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『三つの対立(後編)③』三橋貴明 AJER2014.4.15(3)
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帰国しました。
いきなり、三時間の三橋経済動向塾(日本経営合理化協会主催)というハードスケジュールです。もう、慣れましたが。
明日は岐阜で講演、明後日はテレビ愛知「激論コロシアム」出演ですので、結局、ほとんど東京にいないということになります。ちなみに、誤解していらっしゃる方が多いでしょうが、激論コロシアムは「生放送」ではありません。土曜日の午後に収録したものを「ほぼノーカット」で放映するものです。チャンネル桜と同じですね。
というわけで、明後日の夜、放映されるものは、厳密には編集が入る「かも」知れません。もっとも、他の番組のように「編集権」が大幅に駆使されるわけではなく、わたくしが過去に出演した日に限れば、「ほぼノーカット」ではなく「ノーカット」で流されました。
当初の激論コロシアムは、本当に生放送(つまり、夜収録)だったのですが、さすがに「生で討論」はデンジャラスであるため、今の方式に変更されたようです。
何を細かい話を書いているのかと思われたかも知れませんが、10日の激論コロシアムには竹中平蔵氏が出演予定(藤井聡先生も)ですので、事前に「正確な話」を書いておきたいと思いました。10日の7時30分から流される激論コロシアムは「ノーカット」もしくは「ほぼノーカット」です。
『“完全復権”竹中平蔵氏が推し進める「構造改革」の正体
http://gendai.net/articles/view/news/149944
竹中平蔵・慶大教授(63)が、今や完全復権だ。小泉構造改革で日本をダメにした張本人が再び権力を思うままに操りつつある。
大宅賞ジャーナリストの佐々木実氏は、「竹中氏は自分の考えを政策や法律に落とし込む環境づくりが非常に長(た)けています」と、こう続けた。
「麻生副首相らの反対で、『経済財政諮問会議』のメンバーにこそなれませんでしたが、より法的権限の弱い『産業競争力会議』の民間議員として特区構想に邁進しん(まいしん)。国家戦略特区法を制定する段階で、特区諮問会議を経財諮問会議と同格である首相直轄の『重要政策会議』に位置づけ、自分もメンバーに収まった。産業競争力会議だって、いつの間にか経財諮問会議と合同開催になっています。竹中氏は安倍政権の1年余りで、自分に権限が集中する『器』をつくり上げたのです」(後略)』
結局、そういう話なのだと思います。最近、「経済財政諮問会議と産業競争力会議の『合同会議』」という文言をよく見かけますが、経済財政諮問会議であろうとも、産業競争力会議であろうとも、一度、中に入り込めば、短期間で「構造改革」の実現を容易にする仕組みを構築してしまう。竹中氏の手腕は、目を見張るものがあります(別に、誉めているわけではないですが)。
竹中氏は学者ではなく経営者(人材派遣大手パソナ・グループの取締役会長)であり、経営者である以上に政治家なのです。しかも、バッチ(議員バッチ)をつけていない、政治家です。投票で有権者の審判を受けない「民間議員」というわけで、冗談でも何でもなしに竹中及びその他の「民間議員」の方々の存在は、我が国の民主主義を揺さぶっていると思います。
さて、話は変わりますが(変わらないのかな?)、結局のところ現在の日本や世界が抱えている問題は、
(1) 市場原理や利益を重視し、安全保障・環境維持・文化・伝統等に重きを置かない
考え方と、
(2) 安全保障・環境維持・文化・伝統等を重視し、市場原理や利益とのバランスを取る
上記二つの「価値観」のぶつかり合いが発生しているという話なのだと思います。最近のわたくしが、マクロ経済指標のみならず、安全保障、エネルギー、移民問題、実質賃金等に触れるケースが多くなっているのは、個人として(2)の価値観を支持しているためです。すなわち、「利益」の額ばかりに目を向けている限り、正しいソリューション(解決策)は構築できないと考えているためです。
無論、GDP(国内総生産)とは付加価値、つまりは企業の利益の合計です。GDPの成長は日本国家存続のための最低条件ですが、それ「だけ」ではだめで、継続的に内需中心の成長を達成するためには、所得分配(再分配ではなく)にも目を配らなければなりません。すなわち、フリードマンのいう恒常所得が大きい(というか低くない)中間層を厚くしていくことで、日本経済の潜在力は最大限に高められると確信しているのです。実際に、高度成長は継続的に所得が増えていくことを「確信」した中間層中心に達成されました。
もちろん、たとえばスウェーデンやシンガポールが日本と同じ真似ができるかといえば、多分、できません。理由は単純に、人口が少ないためです。
シンガポールが輸出依存度100%超というのは、同国の国家モデルを考えたとき、分からないでもありません。人口540万の市場で、様々な産業を万遍なく成長させるというのは、これは無理でしょう。
あるいは、スウェーデンのストックホルム中心部で日本のポップカルチャーを題材にしたコスプレイヤーたちを見かけました。(なぜか、進撃の巨人の調査兵団が多かった)スウェーデンのクリエイターたちが、同国の市場のみを標的に、スウェーデン語をベースにしたコミックやアニメの文化を成長させることができるかといえば、恐らく無理でしょう。なぜなら、市場規模が小さすぎ、食べていけないためです。
とはいえ、日本は違います。
日本はそもそも自然災害大国で、「安全保障を無視して市場原理を追求します」などとやっていい国ではないわけですが、それ以前にそんなことをする必要すらないのです。国内の安全保障を強化し、環境維持に努め、文化・歴史・伝統を重視する。重視するのみならず、上記を実現するために様々な技術開発を行うことで、ベースとしての成長率は十分に確保することが可能なのです。
国内市場を中心に国民の所得を拡大し、消費を増やし、国内で磨きに磨き抜かれた製品やサービスを外国に輸出する。かつて成功した「日本モデル」を取り戻す、絶好の機会が現在なのです。
ところが、この状況で、竹中氏を中心とする路線、すなわち、
「グローバル市場を獲得するための国際競争力強化」と
いうお題目の「価格競争力強化(=人件費削減)」に邁進してしまうと、日本は「利益」ばかりが重視され、国内の文化・伝統・歴史がグローバル化の波の中で消えていき、最悪、環境が中国ばりに破壊され、さらには安全保障すら自国では維持できない国に落ちぶれているでしょう。(すでにそうなっている、という声が多そうですが、これまで以上になるという話)
上記は別に難しい話とは思わないのですが、なぜか我が国では「文化・伝統・歴史・安全保障」を重視する人たちまでもが、「これからはグローバルだ!」とやっているわけでございます。別に、グローバルを重視するのは個人の価値観ですので、それ自体を批判はしませんが、
「文化・伝統・歴史・安全保障を重視し、グローバル化路線を突き進む!」
では、明らかに矛盾というか、不整合でしょう。
結局のところ、無知なのか、もしくは真剣に考えていないのだと思いますので、むしろ彼らの存在を「市場」として捉え、市場シェアを拡大するべく今後も言論活動に従事していきたいなと考える次第でございます。
まずは、5月10日です。
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積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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