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『三つの対立(後編)③』三橋貴明 AJER2014.4.15(3)

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 現代ビジネス連載「三橋貴明の「第2次所得倍増計画」」
【第9回】第四章 エネルギー政策の未来---「脱原発」を主張するお花畑な日本人へ(前編)~経常収支は黒字、世界最大の対外純資産国日本の貿易赤字を減少させる政策とは~
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38948
が、掲載されました。


 本日はTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演しました。明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。(4月25日(金)も「モーニングCROSS」に出演します)


 さて、アメリカのノーベル経済学者ジョセフ・スティグリッツ教授が、現代ビジネスで「グローバリゼーション」「TPP」「自由貿易」について猛烈に批判しています。


 その前に、本日の基礎知識。


底辺への競争:国家が外国企業の誘致や産業育成のため、減税、労働基準・環境基準の緩和などを競うことで、労働環境や自然環境、社会福祉などが最低水準へと向かうこと。自由貿易やグローバリゼーションの問題点とされる。(現代ビジネス)

トリクルダウン経済学:「トリクルダウン(trickle down)=したたり落ちる」の意。大企業や富裕層の支援政策を行うことが経済活動を活性化させることになり、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、ひいては国民全体の利益となる」とする仮説。主に新自由主義政策などの中で主張される。(同)


ジョセフ・スティグリッツ「グローバリゼーションの悪い面について」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38987
■TPP交渉が非公開で行われる理由
 貿易協定を話題にすると、読者は目をトロンとさせがちだが、ここは私たちの誰もがかなり注意しなければならないところだ。現在、進行中の貿易協定案は、多くのアメリカ人をグローバリゼーションの悪い面に追いこむ恐れがある。
 オバマ大統領の語り口からははかり得ないが、貿易協定に関する相反する見方が実際に民主党を引き裂いている。たとえばオバマ大統領は一般教書演説で、「雇用をさらに生み出す」であろう「新しい貿易連携」について穏やかに言及した。喫緊の問題は、TPPすなわち環太平洋戦略的経済連携協定であり、これは環太平洋地域の12カ国を、世界最大の自由貿易圏としてまとめようとするものだ。
 米国通商代表部によれば、2010年にはじまったこのTPP交渉の目的は、参加国の関税および他の貿易障壁を軽減することによって、貿易や投資を増加させようとするものだ。しかしTPP交渉は非公開なので、われわれは提案された条項についてはリークされた草案に依拠して推測せざるを得ない
 同時に、米国議会は今年、議事妨害を阻止できる早期承認手続きの権限を与える議案をホワイトハウスに提出した。それが承認されれば、議会は提出された貿易協定がどのようなものでも、改定や修正はできない。単に承認するか却下するかしかなくなるのだ。
 議論が噴出したのも無理はない。リークに基づけば、また過去の貿易協定が決着した歴史を鑑みれば、TPPの全体像を推測することはたやすく、その結果はかんばしくないからだ。米国と世界のエリートというごく少数の富裕層に、それ以外のすべての人々を犠牲にして利益を与えるという現実のリスクがあるのだ。このような計画が進行中であるという事実そのものが、経済政策が格差にいかに深い影響をおよぼしているかという証左だと言える。
■規制の調和は底辺への競争のはじまり
 さらに悪いことに、TPPのような協定は、より大きな問題、すなわちグローバリゼーションという、われわれのひどいミスマネジメントのひとつの側面でしかないのだ。
 まず歴史を振り返ってみよう。一般に、今日の貿易交渉は、第二次大戦後に数十年間にわたって行われたものとは著しく異なる。当時の交渉の焦点は関税の引き下げだった。関税があらゆる面で引き下げられて貿易が拡大し、各国それぞれの強い分野での発展によって結果的に生活水準は向上した。雇用は部分的には失われたが、新しい雇用も創造された。
 ところが今日では、貿易協定の目的が異なる。世界中の関税はすでに低く、焦点は「非関税障壁」へと移った。なかでも、協定を推進する企業の利益にとって重要なのが規制である。巨大な多国籍企業は、各国で食い違う規制がビジネスを割高にしているとクレームをつける。しかし規制の多くは、たとえそれらが不完全なものであったとしても、存在するだけの理由がある。すなわち、労働者や消費者、経済や環境を保護するためなのだ。
 それだけではない。それらの規制は、各国の政府が市民からの民主的な要求に応えて導入したものなのだ。貿易協定の新たな推進者たちは遠回しに、自分たちは単に規制の調和を追い求めているのだと主張する。そう言えばその主張は、効率を促進する無害な計画という意味となり、クリーンに響く。もちろん、いたる所で規制を高い基準に合わせ強化することで規制の調和をはかることはできる。しかし企業が調和を提唱するとき、実際にそれが示すところは、底辺への競争である。(後略)』


