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『G0.5(後編)③』三橋貴明 AJER2014.3.18(3)

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 本日から、不定期レギュラーとしてTOKYO MX「モーニングCROSS 」への出演が始まります。(明日も出演いたします)関東圏の方は地上波9chで、7時からになります。
  
 さて、世界を俯瞰してみると、アメリカ、中国、ユーロ、そして日本の各国・地域において、「民主主義」がそれぞれの手法で抑制されているのが確認でき、非常に興味深いです。(興味深いでは済まないのですが)。


 中国はそもそも、民主主義などありません。人民側に政治的権利はなく、請願や陳情で問題が解決しない場合(まず、解決しません)、人民側は「暴力」に訴えるしかなくなるわけです。


 アメリカの場合、議会制民主主義が各種の「規制の緩和」により、資本主義制民主主義に変えられつつあります。ロビイストや政治献金を活用し、企業や投資家が政治に与える影響が高まっていっているわけです。特に、政治資金関連の「規制の緩和」は、資金提供が可能な企業や投資家の政治力をますます強めていっています。

 とはいえ、民主主義とは「一人一票」なわけで、今後のアメリカではスティグリッツ教授のいう「1% 対 99%」の争いが激化していかざるを得ないでしょう。

 そして、日本。
 日本ではご存知、経済財政諮問会議や産業競争力会議といった政府の委員会に入り込んだ「民間議員」と称する民間人、経営者たちが、民主主義のプロセスをすっ飛ばして新古典派的な経済政策を提言し、「首相指示」「官邸支持」で推進されつつあります


 特に酷いのが、国家戦略特区です。何しろ、安倍総理は昨年の十月二十一日の衆院予算委員会で、国家戦略特区を推進するための統合推進本部について、
「国家戦略特区担当大臣、関係地方公共団体の長、民間事業者の3者により組織する方向で検討している」
「(関係大臣については)意見を述べる機会を与えることとするが、大切なのは意思決定。意思決定には加えない方向で検討している
 と発言し、党どころか閣僚までをも意思決定のプロセスから排除する意向を示しているわけです。閣僚が排除され、誰が国家戦略特区の中身や効果について判断するかと言えば、もちろん民間議員(という名の民間人)です。


 まさに「民主主義はどこに行ったのか?」という感じでございます。

 さらに、ユーロ。
 ユーロの場合、各国がマーストリヒト条約等の国際条約を批准し、
構造的に民主主義が制限される
 仕組みが成立してしまっています。そもそも民主主義とは、「有権者である国民が国家の主権を持つ」という話になります。ところが、ユーロの場合は構造的に「金融主権」がECBに委譲され、「財政主権」も一部、制限されています。特に、EUやIMFの支援を受けている南欧諸国にとって、財政主権は無いも同然なわけです。


 財政主権がないと、失業率が25%を超えるという異常事態であるにも関わらず、雇用対策を打てません。結果的に、所得を得られず、貧困化し、最終的には「飢える」国民が増えてくるわけですが、当初は人々は「選挙」によって状況を改善しようと図ります。ところが、現実のユーロ諸国は、フランス、イタリアといった大国も含め、政権が変わったとしても雇用改善と経済成長を目指した経済政策は打てません。オランド仏大統領も、イタリアのレッタ前首相も、当初は「経済成長」を目指す花火を打ち上げるのですが、結局は挫折しました。(結果、レッタ首相は就任一年持たずに辞任


 ましてや、ギリシャやスペインといった南欧諸国では、政権交代を何度繰り返そうとも、「国民の雇用」改善や「国民の所得」拡大を目指した政策は打てません。何しろ、カネを借りている立場であり、債権者たちが「緊縮財政」ばかりを強要してくるわけです。


 というわけで、選挙ではどうにもならないと気が付いた南欧諸国の国民たちは、中国同様に「暴動」に訴えざるを得ないという状況になっているわけです。何しろ、現在のユーロ圏は(特に南欧諸国は)明らかにデフレ化しつつあるか、もしくはデフレ化しています。


