し、原発で同じ100万Kwの発電をした場合、発生する使用済み核燃料は40~50立方メートルに過ぎないのです。さらに使用済み核燃料を再処理すれば、約6㎥のガラス固化体へと体積を縮小することが可能です。


 同じ電力を発電したとき、石炭火力の廃棄物は原発の1000倍になるわけでございます。エコでも何でもありません。


 別に、再エネや脱原発を志向するなとは言いませんが、せめて上記の類の事実を知って頂き、真剣に解決策を提示して欲しいと思うわけです。もっとも、そもそもマスコミが本日のエントリーに書かれているような内容を報じませんので、わたくしは「マスコミが絶対に伝えない「原発ゼロ」の真実」を書いたわけです。ある意味で、脱原発派の皆様に「基礎知識」を付けて頂き、将来的にお望みの「原発ゼロ」を実現して頂くためにも、本書を書いたわけですね。


 一国のエネルギー安全保障は「思いつき」で語ってはならないのでございます。


「エネルギー安全保障は思いつきで語ってはならない」にご賛同頂ける方は、

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