 長いコラムなのですが、是非、全文をお読みください。


 後略部で、スティグリッツ教授はTPPにも含まれる(予定の)ISD、すなわち「投資家対国家間紛争解決条項」を批判しています。


 最近の中国や韓国のように、すでに解決済みな案件を持ち出し、日本企業を提訴あるいは「収容」してしまうような相手国に対しては、ISDは有効になります。逆に言えば、ISDとは中韓のような法治主義が通らない発展途上国相手の協定であり、法の支配が確立した日本-アメリカ間のような先進国同士の貿易協定にISDを含めるのは、やはり違和感を覚えざるを得ません。


 ISD協定により、各国の企業は投資相手国の「政府」を訴える特権を手にすることになります。逆に言えば、たとえば日本企業が日本政府を世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターなどに訴えることはできません(行政訴訟はできますが)。


 スティグリッツ教授は、アメリカ企業がTPP参加国に子会社を設置し、子会社経由でアメリカに投資をすることで、アメリカ政府を訴える行動に出ることを危惧しています。


『政府に関しては、企業は、どの国の法的立場がもっとも強いかということに基づき、海外への投資を絞り込んでいるという証拠がすでにある。(記事より引用)』


 また、スティグリッツ教授は「自由貿易」についても懐疑的です。自由貿易と言えば、昨今の経済学者の「基本中の基本的ドグマ」であり、「自由貿易が善であること」について、疑いを持つことは「許されない」空気があるそうです。


 とはいえ、自由貿易が「Win Win」になるためには、スティグリッツ教授が書いている通り、様々な「前提」があります


『労働者は職種の間で途切れることなく移動できると想定している。ここでは完全雇用が当然と考えられており、グローバリゼーションによって解職された労働者は、すぐに生産性が低い業種から生産性が高い業種に移れるとされている。(記事より引用)』


 自由貿易は「完全雇用」が前提になっており、生産性が低い業種に努めている人が外国との競争に負け、失業しても、「瞬時」に他の職を得られることになっているのです。


 とはいえ、全ての職業では「ノウハウ」等の蓄積が重要になります。ある産業で様々なノウハウを身に着けた人が職を失ったとき、それまでの「蓄積」は消滅してしまいます。他の職に就いたとして、即戦力になるなどということは現実にはあり得ません。

 また、現実に完全雇用が成り立っておらず、アメリカでは2000万人(!)がフルタイムの職を望んでいるにも関わらず、実際には職を得ていません。経済学者は、
「長期的に見れば、生産性が高い仕事に人々が就き、完全雇用が実現する」
 と主張するのでしょうが、まさに、
「長期的には、われわれはみな死んでしまう」
 わけでございます。


 スティグリッツ教授が触れていない観点としては、「安全保障」の問題を挙げておきたいと思います。日本が更なる貿易・サービス輸出入の自由化を進め、安全保障に関わる分野で供給能力が落ちていくと(落ちていますが)、国民の生命や安全が危険に晒されることになります。


 自由貿易では、安全保障の強化は実現できないわけです。何しろ、安全保障確立とは、
「政府の規制(管理)を強化しなければ、実現しない」
 わけでございます。


 スティグリッツ教授は最後に、
トリクルダウン経済学は神話だ
 と、看破していますが、現在の安倍政権は法人税減税や「GNI(国民総所得)」の目標、労働規制の緩和など、まさにトリクルダウン経済学路線をひた走っています。安倍政権は、前回(第一次安倍政権)の時も政策課題に上った、残業時間を賃金に反映させない、いわゆる「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入も検討しています。


 現在の日本の場合、政府がトリクルダウン路線、自由貿易路線、規制緩和路線を追求すると、
日本国民の実質賃金が低下する(しています)」
安全保障が弱体化する
 という、少なくとも二つの大きな問題が発生することになってしまいます。


 TPPはもちろんのこと、スティグリッツ教授が指摘する「アメリカの問題」は、そのまま「日本の問題」であるわけです。


 グローバリゼーションの下で「底辺への競争」が発生し、国民が貧困化し、国内の所得格差が拡大する。特に、内需を標的市場とする中小企業などが業績が上がらず、倒産、廃業していく。


 これを「自己責任です」の一言で片づけられてしまうのは、「一体、政治とは何なんだ」という疑問を抱かざるを得ません


 本日のモーニングCROSSでも、「無条件の法人税減税」の話題を取り上げさせてもらいましたが、日本をがリクルダウン的ではなく、「日本国民の所得拡大と内需拡大」による経済成長路線を取り戻すことができるように、今後も様々な媒体で情報発信をしていくつもりでございます。結局のところ、政治とは「国民のレベルを写す鏡」なのだと思うのです。


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