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『三つの対立(後編)③』三橋貴明 AJER2014.4.15(3)

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 本ブログが公開になった頃、わたくしはロシア上空を飛行しているでしょう。


 昨日の続きと言えば、続きですが、我が国は原発を再稼働せず、かつFITを導入してしまったため、家計や企業が支払う電気料金が値上がりを続けています


 電気料金自体は政府の認可制で、それほど頻繁な値上げはできないのですが(それでもやっていますが)、問題は「燃料費調整制度」になります。燃料費調整制度とは、原油、LNG、石炭という火力発電所で燃やす資源の価格変動を電気料金に反映させるため、資源価格の変動に応じて毎月「自動的」に電気料金を調整する制度になります。燃料費調整制度による電気料金の引き上げは、政府の許可は不要です。いわゆるサーチャージですね。


電力7社とガス4社、6月値上げ 燃料費高騰受け
http://www.asahi.com/articles/ASG4X5S08G4XULFA025.html
 電力10社と都市ガス大手4社は28日、6月の電気・ガス料金を発表した。電力7社とガス4社は、料金算定の仕組みを改めた2009年以降で最も高くなった。価格が上がっている液化天然ガス(LNG)を使う量が少ない北海道、四国、沖縄の3電力は7カ月ぶりの値下げとなった。
 今回の料金改定は、原油やLNGなど輸入燃料費の変動を、自動的に毎月の料金に反映させる「燃料費調整制度」によるもの。6月の料金計算のもとになる1トンあたりのLNGの1~3月の平均価格は8万9064円で、13年12月~14年2月より1・1%高くなった。』


 上記の通り、3月に燃料費調整が行われたばかり(つまりは値上げ)であるにも関わらず、6月に再び多くの電力会社が値上げを実施します。現在、日本が購入するLNGの価格の上昇が続いており、2012年の百万BTU単価17ドルが、直近で19ドルに値上がりしてしまいました。今のところ、ウクライナ危機の影響ではなく、昨年末に欧州を襲った寒波の影響ということですが、今後、ロシアの天然ガスの供給が政治的に滞ってくると、更なる値上げも予想されるわけです。


 加えて、FITの問題があります。昨日、ドイツのFITの負担(再エネ賦課金)が「国民一人当たり年間4万円」という、とんでもない状況に至っていることをご紹介しました。


 我が国の再エネ賦課金の負担額は、今後、どの程度で推移するでしょうか。

 経済産業省は2020年時点で毎年8000億円との試算を公表していますが、現在の「太陽光バブル」ともいうべき状況を見る限り、甘いとしか言いようがありません。ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスは、2020年の我が国の再エネ賦課金負担は、経産省の資産の1.5倍、すなわち1兆2000億円に達するとの試算を公表しています。

 何しろ、FIT、特にメガソーラ(大規模太陽光発電)は極めて美味しい市場です。投資をすれば確実に儲かる案件など、わたくしはFIT以外には知りません(何かご存知の方は、コメントでご教授下さいませ)。当然ながら、FITを廃止するか、もしくは大幅に手直ししない限り、太陽光発電への投資は今後も増えることはあっても、減ることはまずないでしょう。

 再エネ賦課金の負担が年間年間1兆2000億円ということは、国民一人当たり1万円になります。日本国民は四人家族の世帯ならば年間4万円(平均で)を、電力サービスを不安定化、弱体化させる再生可能エネルギー普及のために支払うことになるわけです。(それでもドイツよりはマシですが)


 しかも、FITが「嫌な制度である」とつくづく思うのは、使用電力量が年間100万KwHを超える企業はFIT賦課金負担を免除されることです(これもドイツと同じ)。負担は中小企業と一般家庭に集中することになります。


 家計もきついですが、それ以上にきついのは使用電力量年間100万KwHに満たない企業、たとえば繊維業界です(繊維はそれほど電気を使わないそうです)。ドイツでは2012年に繊維衣料品産業連盟が、FITについて、
再生可能エネルギーの助成金のために生じる分担金は違憲である
 と、訴訟を起こしました。


 ある意味で、FITとは年間電力使用量100万KwH超の大企業にとって、「助成金」のような役割を果たしていることになります。大企業というか、電力使用量が多い企業が再エネ賦課金の負担を免除されていることについて、経済産業省はドイツ同様に、
国際競争力を強化するため
 と、説明しています。


 とはいえ、ドイツではなぜか国際競争力と無関係のドイツ鉄道までもが再エネ賦課金負担を免れています(電力使用量が多いため)。日本も同じ状況だと思います。

 結局のところ、FITの再エネ賦課金について、電力使用量が大きい企業が免除されていることは、「大企業への助成金」であるとしか思えないのです。そういう意味で、法人税減税を「国際競争力強化のため」というお題目で推進している安倍政権の経済政策と、路線を異にしているわけではないかも知れません。


 ただでさえ原発が再稼働せず、電気料金の上昇が止まらない中、我が国も欧州同様にFIT、特にメガソーラーへの投資が急騰し、毎月のように再エネ賦課金が引き上げられていく羽目になるでしょう。そこに、燃料費調整制度による値上げが追い打ちをかけます


 しかも、電気料金上昇という問題の解決策として、発送電分離を含む「電力自由化」が推進されようとしているわけですから、呆れかえってしまいます。


 日本が電気料金を引き下げたいならば、
原発を再稼働する
「資源調達のグローバル競争に勝つため、LNG等の調達会社を一本化する
 これだけでOKなのです。


 むしろ、諸外国の例を見る限り、電力自由化は最終的に「電気料金上昇」と「電力サービス不安定化」を引き起こすことは明らかなのです。今よりもさらに電気料金が引き上げられ、サービスが不安定化するとなると、それこそ我が国の「国際競争力(価格競争力のみならず)」は悪化することになるでしょう。


 正しい解決策は「FIT廃止」「原発再稼働」「資源調達の一本化」であるにも関わらず、実際には「FIT推進」「電力小売り自由化」「発送電分離」という、問題を深刻化させる政策ばかりが推進されています。無論、FITや発送電分離により「儲かる」投資家(外国人投資家含む)はいるわけですが、「日本国民」にとってはどうなのでしょうか


 結局のところ、現在の電力政策の混乱は、「電力サービス」について日本国民があまりにも無知であることに起因していると思います。というわけで、わたくしは300ページを超える大作「マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実」(ちなみに、解説を中野剛志氏に書いて頂きました)を書き上げ、間もなくTAC出版から刊行になるわけです。


「電力サービスについて正しく知ろう!」にご賛同頂ける方は、↓このリンクをクリックを。

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