ユーロ圏、いよいよ深まるデフレ懸念
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40342
 ユーロ圏の3月のインフレ率が4年以上なかった低水準に落ち込み、単一通貨圏が物価が下落する厳しい時期に向かっているとの不安が高まっている。
 欧州委員会統計局ユーロスタットは3月31日、3月のインフレ率(消費者物価上昇率)が0.5%に低下し、2009年11月以来の低水準を記録したと発表した。
 事前予想を下回るインフレ率は、部分的には、昨年のイースター(復活祭)――企業が値上げする傾向がある時期――が例年より早かったことがもたらした結果だ。だが、3月の統計値は、ユーロ圏の物価上昇圧力がエコノミストの事前予想よりも弱いことを示す最新の兆候に過ぎない。
 また、最新の統計値は欧州中央銀行(ECB)理事会が4月3日に金融政策を緩和する根拠を強めることにもなる。
◆日本式のデフレに陥る脅威
 「インフレ期待のデアンカリング*1のリスクは高まっている」。バークレイズの欧州担当チーフエコノミスト、フィリップ・グダン・ド・ヴァルラン氏はこう話す。「ECBはこれをベース効果だと主張することもできるが、昨年夏からのトレンドを見ると、ECBはインフレ率をどんどん下方修正してきた」 
 ディスインフレーションは部分的には世界的な現象だ。世界の景気回復が鈍いために先進国全体で膨大な余剰生産能力が生じたことから、英国と米国でも物価圧力が中央銀行の目標値を割り込む水準まで下がっている。鈍い需要はエネルギー価格を抑えることにもなった。こうしたインフレ率低下を受け、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事はデフレのことを「断固として戦うべき鬼」と呼んだ。
 しかし、ユーロ圏のインフレ率は米国(1.1%)や英国(1.7%)を大幅に下回る水準まで低下した。1つには、ユーロ圏は他地域をずっと上回る余剰生産能力を抱えているためだ。
 インフレ率低下のニュースにもかかわらず、3月31日に対ドルで小幅に上昇したユーロの強さは、輸入コストを引き下げることで物価上昇圧力を弱めることにもなった。ECBのマリオ・ドラギ総裁は、2012年以降のユーロ高がインフレ率を約0.4~0.5%下振れさせたと述べた。
 ECBは、こうしたディスインフレは朗報でもあると主張した。周縁国の相対的な人件費が低下し、脆弱なユーロ圏諸国の競争力を高めた影響もあるからだ。だが、ユーロ圏最大の経済大国で最も競争力の高いドイツでさえインフレ率は1%で、2%を若干下回る水準とするECBのインフレ目標の半分程度に過ぎない。(後略)』


【ユーロ圏の消費者物価指数の推移(単位:対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_45.html#EuroCPI


 ユーロ加盟各国の3月のインフレ率はまだ公表されていないのですが、全体では0.5%(対前年比)。対前年比でマイナスに落ち込んでいるのがギリシャ、キプロス、ポルトガル。0.5%を切っているのがスペイン、アイルランド、イタリア、そしてオランダ。


 ポイントは、「インフレ」という問題は、金融主権や財政主権が「無い」あるいは「制限されている」ことで、解決に向かう可能性がゼロではないが、デフレは真逆であるという点です。現在のユーロ加盟国がインフレ率高騰に苦しんでいた場合、金融主権がなく、財政主権も制限されており、政府が通貨発行や国債発行を好き勝手にできないことで、問題が解決する可能性があります。(そういう意味で、ユーロという仕組みはやはり「インフレ対策」なのです)


 とはいえ、デフレの場合はそうはいきません。デフレ脱却のためには、金融政策と財政政策のポリシーミックスが必須なのです。

 ユーロ加盟国に金融主権がなく、財政主権も制限されており、構造的にデフレ脱却をすることが困難な状況にあります。インフレ率の低下を受け、ECBは金融緩和に転じるかも知れませんが、頑張って「通貨の創出」をしても、「通貨の支出」が伴わず、国民の所得拡大には結びつかないケースがありうることはご存知の通り


 先月、スペインで反緊縮財政のデモがあったことはご紹介しましたが、デモ参加者たちは、
債務支払い反対、増税反対、トロイカ政府は出て行け
 と、叫んでいたそうです。(トロイカ政府とは、IMF、EU、ECBのトロイカに支配された政府、という意味だと思います)

 さて、結論じみたことを書いておきますと、記事にもある通り、現在の世界主要国は日本を含めて「鈍い需要」という問題を抱えています。すなわち、小泉政権期とは異なり「グローバルにシェアを拡大し・・・」などといった考え方が通用する時代ではないという話です。


 現時点で、(中国はともかく)先進主要国が、
民主主義に基づき、内需中心で国民を豊かにする経済
 を取り戻すことができれば、世界はバラ色とまでは言いませんが、いい方向に向かうでしょう。 


 逆に、主要先進国が、民主主義の要望に応えず、
「内需はダメだ。グローバル市場を採るために、実質賃金引き下げだ、通貨安だ! 国民は貧しくなるが、世界市場の成長を取り込むために我慢しろ!
 とやってしまうと、各国で騒乱が絶えず、最終的には国同士の紛争も多発する状況になるのではないか、と。要するに、1929年後の世界でございます。


 というわけで、現在の日本で「民主主義」のプロセスをすっ飛ばして国民を貧困化させる「労働市場の規制緩和」「外国人労働者導入」「実質賃金引下げ」「グローバリズム」「構造改革」などを推進しようとする勢力と「言論」で戦っていくことは、冗談でも何でもなく歴史的な価値があると考えるわけです。


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