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『G0.5(後編)③』三橋貴明 AJER2014.3.18(3)

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 さて、お知らせが遅くなりましたが、4月3日にWAC社から「三橋貴明の日本を豊かにする経済学 」が発売になりました。




 本書は珍しく「経済学」について書いた本になります。すなわち、経済学と「現実の経済」乖離という、現在の世界的な問題の核心についてWiLLの連載として書き進め、書下ろしを加えてまとめたものです。

 WiLLの連載の冒頭には(本書もそうですが)、必ず以下の五つの「原則」を掲げていました。


-国民経済の原則-
◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たすために供給する能力」である。
◆国民経済において、お金は使っても消えない。
◆国民経済において、誰かの金融資産は必ず誰かの金融負債である。
◆現代世界において、国家が発行する通貨の裏づけは「供給能力」である。
◆国民経済の目的は「国民を豊かに、安全に暮らす」を実現することである。


 特に注目して欲しいのは、一番目の「国民経済において、最も重要なのは「需要を満たすために供給する能力」である。」になります。現在の日本では、長期間のデフレ(とリストラ)や強引な構造改革、そして法的根拠なき原発停止により、様々な分野で「需要を満たすための供給能力」が毀損していっています。すなわち、国力の喪失です。


 特にまずいのが、「防衛」「土木・建設」「電力」の三つになるでしょうか(もちろん「医療」「農業」「教育」「行政」「運送」等も重要です。あくまで相対的な話です)。中でも「電力」の供給能力が不足すると(不足しています)、防衛も土木、建設も、電力以外のライフラインも、行政も、医療も、何もかもが供給できなくなってしまいます。電力とは、国家の「基盤中の基盤」であり、「国土」に次ぐ重要性を持っていると確信しているわけです。


 この「基盤中の基盤」である電力について、やたら「外国に依存しよう」「外国に供給してもらえばいいじゃん」などと主張する人が少なくないわけですから、あきれ果ててしまいます。とはいえ、この手のお花畑的な人々は日本にのみいるわけではなく、我が国以上に悲惨な有様になっているのがヨーロッパです。


ウクライナ問題 欧州けん制も ロシア天然ガス停止警告
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014040702000137.html
 ウクライナ南部クリミア半島を併合したロシアが、自国産天然ガスの輸出を通じ、ウクライナ新政権に経済的な圧力を強めている。ロシアからは、パイプラインでウクライナを経由して欧州にも多量の天然ガスが輸出されており、欧州諸国の対ロ制裁強化をけん制する狙いもある。
 ロシアのメドベージェフ首相は三日、「ウクライナが債務を返済しない場合、天然ガスでの協力は完全停止される恐れがある」と警告。ロシアは一、三両日でウクライナ向け天然ガス価格を合わせて80%引き上げた。返済が滞っており昨年十二月に両国が合意した割引価格を適用できないため、と説明している。
 ロシア国営ガスプロムによると、ウクライナの対ロ債務は三日現在、二十二億ドル(約二千三百億円)。ミレル最高経営責任者は五日、ロシア国営テレビのインタビューで、ウクライナの債務が年末までに最大六十億ドルに膨らむ可能性があると指摘。「いつまでもただでガスを提供できない」と近い将来の輸出停止を示唆した。
 ロシアはこれまでもたびたび、ウクライナ向け輸出をストップさせてきた。二〇〇六年一月や〇九年一月の輸出停止では、欧州諸国へガスが届かなくなり、混乱を招いた。
 ウクライナのプロダン・エネルギー石炭産業相は、値上げを「政治的」と批判する一方、「国内の天然ガス備蓄量は一カ月分しかない。国産の石炭をできるだけ多く使う解決策を早急に模索する」と述べた。ヤツェニュク首相も四日、「スロバキアやハンガリー、ポーランドからの逆輸入」を欧州連合(EU)と緊急協議していると明かした。
 ウ
クライナは現在、エネルギー全消費量の三割を石炭、四割を天然ガスで賄っている。天然ガスの六割弱はロシア産。しかし、一連の政変で経済が弱体化しており、石炭の急な増産は不可能との見方もある。欧州の市民生活を直撃しかねない状況に直面している。』


 容赦なくきますね・・・
 もちろん、ロシアの天然ガスや原油に依存しているのは、ウクライナに限らず、ほとんどのヨーロッパ諸国が似たような環境に置かれています(特にまずいのが、フィンランドなど)。


 ドイツにしても、天然ガスの40%、石油の35%をロシアから輸入しています。冬が近づくにつれ、欧州諸国はロシアと融和路線を求めるようになり、対ロシア強硬姿勢を貫こうとすると、アメリカがむしろ「孤立」してしまうように思えます。結局、欧州諸国はロシアと決定的な対立構造になることを防ごうとするでしょう。安全保障(エネルギー安全保障)を他国に委ねるとは、そういう話です。


 ところで、我が国も原発を停止していることもあり、天然ガス依存が高まっています。もっとも、我が国は幸い(?)なことに島国で、ロシア他大陸諸国からパイプラインでガスを購入しているわけではありませんでした。(パイプラインでは、元栓を閉められると一貫の終わりです)


 日本は天然ガスをLNG(液化天然ガス)で「海の向こう」から運んできます。というわけで、原発が再稼働しない状況で、電力会社はLNGの運搬能力の向上に全力を尽くしています。さもなければ、日本のエネルギー安全保障は脆弱化せざるを得ません。


 というわけで、日本一作業服とヘルメットが似合わないわたくしが行ってきました、長崎の三菱重工業長崎造船所香焼工場に。現在、同工場では中部電力などが発注した巨大LNG運搬船、通称「さやえんどう」の建造、艤装が進んでいます


【写真 巨大LNG運搬船、通称「さやえんどう」の前で】


【写真 「さやえんどう」を上から見た光景】

 で、でかい! でか過ぎて、カメラのフレームに収まり切りません

 長さ288メートル、幅49メートル。直径42メートルの球形タンクを四つ搭載し、最大15万3000立方メートルのLNGを運搬可能。


 タンクを白い長方形(に近い)アルミ製カバーで覆い(これが「さやえんどう」)、外洋で風の抵抗を受けにくい形とし、従来型より燃費は25%改善。さらに、タンクにカバーで覆うことで強度を持たせ、軽量化も実現。


 「さやえんどう」も凄かったですが、三菱重工の造船所も物凄い迫力でした。


【写真 展望台から見た「さやえんどう」と三菱重工造船所のドック】


 さて、本日の締めでございますが、これほどまでに巨大なLNG運搬船満杯に中東やアメリカ、豪州などからLNGを運んできて、一般的な火力発電所の燃料を、どれくらいの期間まかなうことができるでしょうか






 答えは、「一週間」です。

 300メートル近い巨大運搬船で何週間もかけて天然ガスを日本に運んできて、一火力発電所(一電力会社ではないです)において一週間で使い切る。これが、エネルギー自給率5%未満の国の現実なのです。 「エネルギー安全保障」を無視して「脱原発」「反原発」などと主張している皆さんには、是非ともこの「現実」を素直に受け止めて欲しいのでございます。



「一週間」に衝撃をうけた方は、
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